東京ラブストーリーAfter25years (ビッグコミックススペシャル)

著者 :
  • 小学館
3.83
  • (8)
  • (9)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 120
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091894434

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • かつてハラハラ読んで楽しんでいたラブストーリーの
    なんと25年後。
    夢物語や、甘いだけのラブストーリーでなく
    それなりに時間が経過して、暮らしがあって
    想いがあって、の25年後。
    それが現実に生きてるいる自分と同じなので
    すんなりと世界に入っていけて
    懐かしい気持ちで楽しめた。

  • 読まない方がいいかな、こういうのは楽しかった思い出にしておけばいいのに、と思いつつ手にとってしまう。その後の物語の仕立てとしては、元カノ元カレの子供同士が知らずに付き合い始めて…という、あすなろ白書の後日譚といっしょやん!と突っ込みつつも、登場人物たちの25年分の人生が語られ。リカの発案で海辺で見送るシーンではそれぞれのキャラの持ち味が出ていて、いいなあ、人生は続く、という感にひたる。

  • 日本経済新聞社

    小中大
    記事利用について

    印刷 印刷


    発信 発進東京ラブストーリーで女性描く 柴門ふみさん
    薄れる恋愛色 仕事は手堅く

    2017/1/3付日本経済新聞 朝刊

     バブル絶頂期、若者たちに支持された漫画「東京ラブストーリー」の続編が2016年に連載された。設定は25年後。自由奔放な言動で主人公のカンチを振り回していたリカは50歳を目前にしても若者に「稲刈り合コン」を主催するなど、恋愛に情熱を燃やしている。



    「赤名リカ」を時代の空気にのせて描いてきた漫画家の柴門さん(東京都武蔵野市)

    「赤名リカ」を時代の空気にのせて描いてきた漫画家の柴門さん(東京都武蔵野市)



     恋愛と仕事はいつの時代も若者にとって大きな関心事。作者の柴門ふみさん(59)の目に四半世紀の変化はどう映っているのか。


     「浮かれOLはアフター5のことで頭がいっぱい。まるで仕事に力が入っていない」


     遅刻、無断欠勤は当たり前で、週末は香港でショッピング。寝ないで遊んで帰ってきて、そのまま月曜出社――。リカをバブル期のエネルギッシュな女性の象徴として描いた。「人生を楽しむことに貪欲。私とは真反対」。一方、保守的な女性として描き、後にカンチと結婚するさとみはドラマでは不人気だった。


     お茶の水女子大学への進学を機に徳島県から上京した柴門さんはポスト団塊世代。バブルの熱狂を距離を置いて見ていた。ディスコのお立ち台に上ったことは1回のみで「典型的な田舎の優等生」と振り返る。


     親から見れば学歴も嫁入り道具の一つで良い孫が産める証し。周りで企業に就職したのはたった1人で故郷に帰ってお見合い結婚するのが王道だった。「当時は皆、社会に洗脳されていた」


     そんな社会の空気は、1985年制定の男女雇用機会均等法やバブルの到来で変わっていく。当初は脇役だったリカのキャラクターを際立たせたのも時代の要請だった。


     「魚しか食べていなかった時代、突如登場したチキンに日本人はやみつきになった。女性にとっての仕事も『チキン』だ。一度、充実感を味わったら二度と専業主婦には戻れない」


     今や女性が働くことは当たり前。続編の中でも、さとみは主婦から自営業へと転身し、家計を支える。カンチは一時主夫となり、この25年で男女の役割が変わった状況を反映させた。「イクメン」が出現する一方、家族の在り方も変化している。年間22万組超が離婚し、40代独身やシングルマザーも珍しくない。


     自らの生活も変わった。夫で漫画「島耕作」シリーズの作者、弘兼憲史さん(69)や独立した子供たちと一緒に週末の食事を楽しむ生活で、普段は一人で過ごすことも多い。


     弘兼さんは正月三が日以外は休まない仕事人間で家事を手伝うタイプではない。わずか4時間の睡眠で育児を続けた日々もあった。「離婚しようと思った時期もあった。考えたことがない夫婦はいないでしょう」。昨年12月に発売されたエッセーでは、子供のようにわがままを言う夫を「大きな気持ちで見守っている」と書いた。


     現代の20~30代は恋愛より仕事優先といわれるが、「仕事はきっちりするけど勝ち負けはない。恋愛も用心深すぎる」との印象を抱いている。営業先で顧客と粘り強くコミュニケーションを図ったり、振られても何度も告白したりするバブル世代の強みは「トライ・アンド・エラー」だ。


     「押して引く加減は経験でしか分からない。若いうちに経験を積め」


     柴門さんが一瞬、リカの顔を見せた。


    (インタビューの一問一答を電子版に▼Web刊→紙面連動)

    ===



    日本経済新聞社

    小中大
    記事利用について

    印刷 印刷


    漫画家、柴門ふみさん 恋愛は「知らない自分に出会える」
    発信・発進2017
    2017/1/3 2:01日本経済新聞 電子版

     バブル期に若者を夢中にさせた漫画「東京ラブストーリー」。25年ぶりに続編を連載した漫画家の柴門ふみさん(59)に続編制作の理由やバブル世代の生き方、最近の若者の恋愛傾向などを聞いた。





    漫画家の柴門ふみさん

    漫画家の柴門ふみさん


    Q なぜ続編を描いたのか?


    A 当時連載していた漫画誌からの依頼だった。これまで自分の作品を読み返すことはほとんどなかったが、約20年ぶりに読み返したら頭の中で主人公のカンチとリカが勝手に動き出していた。当時は、最初から終わり方を決めていて、続編を描く想定は全くなかったが、若い頃に恋愛関係にあった男女の関係性が25年後どうなるのかを描きたかった。すごく親しい関係にあった2人は、25年ぶりに出会ったとしても赤の他人では収まりきれない別の関係性があると思う。そこで恋愛になるか、友情になるか、知人で終わるかは人それぞれだが。


    ■バブル世代、楽しいことに貪欲


    Q 東京ラブストーリーに象徴されるバブル世代をどう見ている?


    A 自分の若くて良い時期を一番楽しく過ごしたので、それがどこか体の中に残っている人たち。いつもパワフルだ。女性は「美魔女」に象徴されるが、女性として「きれい」「かわいい」と思われたい気持ちを手放したくない人が多い。男性もいつでも楽しいことをしたいと思っている。景気の良い時代でなくなっても、バブル世代はまだいいことがあるかもしれないと思っている。成功体験と楽しいことに対する貪欲さがすごい。


    Q バブル世代はバブル期と現在のギャップをどう感じているとみるか?


    A 若い頃信じていた企業のブランドがどんどん変わっていることに驚いていると思う。一流企業に入ったのにリストラされるなど「こんなことになるなんて」とショックを受けている。東京ラブストーリーの25年後の物語でも、カンチは勤めていた企業をやめて再就職しようとする。でもなかなかうまくいかず、一時は主夫をやっていた。その間に妻のさとみがリサイクルショップを開いて生活費を稼いでいたという裏ストーリーがある。前向きなバブル世代だが、挫折がない人なんて一人もいない。離婚、子供に恵まれない、子供の不登校など誰もが苦労を抱えている。


    Q 今の若い世代とバブル期の男女の違いは?


    A 恋愛にかけるエネルギーが全然違う。バブル期の人は恋愛に対するエネルギーがものすごくて、仕事にかけるエネルギーまで恋愛のほうに持ち込んでいた。今はリカのように情熱的に恋愛に打ち込む女性は非常にまれ。今の20~30代は恋愛は仕事の邪魔にならない程度と思っている人が多いようだ。仕事はきっちりするけど、男性みたいに出世欲はなく、恋愛もそこそこ、でも衣食住にはこだわるという「勝ち負けにこだわらない」女性も増えている気がする。夜カフェに行っても平気で一人で食事している。バブル世代では女性が一人で食事をするのは恥と思っているのでそこに世代を感じた。


    ■恋愛に慎重なのはSNSが一因


    Q 若い世代が恋愛に慎重になっている原因をどう考える?


    A インターネット社会や交流サイト(SNS)の発達がその一因になっていると思う。私たちの世代やバブル世代は、告白して失敗してもネットもスマホもなかったので、失恋の傷も浅くて済んだ。クラスの半分くらいの男の子が女の子に声を掛けていて、皆、失敗経験があるから周囲の失敗もそんなに気にしていなかった。今は、LINE(ライン)などで一瞬で拡散してしまうので勇気がいる。臆病になってしまうのはある意味仕方がない。若い世代は相手との距離感がつかめていない人が多い。相手の表情や声のトーンで感情を読み取る力を磨いてほしい。





    仕事机にむかう柴門ふみさん

    仕事机にむかう柴門ふみさん


    Q 恋愛で苦労した経験は?


    A 小学生の頃は純粋だったので、現実とフィクションの違いが分からなかった。少女漫画のように心さえきれいだったら絶対恋は成就すると思っていた。でも中学に入ると失恋続きで「あれ?おかしいな。心の美しさでは誰にも負けないはずなのに」と違和感を感じ、少女漫画のウソにようやく気がついた。そのころから漫画家になりたいと思っていたので、もし漫画家になったらウソは書かないぞと心に誓った。実際、何のとりえもない主人公の恋がとんとん拍子に実るような恋愛漫画は書かない。


    Q 「少子化対策一人NPO活動」をしていると聞いた。


    A 仕事柄、様々な独身男女に会う機会が多いので、気が合いそうな男女を見つけたら会ってみないかとセッティングする。お節介おばさんみたいなもの。何組も結婚を成立させてきたが、ここ数年うまくいかなくなってきた。男性の押しが弱い。20~30代の母親はバブル世代やその上の世代で、専業主婦になっている人が多い。そのため自分の全エネルギーを育児に注いできた。必要なものは全て子供に用意してあげていたので、その子供は「何でもやってもらうのが当然」になってしまっている。プライドが高くて失敗を恐れているので、仕事でも恋愛でも用心深くなりすぎている。


    ■50歳はまだ恋の現役


    Q 「恋愛の神様」と呼ばれている?


    A それは、雑誌でおもしろがって付けられた名前。そんなことは全く思っていない。でも恋愛はすごく面白いと思う。恋愛漫画が得意な漫画家ではある。本当に恋愛すると、自分でも知らないいろんな自分に出会えるきっかけを与えてくれる。一番大きなものが嫉妬心だ。嫉妬心、執着、独占欲などは恋愛をしなければ眠っている感情。そういう感情に戸惑う人間を観察するのが好き。クールな人が突然気色ばむほか、人間の思いもかけぬ本性がみえることがある。


    Q カンチとリカに代表されるバブル世代の10年後をどうみる?


    A 50歳はまだまだ恋の現役。実際、50代で恋愛している人は周囲にいる。さすがに60歳を過ぎると単純に生物としてのエネルギーが下がってくる。恋愛も含め50代で人間は大体完成されると考えている。でも実は、私の姉は59歳で結婚した。相手は当時60歳。姉を見ているとまだまだ恋愛できるんだなと驚かされた。


    Q 自身は23歳で結婚した。夫婦とは?


    A 最近気がついたが夫婦は習慣。仕事でも友達でも同じだが、慣れるまでに10年はかかる。夫婦も10年経つとなじんできて自分の体の一部になる。たとえ男性が浮気しても結局元の家庭に戻るというのは、習慣化しているからこそ。相手に期待しすぎたり求めすぎたりするとそこから夫婦関係はだんだん狂ってくる。習慣になっていない夫婦が離婚してしまうので、若いうちに結婚して習慣化すれば夫婦は長続きすると思う。


    (聞き手は吉田三輪)

全20件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1957年徳島県生まれ。お茶の水女子大学卒。79年漫画家デビュー。『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』『同窓生 人は、三度、恋をする』『恋する母たち』など、著書多数。エッセイ集として『恋愛論』『大人の恋力』『そうだ、やっぱり愛なんだ』『老いては夫を従え』など多数。2016年、25年後の物語として描かれた『東京ラブストーリー  After 25 years』で柴門ふみブーム再燃。夫は弘兼憲史氏。

「2020年 『オトナのたしなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柴門ふみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×