- Amazon.co.jp ・マンガ (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091847201
作品紹介・あらすじ
巨編ついに完結! 描き下ろしカラー追加!
月面で見つかった五万年前の死体。木星圏で発見された百万年前の宇宙船と巨躯の宇宙人。かつて存在した第五惑星ミネルヴァ。そしてミネルヴァで進化した人類の子孫たち--すべての謎が鮮やかにつながる完結巻! ガニメアンの科学者たちが「巨人たちの星」目指して去った後、国際平和委員会=ジェヴレン人が突然牙をむいた! 地球への総攻撃の時が迫る!?
【編集担当からのおすすめ情報】
これまでの巻が序章にすぎないと思えるほどの怒濤の展開、そしてハタと膝を打つ大団円が心地よい余韻を残すSF巨編の最終巻となりました。これ以上ないくらいに広げられた大風呂敷が、こんなにキッチリすべての謎が解け、しかも心地よく終わるなんて! これぞSFの醍醐味、という作品です。
感想・レビュー・書評
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■感想
・第一巻と第二巻はとても刺激的でした。後半はわりと普通のSFだったかもしれません。
■内容
・最終巻。
・ランビア人(ジェヴレン人)の企み(地球制服と地球人の奴隷化による「復讐」)は進む。
・国際平和委員会のため地球はほぼ丸腰の状態。企みだけでなんとか危機を回避しなければならない。結果的に戦争にならずよかったとも言える。
■設定
【チャーリー】仮称。月面で発見された男性の死体。物語の発端。約五万年前に亡くなったらしいがほぼ地球人と同じ肉体構造。手記を残しておりそれによって研究が進んだ。
【月】テューリアンの五万年前の贈り物。元々惑星ミネルヴァの月だった。核兵器が使用された痕跡がある。それまでの地球は一日は八時間という超高速自転をしておりそのため重力は十分の一でかつ超強風世界だったゆえに体重が重く羽を持つ生物が有利だった(恐竜)。かろうじて森林地帯から出た人類の祖先は洞窟で暮らししだいに体毛は減っていった。月を得たことで地球の自転は遅くなり重力は大きくなり風は小さくなり生存しやすい星となった。ルナリアンの言葉で「セラン」と呼ぶ。
【ミネルヴァ】火星と木星の間に存在していたと思われる太陽系第五惑星。アステロイドベルトの小惑星群は跡形もなく破壊されたミネルヴァ発祥と思われる。極端に金属資源が少なくセリオス人とランビア人に別れて戦争をし、その果てに惑星自体が破壊された。
【ミネルヴァ人】元々ガニメアンの星だったが気候変動で移民した。彼らが地球から連れてきたのがルナリアン(後のセリオス人とランビア人)。特殊な措置により知性と好戦性を得た。その後セリオス人とランビア人の戦争により惑星が破壊される前にガニメアンにより、セリオス人は月の移動とともに地球に、ランビア人はジェヴレンに移住させられたと思われる。
【ルナリアン】月で発見された遺体チャーリーにちなみ便宜上ルナリアンと呼ばれた。一体しか発見されていないので発見当時はほぼチャーリーと同義だった。
【セリオス人】ミネルヴァ二大種族の一方。後の地球人と思われる。
【ランビア人】ミネルヴァ二大種族の一方。惑星を破壊する兵器を作動させた(?)。後のジェヴレン人と思われる。ガニメアンが移住した「巨人の星」の近くに存在すると思われる。国際平和委員会のメンバーのルーツはジェヴレン人だと思われる。
【ミネルヴァ先住民族】→ガニメアン
【テューリアン】→ガニメアン
【ガニメアン】木星の衛星ガニメデで発見された百万年前の宇宙船に乗っていたので便宜上ガニメアンと名付けられた。国際平和委員会では「テューリアン」と呼んでいるのでそちらが正式名称だと思われる。おそらくミネルヴァ先住民族。身長三メートルほどの巨人で脳容量も大きく手先も器用だった。彼らは百万年前に寒冷化進むミネルヴァを捨て大移民船団をつくりどこかに移住した。そのときミネルヴァの金属資源は枯渇したのかもしれない。額の特殊な器官のおかげで他者の考えがある程度わかるゆえ戦いを知らず争いという概念自体がなく、またそれゆえに完全なベジタリアン。ミネルヴァの古生物がまだ魚類だった頃肉食動物は存在していたが他の動物は毒を体内にためることで対抗した。それが地上に上がってきても長い間残っており怪我をすると自家中毒で死んでしまうゆえ怪我をするような行為や、怪我をさせられそうな牙や角や爪を持つ動物の一切を恐れた。彼らは地球産の生物もとらえミネルヴァで繁殖させていたようだ。移民船団にはいくらかサンプルとして乗せていた。サンプル以外の地球産生物たちはそのままミネルヴァで地球と同様に進化していった。これがルナリアンの先祖。
【国際平和委員会】なにか知っておりそれを隠したがっているようだ。全委員が世界的な財閥の総帥で経済援助だけですべての争いを押さえ込んだ。後にジェヴレン人による団体だとわかる。
■惑星ミネルヴァについての簡単なメモ
【ヴィザー】テューリアンの現在のコンピュータ。
【ヴェリコフ】国際平和委員会のメンバー。巨体。後にジェヴレンを裏切る。
【カドリフレクサー】ジェヴレン人が作っている何か。巨人(テューリアン人)を封じることができるらしい。どうやら時空間の檻のようなものらしい。
【ガニメデ】木星の衛星。未知の宇宙船、約百万年前のものが発見された。
【巨人】ミネルヴァでよく表現される。神のような存在なのか大物ということなのか言葉通りの巨人がいたのか。
【巨人たちの星】ミネルヴァ先住民族(ガニメアン)たちが移民した先の星と思われる。
【グレイ】ハントの部下。トライマグニスコープのオペレーター。
【クロマニョン人】原始人類。現行人類の祖先となった。一時一万人ほどいたが氷期に数百人まで減ったらしい。
【コールドウェル】航行通信局本部長。ハントを招いた。
【コペルニクスⅢ】月の表側と裏側の境界に建てられた月面基地。
【五万年前】太陽系内でなにかが起こったようだ。月面でも核兵器が用いられた形跡がある。
【コリエル】チャーリーの友人。チャーリーにとって「巨人」のような存在だったと書かれていた。
【ジェヴレックス】ジェヴレンのコンピュータ。ヴィザーに近い能力を持つ。
【ジェヴレン】国際平和委員会に指示を与えているなにものかのようだ。よくある「人類の管理者」のような感じかも?
【シャノン】ジュピター5の司令官。
【シャピアロン】ガニメアンの宇宙船。ファーストコンタクトしたガニメアン。どうやら移民船団とは関係ない船のようだ。百万年前にミネルヴァを出発し他の星系で二酸化炭素を増やさず太陽からの熱を増やす実験をしていたが失敗、百万年の旅を続けていたらしい。
【ジュピター5】木星圏探査船ジュピター4の後継船。
【ジェヴレン】ネアンデルタール人ないしはミネルヴァのランビア人たちの勢力の末裔かもしれない。地球では国際平和委員会として人類をコントロールしている。
【シリル】ガニメデで発見されたガニメアンの宇宙船で発見された、地球から連れてこられた(か、その子孫)と思われる猿人。クロマニョン、ネアンデルタール双方に共通する祖先と同一種だと思われる。仮説ではこいつのせいでガニメアンの宇宙船は墜落した。便宜上シリルと名付けられた。誰かの元上司のシリルさんに似ていたからだとか。
【シローヒン】シャピアロンの乗員でガニメアンの科学者。
【スヴェレンセン】ニールス・スヴェレンセン。国際平和委員会の委員。
【ストレル】ゴードン・ストレル。ジュピター5の副官。
【セリオス人】ミネルヴァでランビア人と激しい戦争をしていた。現行地球人であるクロマニョンと同タイブの人類の末裔かと思われる。
【ゾラック】シャピアロンの船長。
【ダンチェッカー】クリスチャン・ダンチェッカー。生物学者。
【トライマグニスコープ】ハントが開発した。ニュートリノを利用してあらゆる物体内部を3D透視できる。
【ネアンデルタール人】原始人類。絶滅した。
【ハント】ヴィクター・ハント。主人公。政府の事業や民間企業を転々としながら独自の研究を続けている。
【ブローヒリオ】ジェヴレンのトップ。
【ランビア人】セリオス人との戦争の挙げ句ミネルヴァを崩壊させた民族。ネアンデルタール人と同タイプの人類の末裔かと思われる。
【リン・ガーランド】コールドウェルの秘書。折に触れて色っぽいポーズを取る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コスプレのような知的生命体が登場。
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原著で言うと「巨人たちの星」あたり?
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全巻通して読み終わりました。
SFとしても見事、伏線回収も含めてミステリとしても一級品。私はこれ読んで「あぁ原作読みたい!」となりました。やっぱり良いものは良い。実に良いコミカライズだと思います。
全体的に「そうだ、俺達人間はこうしてのし上がってきたじゃねぇか!」というような人間賛歌を感じるストーリーでした。ゾクッとしました。スカっともしました。ただまぁ、こういうのにゾクッとするというか、スカッとするっていうのは、何なんでしょうか。いや、当然物語が面白かったとか、そういうのもあるんですが、その一方で何か一抹のモヤッとした感じを抱いてしまう。
やっぱり肯定したいんでしょうねぇ、人間存在という自分達の存在のあり方を。そういう欲望というか、願望というのが、私の感じたものもそうですし、物語そのものの背後に隠れているような気もします。
読みようによっては、戦争や差別、虐待や貧困といった負の歴史から、抜き難い攻撃性から、知性の闇まで、人類の闇は全てテューリアン人が責任を取って謝ってくれるみたいな、自分達とは違う異世界の超越者が責任を取ってくれるみたいな、だからお前たち人類は大丈夫だみたいな、むしろよくやってきたじゃねぇか見直したぞみたいな、そういう話としても読めるわけです。究極のご都合主義ですよ。
ただ、そうと感じつつもね、まぁ、気持ちは頗るよくなるわけですね。「僕らが悪いんじゃないんだ! むしろ僕らはこれまで頑張ってきたほうなんだ!」って思えるというのは確かにある種のカタルシスをもたらしますから。
タイトルの『星を継ぐもの』。何というかそういう意味では複雑な気持ちになった読後感でした。 -
まるで1本の壮大なSF映画を観たような充実感・・・
大変堪能できました。
すべての謎に答えを出しての物語の終焉は・・・
素晴らしいの一言です。
星を・・・太陽系を継ぐ者として進化した人類。
現実でも辿り着ける場所なのでしょうか?? -
原作は未読なのだけど、想像力の逞しさに驚かされる。どうやら何冊か分の内容がまとめられているようで、終盤駆け足気味との意見もあるようだけど、元を知らないからか気にはならなかった。
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「星を継ぐもの」ってこんな話だったけと思ったら、大幅に端折って、3作目までの入れているのか。「星を継ぐもの」は読んだが、2作目、3作目は買っけれども、積ん読で終わっているので見たことのない話になっていても当然だ。原作ものはやはり難しいなあ。
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最後急いだな。もっとじっくりでも良かったのにもったいない。
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全巻が完結するのを待って一気に読み終えた。
星野之宣のSFものは2001夜物語が良かったのである程度期待はしていたが、想像以上に深い内容だった。原作は未読だが、SFの面白さを久々に堪能した。
月の起源(宇宙を彷徨う月が地球の引力に捕えられて衛星になったという説)、ホモエレクトスからの進化したネアンデルタール人とホモサピエンスの争いなど、実際の科学知識をちりばめながら、太陽系100万年の物語を描き出す展開は謎解きの要素もあり、面白かった。
ただ、(他の書評でも指摘されているように)第4巻の展開が性急すぎて、若干無理があるように思えたので☆4つ。 -
思わず「おお」とうなる美しい展開。原作譲りにしても、漫画家と相性がすごく良かったんだろうな。僅か4巻で語りきった名コミカライズ。