おとぎのかけら 新釈西洋童話集

著者 :
  • 集英社
3.45
  • (34)
  • (103)
  • (120)
  • (30)
  • (5)
本棚登録 : 799
感想 : 142
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713701

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 普遍的なものになるように編集者の方に選んでもらった西洋童話を、現代に生きる人の感覚や価値観で描いてみたいと思って書いたそうです。
    西洋童話は、本当は恐ろしいと聞いたことがありましたが、千早さんなりの解釈で紡がれた7話もすっと背筋が凍る話がありました。
    人間の持っている悪意、優しさ、美しさ、醜さ…をすごく感じられる本でした。

  • 童話をモチーフにした七つのお話。

    どこか知らない所に来てしまったような
    二度と元いた場所に戻れないような
    何かが歪んでいるような

    そんな不安な気持ちにさせられる独特な
    雰囲気の短編集です。

  • 西洋のおとぎばなしを現代に当てはめた作品。
    残酷で不穏でザワザワするのに、美しさに溢れていてやめることができなかった。

    文庫より単行本の装丁に一目惚れしていたので単行本で購入。

  • 『おとぎのかけら』 千早 茜    集英社

    「新釈西洋童話集」と副題にあるように、7つの有名な西洋童話を下敷きにした短篇集。
    勿論、物語の核となる部分やモチーフは有るのだが、時代は現代だし舞台も現代の日本である。そして一つづつの物語に「迷子のきまりーヘンゼルとグレーテル」、「カドミウム・レッドー白雪姫」、「金の指輪ーシンデレラ」の様に、どの話がどの古典童話を元にしているかが目次でわかる。そしてひとたびお伽話のかけらが作者の掌の中に握られると、開いた時には美しく、妖しく、毒々しい林檎の様に読むものの前に差し出される。一つだけ、少し気持ちが暖かくなるものがあったが、後はどれも不思議な美しさ懐かしさの中にぞっとする様な怖さを秘めていた。伝承され続けて来たわらべ歌や昔話には、世界各国共通する物があると言う。それらには、元々現実の世界の残酷さや理不尽さ、やり切れない人生を切り抜ける黒い知恵をも秘めているのだろうと思わせられる一冊だった。『本当は怖い◯◯』とか言う本よりも、エッセンスを抜き出して今風に料理されたこちらの方が何倍も怖いと思った。しみじみと美しい表紙を見ながら、またこの作家に心を持って行かれた、と嬉しい様な悔しい様な不思議な感覚が残った。

  •  初めての千早さんでした。文章にとても雰囲気がありました。
     彼女が現代風に解釈し、表現するとこうなるのですね。。。。好きな雰囲気です。
     おとぎばなしは語り継がれているだけあって、それぞれに不思議な力があります。そしてよく考えると、怖かったりグロテスクだったりしますね。

     それぞれの編が発するイメージは、おとぎばなしでのイメージそのままに、ブラックでグロテスクな世界でした。眼をそむけたくなる様な描写もありましたが、とても面白く読めました。
     最後の「アマリリス」の編は他とは印象が違ったけど、これも面白かった。

  • 結構薄暗い話が多かった。
    でもどんどん引き込まれる。
    文章巧い!
    私のお気に入りは、シンデレラの話。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「文章巧い!」
      不思議な感覚の文章書かれますよね!(この作品を読んだ訳ではなく、実は文庫化待ち)
      「魚神」が良かったので読んでみようと思って...
      「文章巧い!」
      不思議な感覚の文章書かれますよね!(この作品を読んだ訳ではなく、実は文庫化待ち)
      「魚神」が良かったので読んでみようと思っています。
      2012/10/17
  • 西洋童話を新釈するという発想が面白い。
    好きだったのは
    金の指輪(シンデレラ)
    単純にハッピーエンドが好きなだけか。
    鵺の森(みにくいあひるの子)の
    堤くんの弱さも好き。

  • 「透明な夜の香り」が面白かったので、しばらくこの作家さんを読むことに。くしくも赤ずきんに続いておとぎ話関連。サブタイトルに新釈西洋童話集とある通り、童話をモチーフにした7つの短編集。こういうの昔からあるよなー。でも面白かった。読みやすいし。

  • どの話もちょっと背筋がひんやりする、でも読み進めたくなる話ばかり。
    「透明な夜の香り」に続いて読んだのは2作目ですが、常に冷たい感じがする文体で好きです。

  • おとぎという単語と、少女趣味なジャケットに惹かれて手に取りました。
    じっとり絡む噎せ返るような匂いのする作品の数々は、確かにかけら。
    全く違う現代の話なのに、読んでいると「これは確かに」とモチーフが理解出来る。
    女子は強いね、どの話に出てきた女子も強い。
    歪で不格好で性的で美しい。散りばめられた毒に夢中になりました。

    『アマリリス』の真由は最後王子様が迎えに来たから、目を覚ますことが出来たんだと解釈した。
    特別じゃないから、それでも求めた王子様は来たから。だから目を覚ました(別れた)んだと。
    『迷子のきまり』『凍りついた眼』『カドミウム・レッド』は特に好き。

著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

千早茜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×