- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715972
作品紹介・あらすじ
東京での不倫関係を唐突に終わらせ、京都で姉のカフェを手伝う美月の前に、不思議な能力を持つ男子中学生が現れて……。繊細な文章表現とみずみずしい感性が光る、第27回小説すばる新人賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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言葉がふわふわと漂う、居心地のいい、けれど時たまキッと苦しくなるような本だった。
東京での暮らしから離れ、姉と一緒に京都でカフェを営んでいる美月。
言葉を紡ぐことを仕事にしていた彼女らしく、語り手の描く心象風景が美しい。
けれど美月自身は、いつも所在無げに漂っている不安定さがある。
そんなカフェに訪れる、不思議な中学生の男の子。
そしてかつて流産を経験した姉。
いびつなのだけど、間接的に表現される分、ストーリーはずっと柔らかく読める。
美月と準くんがお互いの存在を頼りに、自らの足元を見つめてゆく姿は、見通せなくてもなんだか優しい。
恋だとか、愛だというハッキリした名前がなくてもいいのだと思う。
ただ、この物語に、のんびり浸されていたくなった。 -
月と六ペンスでふと手に取った1冊。出てくる少年の言葉がすごく素敵で、繊細で、でもどこか痛々しいかんじ。この本に対する評価がそんなにされていないのが不思議で、でもこれが評価されてしまうと孤独が絶望に変わってしまう気がするので、この作者は私の隣にいてくれるのだという安心感をいただける場所にしたい。
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すばる文学賞の受賞作。
広告代理店を辞めてお姉ちゃんがお父さんから引き継いでやっている喫茶店の手伝いをすることにした主人公は、東京を離れる時に不倫相手とも別れていた。まだずっと「愛してる」だけのメールが送られてくるけれど。
主要な登場人物はお姉ちゃんと中学生のお客の準くんとお姉ちゃんの同級生。
あの世とこの世を繋ぐような、共感覚の人が見えている世界に近いような、現実とされている場所からは少しずれた視点で描かれています。 -
難しい
言葉って繊細 -
不思議な男の子である。
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「誰もいない部屋の卓上ライトの光が、青白さを孕んでゆくように思い、私は無性に寂しくなった」
東京での不倫関係を唐突に終わらせ京都で姉のカフェを手伝う美月の前に、不思議な能力を持つ男子中学生が現れて…。繊細な文章表現とみずみずしい感性が光る、幻想的な一作。
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図書館・請求記号 913.6/N3753 -
2015年3月にも読んでいた