- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087734522
感想・レビュー・書評
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「愛し合う」の続編
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「愛しあう」の続編。
でも時系列は前後してるみたい。
何かから逃げながら、どこかに運ばれていくという感じなのかな。ずーっと動いている。
文章もとても旋律的で潮の流れに運ばれるみたいに読み終えた。
何が起こっているのかよく解らないのだけど、文章自体が詩的でとても面白いので心惹かれる箇所がたくさんあった。
そこにいない“ぼく”がマリーの行動を語ったりする不思議な場面もある。
離れ離れの“ぼく”とマリーが、ようやく会って初めて気づくこと…。胸がピリっとする。 -
内容のない小説。
トゥーサンをそう表現するのは非常に正しいと思う。
ストーリーもキャラも設定も心理描写もちゃんとあるが、この人の小説にはたいてい内容、つまりメッセージなるものが存在しない。
『ためらい』なんてそのさしたるもの。アレに関しては落ちすらもない“ない”の極地だ。
しかしそれこそがトゥーサンの小説の特徴であり、言ってしまえば最大の意味なのだと私は思う。
ひとりの男の中国旅行記がメインの一つ、それに恋人であるマリーとの関係が絡む。中国での彼の様子や登場人物達の様子はお得意の思わせぶり文書で表現されるので、何か起こるのでは……なんて言う期待がやはり起こる。しかし今までの作品でもそんな期待をトゥーサンにどれだけ裏切られてきたことか。
あってないような意味なのだ。
淡泊で、投げやりで、無感動でとも言える現代人の絶妙な心理。それを見事表現した、なんて言えるのかもしれないが、正直私はそういった話にあまり興味がない。よくわからん。
ただ、私たちの生活に近しい小説なのだ。
淡々とした事実の羅列。
”そうか”で終わる小説なのである。
いままでのトゥーサンならそうだった。
しかし今回はその大きな出来事に付随される感情が、じわりと滲む。わかりやすく示唆されているからではなく、優しく浮き上がる。
今回はオチもしっかりついていたからな。なかなか感動的だった。
とはいえ正直に言えば良い悪いかに関しては何とも言えない。おもしろいかとも聞かれたらなんと答えてよいものかまごついてしまうのは確かだ。しかし私の抱く現代のフランス小説の代表格は紛れもなくトゥーサンなのである。距離感や見方、描写においても、“らしい”。だがゆえに、なんか惹かれてしまう。
続編とは知らず、だった。
『愛する』を先に読んでおくんだったな、と少し後悔。
でもそこまで深い前後関係はなさそうなのでよしとした。
中国の描写はなかなか興味深い。
気分が向くと読みたくなる作家、トゥーサンは不思議な存在だな。 -
「愛しあう」と同じ、“ぼく”が主人公の本書。
相変わらず何を考えてるのかよくわからない“ぼく”目線で、物語は進んでいきます。
ラストシーン、トゥーサン作品の中でいまのところ一番好き。 -
よどみない文章の流れに言葉の選びかた、ユーモア溢れる雰囲気が素敵だ。訳のおかげかもしれないけれど、句読点の位置も呼吸に合う感じですっと読むことができて心地よかった。第一・二部の上海でのシーンと第三部のエルバ島でのシーンとのあいだの断絶が気になる。
逃げる(Fuir)っていうタイトルのインパクトにすごく惹かれる。どこかに行ってしまいたいときがわたしにもある……。失踪したい。疾走。
ジャン=フィリップ・トゥーサンを好きだと言ったあのひとは、逃げていた、のかしら。そんなネガティブなわけではないのかな。 -
「愛しあう」の続編。フランス小説って、濃いですね…
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他の皆さんは結構お薦めみたいですが、正直「なにこれ?」って感じの小説です。全然面白くありません。