水のかたち(上)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714692

作品紹介・あらすじ

50歳を越えて見つかる、新たな人生の道しるべ
「石に一滴一滴と喰い込む水の、遅い静かな力を持たねばなりません」──偶然の出会いを契機に、50歳の主婦・志乃子は、思いがけずドラマティックに人生を再発見する。生の希望に満ちた傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 宮本輝文学らしく、心に残る言葉が今回の小説にもたくさんありました
    読み終わった小説の中にはたくさんの付箋が貼られました
    「負けるな、負けるな、あきらめるな。心は巧みなる画師の如し、だ」
    「石に一滴一滴と食い込む水の遅い静かな力を持たなければなりません」
    「きみは努力することをあきらめなかった。」
    書き出したら切りがないほどなのです
    そして、宮本輝さんの小説は、本当に文章がきれいで読みやすいです
    それなのに、わたしはどうしてもこの小説が好きになれないのです
    物語の中で、どうしても腑に落ちないストーリーがあり
    また、志乃子を平凡な主婦と書いているけれども
    お金持ちの、目利きの親戚がいて、優秀な仕事をする人を紹介されて
    自分自身も、天才的な骨董の目利きで、あれよあれよと幸運が訪れる
    どこが平凡なんだろうと思う、それはわたしの嫉妬なのかもしれません
    まわりの人たちが、善意あるとても素敵な人たちで、志乃子を助けてくれる
    そのまわりの人たちの欠点などが、とても人間らしく
    わたしには、志乃子だけが、ファンタジーのように思えてしまうのです
    こんなに、悪い方に心を揺らされる宮本文学は正直初めてです
    何年かたって、もう一度読んだとき、違う思いで読めるかもしれない
    志乃子にやさしい視線を向けられるかもしれない そう願っています

  • 宮本輝さんの本を読んでいると、気持ちが落ち着きます。主人公が自分と同年代であり、共感する部分も多々あります。ただ、女性なので、そうなのかと思う部分もあります。個人的には「草原の椅子」の方が、より身につまされる部分はありましたが。ただ、下巻も楽しみです。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    東京の下町で暮らす平凡な主婦、能勢志乃子。50歳の誕生日に、近所の古い喫茶店で、年代ものの文机と茶碗と手文庫を貰い受ける。後日、その茶碗の驚くべき価値が判明して、志乃子は骨董の世界に足を踏み入れていく。予期せぬ出会いと友情が引き寄せる、新たな人生の喜び―生の希望に満ちた、傑作長編小説。

    平成27年8月1日~5日

  • 悪い意味で宮本輝らしい作品。
    本筋のストーリーは、それなりに面白そうであるが、ジャズの話や糖尿病の話など、本筋とたいして関係のなさそうな話が結構延々と続く。
    そのへんは、斜め読みした。
    興味のある人には、それなりに興味深いくだりかもしれないが、興味のない人間にとっては、全くどうでもいい話。
    宮本輝作品特有の辟易感を感じた上巻だった。

  • 登場する女性たちが快活で元気をもらえます。

  • まだ上巻だけなので全体を通じての感想は保留で。

    しかし、宮本さんの小説を読むといつも思うのだけど、自分も人を上手く形容したり、気持ちよく誉めたり出来るようになりたいねぇ。もっと語彙を、知ってるというだけじゃなくて、「使える」語彙をふやさないとなー。

    引き続き下巻にも期待。

  • 2017.10.9

  • 上下巻をあっという間に読み終えてしまった。更年期、閉経、糖質制限、年の差婚、歳を取った親との同居。25歳であるわたしには人生の予習と思うような内容であったけども、面白かった。終戦直後の北朝鮮から日本への過酷な旅には固唾を飲んだし、涙が滲んだ。志乃子の周囲にいる人々のやさしさ賢さ、不意の言葉に感動してしまった。もう少し歳をとって再度読みたい。

  • 主婦の志乃子の手元に、突然大金が手に入ることに。偶然の出会いから手に入ることになった鼠志野の茶碗に三千万の価値が付いていることがわかったのだ。
    「心は巧みなる画師の如し」ーー志乃子はこの「たったひとつの座右の銘」を心に置きながら、突然の環境変化の中で日々を過ごしていく。

  • 主人公は、50歳女性。専業主婦。
    特にお金持ちなわけでも飛びぬけた美魔女なわけでもない普通の女性。
    では、この女性が何かを仕出かすのかというとそうでもなく
    不倫も殺人も家庭内暴力も逃避行もでてきません。

    50歳の誕生日を迎えて 『私の人生ってこんなものだったの?!』 と
    思ってしまう主人公の気持ち、ちょっとわかる(笑)
    でも、何もない人生やありきたりな人生などひとつもないように
    乗り越えなくてはいけない人生の課題は50歳にもなれば必ずでてくるわけで
    (本書ではそれを、『50の坂』と呼んでます。。。)
    主人公の女性は次々起こるちょっとした問題を
    水が形にまかせて流れるように、自然に受け止め自分らしく形を変えて
    解決していきます。
    流れに逆らうではなく、流れに身を任せるでもなく
    その按配がとっても素敵。
    50歳になる、大人になるってきっとこういうことなんだな。。。。
    自分の幸せが他人の幸せを招き、人からまた幸せをもらう、
    幸せなつながりがこの本の中をサラサラと音をたてて流れているようでした。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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