砂漠の青がとける夜

著者 :
  • 集英社
2.73
  • (7)
  • (10)
  • (23)
  • (22)
  • (11)
本棚登録 : 254
感想 : 36
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715972

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 京都が舞台の小説なので、京都が大好きなわたしには情景が浮かんでとても良かった。
    すごく繊細なお話だと思う。主人公の美月、姉の菜々子、織田、準、みんなそれぞれ切ないものを抱えている。準がこのまま心が綺麗なままに育っていってもらえればいいのになあと思いました。

  • たくさんの色が描かれている。内面から出るものなのか、別世界のものなのか。不思議な感じの本でした。

  • 水の中で手を伸ばすような不思議な質感の物語。
    もがいているのに柔らかい。

  • 結局なにが言いたいのか全くわからなかったけど、文章が綺麗で読んでいて、京都の淡い感じと色んなものが混ざった不思議な感覚を感じた。
    うーん。自分で感想書いててイマイチわからん。

  • すげーい退屈だけど、とてもとてもきれいで繊細で儚げな言葉の数々に度々どきりとしました。

  • 注意:今回はいつもより多分に私見が入っており、なおかつそれゆえに作者さんの思惑通りの解釈をできていない可能性が高いです。以上をご理解のうえ、書評をご覧ください。

    この小説、ヤバい。

    亡き父の料理店をカフェに改装した姉から手伝いを頼まれたことを機に、東京での出版社勤めをやめてウェイトレスになった主人公の、カフェに通う不思議な少年や姉と懇意にしていた小学校教諭の青年などとの交流を描いた一年間が書かれた小説。

    これだけ読むと、ただの『スイーツ(笑)向けのふいんき←なぜか変換できない』小説。
    実際そういう側面は強い。
    強いんだけど、その一言で片付けていい作品とは僕には思えなかった。

    この小説、ちょっと見方を変えると。

    己のものではない言葉を無理くり繰って生きることへのごまかしがきかなくなってしまった主人公が、人に向けられた言葉とその中にある思いを直観できる少年の言動や表情をつぶさに観察することによって、少しずつ自分が言いたいことや感じていることを自分の言葉で表現する能力を取り戻していく物語、とも言えると僕は思うんだ。

    だってこの主人公、語りが繊細で洞察力と感受性にめちゃくちゃ富んでるんだもの。物事に不感な状態で生きている人間が一ミリたりとも考えそうにないものやことを、平気でポンポン述べちゃうんだもの。編集者時代にスイーツ食レポの仕事に打ちこみすぎて甘いものの極地、角砂糖を食べなきゃ眠れなくなっちゃったりとか、少年が自分の能力を告白したその晩に彼の感覚を再現した夢にうなされちゃったりとか、愚鈍な人間が逆立ちしてもできないようなことばっかりやるのよね。とてつもなくセンシティブなんだけど、ちょっと内面不器用なところがある。
    そんな人間が、過去の女へ未練たらたらな妻子持ちのおっちゃんと不倫状態にあって、得るものこそあれど振り回されまくってたら、そりゃ疲れもしますわな。それに追い打ちをかけるように父親が他界して母親は海外で生活をはじめて、ねーちゃんはねーちゃんで婚外子の流産を機に甘みに痛みをともなう心身の傷を負っているしで、いたたまれないのよ(ねーちゃんの流産のくだりは、あまりのすごみに読んでて鳥肌が立った)。

    この物語は、そんなボロボロ姉妹が不思議な少年のカフェ通いを機に、すこーしずつ恢復していく、その兆候が現れるまでをじっくりねっとり書いているように、僕には思えた。そうじゃないなら、織田くんとたなかさんは作中に出てこなくていいし。

    とにかく僕は、主人公が「愛してる」って言葉を己の内側から自然とわき出せるようになったことに、ほっとした。こんなことに安堵するようなガラの人間じゃあないけど、この作品だけは別。こういう純真な繊細さを持ってる人間には、シニカルになってほしくない。そここそがこの作品の一番の魅力と僕は思うなぁ。

    余談。チーズケーキは恐れ多すぎてしばらく食べられそうにありません。

  • 再読。人生に大きな転機が訪れる。繰り返される日々が途切れ、はるか遠くにあるものが近づいてとけ合う。そんな邂逅の地としての京都。青空が大地の緑色に染まるように、秋の紅葉のさざめきに春の若葉のささやきが混じるように、わたしの中のあなたの世界、あなたの中のわたしの世界が重なり合う。そのとき湧き上がってくる感情は、甘くて痛い、苦しくて愛おしい。意味を失った言葉が再び熱を宿し蘇るまでの軌跡を綴った物語。「怖いっていう言葉はどんな時に使うの?」この問いに動揺するから、わたしは今もこの物語から抜け出せていないのだと思う。

  • だから何なんだ?という終わり方だった

  • 何度も目が滑って文章が頭に入ってこなかった。面白い本は集中して一気に読んでしまう質だけれど、読了までに3、4日かかった。文学的な良さはあるのかもしれないけれど、エンタメ的な楽しさをすばる新人賞に求めて購入しているので、その意味では期待はずれだったな…。

全36件中 11 - 20件を表示

中村理聖の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
小川 洋子
川上 未映子
藤野恵美
荻原 浩
彩瀬 まる
西 加奈子
米澤 穂信
辻村 深月
宮下 奈都
角田 光代
島本 理生
千早 茜
村田 沙耶香
湊 かなえ
又吉 直樹
柴崎 友香
西 加奈子
東野 圭吾
西 加奈子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×