- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087733945
作品紹介・あらすじ
ジャンナは高級女性誌の有能でファッショナブルな副編集長。数年前に夫と母を癌で亡くして、彼女の人生は大きく変わった。ひとりぼっちになったジャンナは、もう若くはなく、よりどころもない自分のもろさをはじめて意識する。そんな時、近所の薬局で90歳過ぎの貧しい独り暮らしの老女モーディーと出会い、その独立心旺盛な強い個性に惹かれ、しだいに人間的な絆で結ばれてゆく。老いの孤独と仕事をもつ女性の問題に真摯にむきあい、切なくもしみじみと深く胸を打つ、正真正銘の感動作。
感想・レビュー・書評
-
いろんな世代のいろいろな人生が交錯する。そして老いは容赦なく誰にでも訪れる。この世を去るときもまたひとり。日記風に語られるジャンナとモーディーの物語は結構壮絶で目が離せない。自分の事にしか興味がなかったジャンナが身寄りのない老人達に心寄せていくプロセスに、人の成長を見て心に暖かいものを感じた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ノーベル賞作家ドリス・レッシングの作品。高級女性誌の副編集長ジャンナが老いること、死ぬことについて考え、誰と誰と誰と付き合うかを決めていく、生きることについての物語。母親と夫をガンで亡くしたジャンナが近所に住む赤の他人のモーディーという90歳すぎの老人との関係で自分を大人にしていく。45歳からはじまって今は50すぎのジャンナが素敵に着飾るだけじゃなくなっていく過程とか、仕事を編集から作家に変わっていくところも好きだった。これ、絶版にしてたらダメな小説。1970年代のイギリスが舞台なんだけど今読んでも全然いい作品だし、文庫化すべき。イギリスは裕福なひとが貧しいひとを助ける風習が元々あったそうだけど、ブレグジットしようとしている今はもう無さそうだなぁとちょっと残念になる。ドリス・レッシングもう少し読んでいこうと思う。良い読書でした。
-
お年寄りになることの現実。
若いうちは家族に頼らず老人ホームに入ればいいわと気楽に考える人が多いと思う。
ひとりで生きていけると気楽に考えがちだ。
でも、実際に老人になり誰かの世話なしでは生きていきにくい現実が突きつけられた時、そんな気楽に考えられるのか。
老人になること、覚悟のようなもの、惨めな想いなどを考えさせられる。
老人ホームがいや、子ども扱いされるのがいや、誰かからの世話が惨めで断る頑固者の孤独がいかに大変なことか。
若いうちから覚悟なんてできないんだ。
いったん自分が思い通りに動けない状況が出たり、老人の介護をしたら、軽々しくひとりでも生きていけるなんて気楽に言えなくなるだろう。
また、反対に介護する側の気持ちも偽りなく書かれている。
いろいろな気持ちの狭間で揺れ動く。
誰かに介護の世話にならずに生きようと思ったら、まず、健康な体と精神が継続しなければ難しい。
当たり前のことなのに健康なうちは気付かない。
介護すること、または自分がされることをなんとなく想像しているのと現実とでは大きなギャップが出るだろうな。
そんなことを考えさせられる一冊だ。 -
4.44/58
内容(「BOOK」データベースより)
『ジャンナは高級女性誌の有能でファッショナブルな副編集長。数年前に夫と母を癌で亡くして、彼女の人生は大きく変わった。ひとりぼっちになったジャンナは、もう若くはなく、よりどころもない自分のもろさをはじめて意識する。そんな時、近所の薬局で90歳過ぎの貧しい独り暮らしの老女モーディーと出会い、その独立心旺盛な強い個性に惹かれ、しだいに人間的な絆で結ばれてゆく。老いの孤独と仕事をもつ女性の問題に真摯にむきあい、切なくもしみじみと深く胸を打つ、正真正銘の感動作。』
原書名:『The Diary of a Good Neighbour』
著者:ドリス・レッシング (Doris Lessing)〈ジェーン・ソマーズ(Jane Somers)名義〉
訳者:篠田 綾子
出版社 : 集英社
単行本 : 384ページ -
2007年にノーベル文学賞を受賞
wikipedia → http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0
ドリス・メイ・レッシング(Doris May Lessing、1919年10月22日 - )はイギリス人作家。