手のひらの砂漠

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 482
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715088

作品紹介・あらすじ

DVと闘う女性を描くサスペンス超大作!
夫の暴力から身一つで逃げ出した可穂子。弁護士の手を借り離婚も成立し、新しい人生を始めようと模索する。が、どこまでも追ってくる元夫・雄二の執拗な影に彼女は…! 直木賞作家が放つ衝撃作!

感想・レビュー・書評

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  • 胸が痛い……

    可穂子は夫から激しいDVを受けていた。
    正常な判断力さえ奪われていた可穂子だったが、ある日、「殺される!」という恐怖を感じ、夫の元を逃げ出したのだが……

    DVやストーカー行為による被害を受けていた人が警察等に相談しても解決できず、、最悪の結果を向かえてしまう事件が後をたたない。
    被害者の女性はどれだけ恐くて、辛かっただろう。

    ラストはちょっとだけホッとしたけれど、やっぱり最後までこんなに辛いのか、と……

  • 世の中には、こんな男もいるのか。DV被害者の主人公が、シェルターに保護され、その後も隠れてしか生活ができない。離婚成立後もまだ元DV夫が主人公をつけまわす。
    ストーカー被害者は警察に訴えてもなかなか取り合ってはもらえないと聞く。
    どこまでもつけ回し、その先々での小さな幸せを踏みにじる。それでも、やはり逃げ回るしかないのか。


    DVというのは、テレビでしか見ることがなく、なかなか現実味がないのだが、実際に苦しんでいる人は少なからずいるのだろう。
    物語の最後、やっと幸せにと思ったが、違う結末が待っていた。だが、これも、いい終わり方だと思った。

  • DVを受けた女性が、夫の隙を見て外に逃げた。

    交番に駆け込み病院へ着いて、安心の場を手に入れたが、現実に待ち受けてるのはこれからの生活。

    夫と離婚する。

    そして、自分はどうやって生きる‥?
    生きるためには収入を得ないと生きていかれない。

    さまざまなドメスティックバイオレンスを受けた方々が登場します。

    世に出ているDV事件はほんのひと握り。外に言えずに内にしまってるかたが多いとのこと。

    多くの人に読んでもらいたい作品です。
    手を差し伸べてくれる機関がたくさんあることを教えてくれてます。

  • 恋愛小説の書き手というイメージが大きいですが、本書は夫のDV、離婚からストーカーへ変貌して行く様を書いています。粘着質でサイコパスな夫の姿には絶望的な気分になりますが、テーマ的には夫から逃げ続けて痛ましい姿よりも、自分の居場所を見つける迄の女性同士の心の交流の方が大きく、ムカつきながらも意外と明るい気持ちで読めます。
    ありがちな話ではありますが、ありふれた感じがするぐらいにDVというものが横行している証拠でもあります。この夫はデマ情報をネットに流したり、彼女の親しい人に陰湿な嫌がらせをしたりとじっとりと粘着します。こんな人に付きまとわれたら逃げるしかないなあ。
    そして、DVを受けた女性達で運営される自給自足に近いコミュニティーの存在がこの本の重要な要素で、筆者はどちらかというとこちらを書きたくてストーカーの話にしたんじゃないかなと思う位書き込んでいます。読んでると光や風を感じる清々しい場所です。

    痛々しい話ではあるのですが、どこかスコンと抜けた明るさがあります。自分の大事なものを護るためには法律なんて護ってられるかという意外な野蛮さがあって、そこがスカッとするのかもしれません。

  • 許せない
    DVなんて絶対許せない

    TVの中の話だと思っていたけど、現実身近なところにも起きているのを知った時、あまりにもその加害者の表の顔と裏の顔が違うことに戸惑った。だから、この作品の中で可穂子に起きていることも誇張されているわけではないはず。

    こんな風に人の人生変えてしまうDV、絶対許せない。許しちゃいけない。

  • こんな人生ってのもあるの?
    DV夫に翻弄させる女性の生き様。

    取材を綿密に行ったようで、参考文献にはDV関連書が。
    ということはまるっきりのフィクションではなく誰かが何処かでかつて味わった恐怖なのかも。
    そう想像を巡らせると全くの他人事とは思えないのだけれど・・・
    やっぱり2時間ドラマを斜に構えて観ているような、そんな非現実感が感じられる。
    殺人が2度なされることや、行く先々での出会う人たちが造り込まれた感じがあって。(かつて同居したことのある女性が殺されたことを含めると殺人は3度。)
    だいいち、DV自体、あれほどの狂気を伴うものなのとは幸いにして知らない。親に向けての遺書とか・・・

    後味が悪かったのでなんだか読まない方が良かったかなぁ~レベルの本でした。

  • 唯川さんは、何となく甘い恋愛小説のイメージがあって、食わず(読まず)嫌いでしたが、今回は興味あるテーマだったので、読んでみました。

    一気に読み終わりました。
    DVの経験がない人は、夫がこんなことするなんて…と信じられないようですが、本当にあるんですよね。
    可穂子が、えるあみファームで元気を取り戻せてよかった。

    それでも終わりでないところが、DVというかストーカーの恐ろしいところで。
    最後に可穂子が夫を殺せたことはスッとしたけれども、習いたての合気道でそんなにうまくいくのかな? と思ったり。
    再婚しようと思っていた相手が、元の奥さんとよりを戻していたのは、どうしてそうなったのか気になるところ。

  • 何気ない日常生活の中の家庭の中の恐怖。一気に読んでしまいました。シェルターの中の優しい人達の連帯が救いです。普通に幸せになるってことがこんなに難しいこととは、、、

  • 多分いるんでしょうね、こんな人
    そして、こうなるんでしょうね
    どうやっても納得できないし
    理解もしにくいけど
    お話では済まない・・・でしょうね

  • 夫からのDV被害者女性視点ってだけで重たいんだけども、どこまでも文体のトーンは冷静で、展開は間違いなくヘビーでキツいのだけど爽快。ここまで読ませる作品に書き上げてるのが、さすがの筆力。暴力ってなんでしてしまうんだろうね・・・悲しいな・・・。

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