パリママの24時間 仕事・家族・自分

著者 :
  • 集英社
3.21
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本棚登録 : 70
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712575

作品紹介・あらすじ

パリのママも悩んでる。『パリの女は産んでいる』の著者が子持ちパリジェンヌ15人の日常をルポ。

感想・レビュー・書評

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  • 意外なことに。

    ママ友からどどっとまとめてお借りした本の中で一番のヒットだった。

    仕事をしながら子育てに必死なパリのママへのインタビュー集。

    同じく育児休職中のママ友。「読んでいて、ちょっと自分とはかけ離れすぎていて、途中でついていけなくなりました」と仰っていたので、覚悟していたのだけど。

    少子化の一途をたどる先進国の中で脅威の出生率を誇るフランス。パリ。

    そこにはどんな国の施策があって、公の補助があって、「産みやすく育てやすい」仕組みになっているのか。

    知りたい反面、時々テレビで見る北欧あたりの福祉サービスの質の高さ・良さの特集に羨ましさを感じる一方で、わが身(わが国)の大変さにため息をつかずにはいられない。

    この本も「フランス万歳」「パリ最高」的内容なんだろうなと思っていたのだが、あにはからんや。パリのママも悩んでいた!苦労していた!それでも乗り越えていた!

    保育園が足りないのは、東京だけじゃなかった。パリも同じ。

    じゃあ、子供をどうする?誰に預ける?

    欧米人は、もっとベビーシッターに抵抗がなくて、しょっちゅう預けて「夫とディナー♪」を楽しんでいるのかと思っていたけど、

    ・ ベビーシッターは不安なの。子供と1対1だから。どんな風に接しているか分からない

    ・ 最初の頃は、子供を預けて夫の仕事関係のパーティに一緒に行っていたけれど、極力断るようになったわ。だってつまらないし大変なんだもの。

    なんて意見がザクザク出てくる。

    欧米の男性はさぞや育児に積極的なんだろうと思いきや、仕事第一でいつも帰りが遅い旦那さんや、育児に参加しない旦那さんもウジャウジャ登場。

    シングルマザーもさぞや公的援助が厚いのだろうと思っていたが、「ちょっと収入が上がったらすぐに援助が打ち切られたわ」など公的サービスがシビアなのはどこの国も同じようで。

    それでも働きたい・働こうとするママ達の思い、考え。

    最近、保育園問題で色々と悩んでいた私も自分がどうしてそこまでして(苦労して保育園に子供を預けてまで)仕事をするのか色々考えることが多かったのだが、共感する考えも多く、最近の自分の悩みの内容が整理される内容だった。

    勿論、さくさく割り切った考えのママさんも多数登場。その考えもアリかと。

    最近、こういう冷静な視点・切り口での海外レポが増えている気がする。一時期の「欧米サイコー!」な妙なコンプレックスからようやく脱することができたのではないだろうか。

  • 367.23

  • 仕事と子育てをうまく両立させてたくましく生きるフランス女性の話しが15篇.どのケースのベイビーシッターを上手に活用していることが特徴のような気がした.日本では不幸な事件があって余り印象が良くないが、大事な仕事だと思う.

  • パリのママにインタビューして著者がまとめたもの。パリのママと言ってもいろいろで、保育園だって必ずいれられるわけではなく、みんなそれぞれに苦労しているんだということも感じました。ただ、日本よりは女性が働くことが普通なので、「小さいうちから働くなんて!」という人はいないし、親が仕事ばかりでも、子どもは子どもでちゃんと育ちますよ、という風土らしいのがいいなぁと思いました。

  • 状態:貸出可
    ※利用対象者:本学の教職員と学生に限ります。

  • どのママも、すごく自立していて、ママという以前に1人の女性として魅力的です。
    そして、母親とはこうあるべき!こうすべき!という変な固定概念に囚われないでのびのびしてる。
    仕事が好きだし、一日中家で子どもの世話をするなんて退屈!だから仕事は辞めないわ、とか普通に言っちゃいます。
    赤ちゃんはつまんない、もう少し成長してからのほうが楽しいわ、なーんて言っちゃうママもいました。
    もちろん、育児が大好きで、子どもとの時間をなるべくもてる仕事を選ぶのよ、というママもいます。

    彼女たちに共通するのは、その時の現状を受け入れて、何が出来るか考えて自分で選択して行動しているところ。
    フランスは女性が働き易く、子どもを生んでも仕事を続ける人がほとんどだそうです。それでも、出産がある分、キャリアを築くのが男性より不利だったり、夫が家のことを何もしてくれないから仕事に家事に育児に大忙しで、苦労しているママもいます。そこは日本と同じ。
    それでも、自分で選んでこうなったから、その時出来ることをします。

    日本では、家事は女性がするもの、だから仕事は二の次。みたいな考えが社会全体に根付いているイメージがあって、仕事を続けながらの育児はとても大変なんだろうと思います。
    私はまだ未婚ですが、この先育児をするようなことがあれば、彼女たちみたいにもっと柔軟な考えと自立心を持っていれば、気持ちも軽くなるしパリママのようにきらきらと輝いた生き方ができるんじゃないかなぁと思いました。

  • 出生率と女性労働率の高いフランス、パリの働くママ達の仕事と子育てに関するインタビュー集。

    お国柄、とは言え、パリの女性たちはものすごく精神的にも経済的にも夫を頼り切ること無く自立しているな、という感想。
    ベビーシッターという制度は、子育てにやや神経質気味な日本ではあまり普及していないのだけど、正直うらやましい制度。

    働くお母さん達の姿を見て育った子供は、やはり自立する精神も養われるのか、お手伝いや下の子の面倒を見たり、よい育ち方をしている子が多いなと思った。

    彼女たちがイキイキとして見えるのは、仕事も子育ても、「やらされている感」がほとんどなく、自分で選択してそういう生き方を背筋を伸ばして歩んでいる、という点。
    なんというか、結構惰性で生きている事の多い自分には眩しいばかり。

    しっかり専業主婦で家事もそつなくこなし、夫を立て、子供にはしっかり接した子育てを…というのがまぁ今の日本では万人に受け入れられやすい母親像なのかもしれませんが、多少足りない所はあってもまず自分ありき、な凛としたパリの母親達。

    ときには子育てと仕事の両立に悩むことはあっても、保育士さんが
    「あなたが子どもに合わせる必要はないの。子どものほうで、あなたに合わせてくれますよ」
    と言葉をかけてくれる。徹底した自立ありきの考えだけど、それがやはり受け入れられるお国柄、というのはやはり素晴らしいと思う。その分しっかりと自分を持っていないとツライかもしれないけど。

    この本を読んでいると、型どおりの良妻賢母、ではなく、ほんの少し自分を出して、我儘な生き方(ただし責任のある)をしてもいいんじゃない、と肩の力をゆるめることのできるお母さんも多いかもしれませんね。

  • 『パリの女は産んでいる』に続けて読んだ本。こちらは生のパリの女性の生活がインタビューに基づいて書かれている。本当に色々な価値観があって狭い日本の価値観に惑わされる必要などないなというのが感想。あと登場した女性は皆精神的に自立していて、その点は日本人女性と比べて尊敬するし、目標になる。

  • 出生率ヨーロッパ1、女性労働率トップレベル。しかし「男も女もキャリアを優先したら、家庭は成り立っていかない」(28頁)などけっこう厳しい現実も。私がほっとしたのは「あなたが子どもに合わせる必要はないの。子どものほうで、あなたに合わせてくれますよ(86頁)」。マタハラするのは子どもを産んでいない女だという指摘に違和感を持った身としては、誰かにいつか、さらりとこんな言葉をかけられる人間でいたい、と思う。

  • フランスの会社に長く勤務していたので、個性的(?)なフランス人の
    考え方にいつも苦笑したり、感動したり。
    自分の友を思い出しながら、懐かしく読みました。

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著者プロフィール

1961年東京生。翻訳家・エッセイスト。『パリの女は産んでいる』で第54回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。著書に『パリママの24時間』他、訳書にラシュディ『郊外少年マリク』他。家族と共にフランス在住。

「2016年 『哲学する子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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