- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087814330
作品紹介・あらすじ
アーキペラゴ=群島・多島海。南はトカラ列島から台湾へ、北は北海道からサハリン島、クイーンシャーロット諸島へ。島の連なりとしての世界へ向かう、10年間の写真集成。
感想・レビュー・書評
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石川直樹氏の巻末のこの言葉を体感した一冊。
「多声的なアイデンティティーをもった島は、国家の出入り口ではなく海が結ぶ広い世界への入り口として存在し、逆に中央とされていた場所が島々のゆるやかな連なりのなかでは内を向いて孤立しているようにさえ僕には感じられる。」
中央とされていた場所から見えなかった、別の角度からの世界への視点を得られた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宮の森美術館の石川直樹展観て、感銘を受けた写真が多数で心踊った。少し前の吹雪のススキノ。浦河のどこか遠くを静かに見つめる老人の写真。白老のアフルンパルと思われる洞窟の写真。しばし手元で眺められる贅沢。また、個人的に興味のあるトカラ列島の写真も多数。悪石島のポゼなどの貴重な写真。個人的に行ったことのある波照間島の行事は何の神事だったのか。
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4冊目。
表紙のデザインが好き。
”島”というとつい南方が思い浮かびがちなのだけど、そうか、ほっかいどうも島なのか…!というあさってな気付きを得つつながめた。
それぞれ違う島なのに似たような印象を受ける光景がいくつもあった。言語化されずに共通項を見せるこれらの記号に、国境のない時代から連なる文化のつながりを感じる。
別のこの人の著作に書かれていた過去の冒険(?)にまつわる某が島に流れ着いていたのをひとつづつ写真に撮った…というのは、そのくだりを巻末でよむ前に写真を見て『あれ、ひょっとして』と気付き、おもしろいなあとおもった。でっかく言って全部地球の上にある。海流はめぐっている。流れ着くものも流れ着かないものもある。でっかく言って、手元になくともそれはある、という考え方も可能だと捉えることは、誰かを救ったりするだろうか。しないだろうな。みたいなあさってで不謹慎な考えがふと浮かんだ。
トナカイを解体したのちの毛皮の積み方が、別の写真集で目にしたシロクマのそれと同じような積み方だった。風習・文化・儀礼、とかもあるかもしれないけれど、こういうのは単に手続きの上で自然と発生する合理性の一致だったりするのかな、ともおもった。
総じて色も印象に残った。自然のものも人間のものも生々しい、濃い色をしている。うつくしさだけじゃない、灰汁をはらんだ、生命の力強さだなあっておもう。 -
写真を見れば鹿児島から台湾、青森からサハリン、ゆるくつながっていると再確認しました
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国境によって区切られた地図を自明のものとせず、島の連なりとして世界をとらえ直してみるという試みで撮られた写真集。
沖縄本島や西表島、渡名喜島はじめとした沖縄諸島、その次は台北、金門島、そこから北方領土の択捉島まで。島づたいに渡った写真。
いろいろなものを見るには世界中を旅するのではなく、1つの島に目を向ければ世界のすべてがそこにある。
海に囲まれているからといってひともモノもとどまっているわけではない、海が結ぶ広い世界への入り口として存在しているのだ
むしろ中央とされている場所のほうが内を向いて孤立しているように見える、 -
石川さん、あなたのフィルターを通して見える世界に興味があるんです