社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087805284

感想・レビュー・書評

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  • 消化できないことが多いなー。報道に出ないようないろいろな事実は丁寧に書かれているけど自分としてそれをどう理解すればいいのか迷います。

  • ある側面からは事実なんだろうけど、溝端さんサイドに立ちすぎ。サポーターがどう思っていたかも取材してほしかった。

  • 武蔵野

  • 癖のありすぎる人間の、成功と失敗。可能性と限界。

    そしてスポンサーとしてでてくる、裸一貫から成功した人物達。

    彼らのメンタリティが、とても興味深く読めました。

  • 大分トリニータは2009年のシーズンで下位に沈み、J1からJ2へ降格。同時に財政破綻により、Jリーグから融資を受ける等、サッカーの成績ばかりではなく、経営的にも行き詰っていることが露呈。社長である、溝畑宏は辞任を余儀なくされる。その1年前、2008年のナビスコ杯で大分トリニータは優勝、地方の小規模クラブがよくぞ快挙を成し遂げたとして賞賛されたのが嘘のようなあっけない凋落の仕方であった。
    溝畑宏は旧自治省のキャリア官僚、大分県庁に出向となり、地方振興策の一環としてサッカーを活用するアイデアを得、大分へのW杯招致、Jリーグチームを持つなどの目標をたて、それを成し遂げる。2002年の日韓ワールドカップのために、大分には立派なサッカー場が出来、そこで何試合かが行われた。また、県リーグからスタートした大分トリニータ(設立当時はトリニティ)はJ1まで登りつめ、また、上述の通り、カップ戦でも優勝するという成績をおさめた。本書でも紹介されているが、その間の溝畑の苦労は並大抵のものではないが、それでも、その苦労は報われた、ということでもある。ここまでが天国。
    一方で、J1から降格し、また財政的にどうにもならないところまで追い詰められると、溝畑に非難は集中、もともと大分県内では人望のなかった溝畑は、実質的に解任されるし、サポーターからも、それまでの業績にも関わらず一方的な非難をあびる。その後、観光丁長官に就任することが出来たとはいえ、解任に至るところが地獄。

    本書は、かなり綿密な取材により、大分トリニータの、従って、それは溝畑宏の大分での15年を振り返ったものである。Jリーグのチームを、特に地方でそれを持つということが、どういう構造のことで、どんなことを引き起こすのか、といったことが(もちろん、それは大分トリニータの個別のケースではあるが)理解できる。
    サッカーが好きで、中学・高校を大分で過ごした私は、当然のように大分トリニータのファンになった。大分には、まれに出張で行く機会があった。J2時代、現在のスタジアムが出来上がる前、大分市営競技場での試合を観戦に行ったりしたこともあった。J1に昇格した後、大分市内に赤いユニフォームを来た大勢の人達を見かけ、何だろうな、と思って近づいてみると、浦和レッズのサポーターの人達で、アウェーの試合の応援に、はるばる大分まで来ていたのだった。なぜか、それを見て、「大分も本当にJ1に昇格したのだな〜」としみじみと嬉しくなったことを憶えている。テレビ観戦だったけれども、ナビスコ杯で優勝した時は感激したものだ。
    2009年のJリーグでのチームの信じられない崩れ方や、その後の財政問題をめぐってのゴタゴタもいちおう、ウォッチはしていたが、いったいどういうことなのか、今ひとつ本質的なことが分からなくて、いらいらしていた。この本によって、その内容の一端が理解できた気がする。今季のトリニータは、J2でも下位に甘んじている。テレビでも試合を観たことがないが、主力選手のほとんどが放出され、大幅という言葉では追いつかないほどの戦力ダウンの中では仕方がないのだろう。

    ファンとしては、トリニータが復活できるのかどうか、が気になる。復活のための仕事に携わっている人には、この本は非常に参考になる本だと思う。そういう人達に、是非、読んでもらいたいものだと思う。

  • 大分のプロサッカーチームの設立に動いた人、巻き込まれた人の話。政治や金なども絡んだ綺麗事だけではない話だが壮絶なストーリーに引き込まれる。自分に取ってこれからも興味の中心となるであろうテーマ。

  • 大分トリニータの栄光と転落

    それがわずか1年の中で起こり、本当にショッキングな出来事でした。

    溝畑社長は、時代の寵児から

    各方面から「バカ、ハゲ、死ね、辞めろ」の大批判にさらされる日々へと変動していきます。



    この本にはその裏にあった真実を

    とても丁寧な取材を繰り返すことによってあぶりだされています。



    そして大分の破たんにより周りから起こった

    「身の丈経営」を推進する動き

    木村さんはそのことへの警鐘もならしています。



    地方から日本一へ、大分から世界へ

    そのビジョンすべてを否定してはいけない。

    この本でそのことが暑く語られています。



    溝畑社長にすべての責任を転嫁し

    大分を窮地に追いやった犯人がこの本には書かれています。



    同じような犯人がジュビロにも表れることを否定できません。



    Jリーグファンなら、この本を避けては通れない。

  • 溝畑氏がトリニータを立ち上げてから、観光庁長官に就任するまでの
    できごとがジャーナリストの取材によって明かされている。

    この本が正しいとは言えないが、有名になるとメディアが邪魔になる
    という良い例だと感じた。

    また、多くの公的権力との関わりがチームには存在してくるが、
    そこでの利害関係や確執も、
    仕事を進めることを阻む大きな要因であると感じた。

  • 全てのサッカー好きの人に読んで欲しい傑作。
    特に大分の人に読んで欲しい。

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著者プロフィール

1962年愛知県生まれ。中央大学卒。ノンフィクションライター。東欧やアジアの民族問題を中心に取材、執筆活動を続ける。おもな著書に『オシムの言葉』(集英社文庫)、『蹴る群れ』(集英社文庫)、『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』(ころから)、共著に『さらば、ヘイト本!』(ころから)など。

「2019年 『13坪の本屋の奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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