Xのアーチ

  • 集英社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087732627

感想・レビュー・書評

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  • トマスとサリーのラヴ・ストーリーなら簡単だった。
    白と黒。支配と隷属。規律と自由。
    相対するものが惹かれあい、内包し、反発し、消滅する。それだけ。
    生まれ変わっても惹かれあい、内包し、反発し、消滅する。だけだったかもしれない。

    愛しているから全てを支配したい。または全てを委ねたい。
    愛しているから全てのことから解放してあげたい。または全てのことから自由でありたい。

    しかし、モナが、ウェイドが、エッチャーが、サリーの娘ポリーが、ゲオルギーが、時間も空間もランダムに、現れては消えていき、消えたはずなのに現れる。
    アメリカ人作家エリクソン(本人?)すら、登場してはさくっと殺されてしまう。
    なに、これ?
    誰が、何に、どう係わっているの?

    消失したところから始まる存在。
    娘より幼い母。
    ひと廻りして最初に戻ってしまう話は、けれど同じ最初にはならず、メビウスの輪のようにねじれていく。

    これはマジック・リアリズムなの?
    それともSF?
    科学と詩は隣同士にあると湯川博士が言うのなら、純文学とSFも隣同士にあるのかもしれない。
    日本の純文学では見かけない構造だよね。
    強いて言うなら古川日出男?←彼が純文学なのかもよくわかりませんが

    一ひねりして最初に戻った物語が、もう一度巡ってきたときはひねりが二つになり、さらにもう一度…。
    どんどんひねりの間隔が短くなってきたとき、それが消失した一日Xなのか…な。

    “時間の虫食い穴の向こう側に何が現れるか。それは科学の領分であるのと同じ程度に、想像力の領分でもある。”

    Xの彼方に救済はあったのか?
    空漠の中にも、救済はきっとあったと信じたいのだけれど。

  • サリーという女性を巡る、摩訶不思議なおはなし。
    突然のタイムスリップに戸惑ってはいるが、
    エリクソンの力技は素晴らしい。

    1文は短いのに、描写が素晴らしく良い。
    言葉でビジュアルを想像させる作家さんです

  • 「リープ・イヤー」と同じく、出直してまいります。

著者プロフィール

1950年、米国カリフォルニア州生まれ。作家。『彷徨う日々』『ルビコン・ビーチ』『黒い時計の旅』『リープ・イヤー』『Xのアーチ』『アムニジアスコープ』『真夜中に海がやってきた』『エクスタシーの湖』『きみを夢みて』などの邦訳があり、数多の愛読者から熱狂的な支持を受けている。大学で映画論を修め、『LAウィークリー』や『ロサンゼルス・マガジン』で映画評を担当し、映画との関わりは長くて深い。本作は俳優のジェームズ・フランコの監督・主演で映画化が進行している。

「2016年 『ゼロヴィル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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