- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087805284
感想・レビュー・書評
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この本、スポーツ経営、特に珍しい失敗ケースに興味を惹かれて一読した。
スポーツライターとしての観点なら溝畑氏は免責なのだろうが、経営者としては疑問が残るなぁ。なまじ社長の強力な営業力で大口スポンサーが取れたことが災いしたのだろう。リスク管理が出来ていない。
サッカークラブに私財を投じたと言えば美談だが、多くの経営者が自宅を担保にし破産後路頭に迷っていることと較べれば特別ではない。クラブに関わったとても沢山の人が失ったお金やお金以外のものは、億を下るまい。
彼は結局、誰に何をもたらしたかったのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
木村元彦氏の書く本は、どこか人の本質を突くものが多い。
キャリアの人間が大分県に出向し、前知事の信任を得て官経営のサッカーチームを作ろうとする奮戦記。大分の土地柄のほとんどが関心がない中で、危機をぎりぎりで何度も脱し、ナビスコ優勝とともに翌年のシャムスカの限界・解任、ポポヴィッチの監督留任をJリーグの補てんからできないなど、私財を投げうっても理解されないのは、彼の行動にも問題もあるが、それ以上に現実を追いきれないサポーター、マスコミの部分が大きいと思った。
差が大きい社長ではあったが、人一倍大分のために尽くしたのは確かであろう。最終章で、前知事の箱物行政へのくだりが真実をついており、なかなか興味深かった。 -
Jリーグ好きとしても、大分の衰退は溝畑氏のせいだと思ってました。理由はメディア等の情報しかこっちが取得してなかったため。非常に反省。
かといって、この本で溝畑氏を擁護だけしているわけでもなし。
ちょっと読んで衝撃受けました。超おすすめ。 -
サッカークラブを作る、というのはこれ程の事なのか。木村元彦の取材ノンフィクション、現在のサッカー関連記者でここまで書けるのは二、三人しかいない
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何とも愚直な物語です。やはり諦めないという
気持ちは何より大事な要素ですね。
大分という土地は仕事の繋がりがきっかけで、
僕としては非常に親しみのあるところです。
そこで展開された、十年以上にも渡るサッカーを
通じた人と人との繋がりが中心となるストーリーは
何ともいえない気持ちにさせてくれます。
とりあえず、何かでっかいことをやる時には、
どこかでバカになっていないと無理ですね。
それが一番感じたことかも。 -
今年からのにわか大分サポである勇虫。
出身地なので、ナビスコ優勝くらいはリアルに知っていた。
関係者へのインタビューを中心とした丁寧な取材が、
地方サッカークラブの経営上の問題点を浮き彫りにしています。
Jリーグファンの多くが
大分の借金問題について、常に厳しい立場を取る理由が
本書でよくわかりました。
ただ、大分に縁のある身としては、
理由なく、トリニータにはがんばってもらいたい。 -
大分トリニータの歓喜と転落を実に良く取材しているノンフィクション。トリニータの発足から転落までの著者の丹念な取材力に脱帽である。地域クラブ運営の困難さ、行政との思惑の相違等、Jリーグ・クラブ運営だけに限らず全ての地域社会活動に通じる部分がある作品であった。
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Football、そしてJリーグを愛する人なら読むべき1冊。ゼロからのチーム発足、ナビスコカップの栄冠、そして一転J2降格、経営破綻へと、溝畑宏元社長(現観光庁長官)とその関係者への入念なインタビューを通じて大分トリニータの苦闘の歴史を綴っている。
スポンサーの件では印象の悪いイメージを抱きがちだが、そうせざるを得なかった事情を我々も知るべき。そして、対岸の火事として眺めるのではなく、我々にも内在している問題として認識していかないといけない。
ただ残念なことに、重要な当事者であるサポーターからの目線が全くと言っていいほど記されていないのは残念。スポンサー批判という、通常なら採らない行動を起こした彼らにも、それだけの考えがあってのこと。ぜひ汲み取って欲しかった。 -
変人な役人が大分トリニータに賭けた夢のお話。資金調達のためならケツに花火を突っ込むという形振り構わない精神は凄まじい。