ジャングル大帝 (2) (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
3.80
  • (9)
  • (3)
  • (12)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 60
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091923929

作品紹介・あらすじ

▼第10話/戦闘▼第11話/幼いものたち▼第12話/ふるさとをすてて▼第13話/ダンディ・アダムという男▼第14話/レオの宮殿▼第15話/ニューヨークにて▼第16話/死斑病▼第17話/ムーン山に関する記録▼第18話/ルネ故郷に帰る▼第19話/ビッグ・クレバス▼第20話/氷の地獄▼第21話/大団円
●登場人物および動物/レオ(全身が白い言葉をしゃべるライオンで、ジャングルの王)、ライヤ(レオの恋人)、ケン一(レオのよき理解者である日本人。ジャングルに置き去りにされ、レオとともに生活することに)、コンゴ(ジャングラ族を統治する女王。その正体は、ケン一とともにジャングルに置き去りにされた少女、メリー)、ヒゲオヤジ(ケン一のおじ。ジャングルで消息を絶ったケン一を探している)
●あらすじ/ピグミーの村で暮らしていたレオは、村に戻ったライヤと再会。レオは彼女から仲間たちが不安な生活を送っていることを聞き、ジャングルに戻ることを決意する。一方、ケン一はジャングラ族の女王・コンゴに捕らえられたヒゲオヤジを救出に行くが、反対に捕らえられてしまった。勢いを得たコンゴは、川下のレオの土地に総攻撃をかける。ジャングラ族の大軍に押され、ジャングルを捨てて退却するレオたち。と、その時……!(第10話)▼ライヤと結婚したレオは、二児の父親となった(第11話)。子煩悩ぶりを発揮するレオだがった、平和な日々は長くは続かなかった……(第12話)。▼この巻の特徴/人間の世界に憧れ、一人旅立ったルネは、興行師に捕えられサーカスで働かされる(第13、15話)。ルネを失い、悲しみに暮れるレオたちを、ジャングル特有の難病・死斑病が襲う。なすすべもなく、次々と仲間を失うレオ。だが、偶然その地を訪れたヒゲオヤジたち調査隊により、全滅の危機を免れるのだった(第16話)。人間たちの頼みを何でも聞く、と誓ったレオは、ジャングルの奥深くにある幻の山・ムーン山への案内役を引き受ける。そして……。
●その他の登場人物および動物/パンジャ(全身が白毛で覆われたライオン。レオの父親だったが、人間の手により殺された)、リヨーナ(ピグミーの村のひとつで神として崇められている白い雌ライオン。パンジャの姪)、ココ(物まね上手なオウム。口うるさいが、いつもレオのことを心配している)、トミー(レオと行動を共にするシカ。帽子をかぶっている

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 覚悟していたけれど、
    やっぱりレオの最期は悲しい。

    そのラストに向かうまでのエピソード、
    妻のライヤを死に至らしめた流行病、
    息子のルネがニューヨークでの体験やムーン山の探検などには、
    金勘定が好きで争う事を止められぬ人間の愚かさや身勝手さ、
    しかし、その一方で、
    「いや、人間だって捨てたものじゃない。
    いざとなれば、人間には無償の愛を示す事が出来るのだ。」
    といった作者の手塚治虫氏の抱えた葛藤が
    これでもかとばかりに描きこまれていると思う。

    大自然の前においては、
    動物も、人間も、
    なんて無力で弱い存在なのか。

    子供が読んでも、大人が読んでも、
    ずしりと心のくる作品だと思う。

  • 人間に育てられた白いライオン・レオの成長する姿を通して、自然と人間の関わりを描いた長編作品。生き生きとした動物たちや子ども時代のレオの可愛さに目が行きがちですが、人の欲望の醜さや当時は異端の学説だった大陸移動説等も物語に盛り込んだ、社会派かつ科学的な作品です。

    レオを巡る人々や動物たち(父親パンジャ、母親エライザ、そして奥さんライヤまでも)が次々と死んでいってしまう物語構成は非常に寂しい。レオも最終的には自己犠牲で、ヒゲオヤジの命を守るために死んでしまいます(泣)。

    その壮絶なクライマックスを通して読者に伝えられた「すべての命は平等である」というメッセージが、その後『火の鳥』『ブッダ』『ブラック・ジャック』等にまでも引き継がれていくことを考えると、この初期手塚作品『ジャングル大帝』(1954年完結)の偉大さを改めて理解することができるでしょう。

  • エピソードはてんこ盛りですが、あまり感情移入できない。ルネはかわいい。

  • アニメ版を何度かみたことがあつたが、改めてマンガのはうを読んでみると、かなり違つた印象であると感じられた。人間と自然の対立といふよりも、地球の上で織りなされる異なる種類の生き物の生活模様といつたところか。
    たしかに、月光石は物語の動きをつくる、大切な存在であるが、この作品の大半を占めるのは、動物たちや人間の生活、白きライオンの世代継承の様子である。舞台もアフリカだけではなく、地球規模で縦横無尽に展開されていく。
    動物たちの生態系を乗り越ゑて互いに協力して生きていく様子や、ライオンが人間に混じつて生活するといふことは、それだけで十分に大事であるにも關はらず、さういふ様子をコミカルに書けるといふのは、やはりこのひとの力なのだらう。
    この作品の動物たちは、人間であつて人間でない。とても不思議な存在である。人間のやうに考え、人間と同様に振る舞ふ。しかし彼らが動物である以上、決して人間と重なることは決してない。それでも、人間と動物が互いにうまくやつている。白きライオンはその姿を越ゑて、ひとつのキャラクターとして息づひてゐる。
    動物と人間のコミュニケーションといふものは、アニメやマンガを越ゑて、様々なところで用ゐられるが、大抵が、人間を代理するコマのやうに扱はれたり、人間になんとかして似せやうと必死の努力をしたりするものである。
    この作品の動物たちは、人間の真似をして、人間のものを取り入れやうとするも、どうしたつてうまくいかない。しかし彼らはそれ以上何もしない。人間にならうとは思つていないのである。むしろ、人間に襲はれたり、サーカスの見世物にされたり、あるひは愛玩対象であつたり、人間に助けられたり、崇拝の対象であつたりする。動物たちは動物であることを決してやめやうとはしない。動物は動物のままである。一方の人間も、ジャングルでは自力で身を守れぬ無力な存在で、動物の助けなしには、物語を進められないきはめて非力な存在である。
    この作品はさういふ動物と人間を、決してなれぬ互いの存在に変へることはない。むしろ、互いの限界を克明に描き、その限界を重ね合せることによつて、互いの個性を表現している。だからこそ、彼らはコミュニケーションをとつたり、互いに協力していけるのである。殊に、主な舞台となるアフリカといふ土地は、さういふ動物と人間が共に存在できる、未知の可能性にあふれた土地として、手塚氏は考へていたのだらう。

  • 小さなギャグやコミカルな動作で読者を飽きさせない工夫をしつつ、世代の継承(パンジャ→レオ→ルネ)や「生き延びること」について言及する、骨太な作品。

    人間否定・自然讃歌ではなく、人間に疑問符をつけつつも最終的には讃歌になる、という構造がある。
    自然に圧倒されもがく命の讃歌だ。

    ヒゲオヤジ「皮……。肉……」
    の場面は凄まじい。
    雪山の描写が凄いからころ生まれる凄まじさなのだろう。

  • レオがムーンストーン探しの冒険に行く話と、
    人間の世界に憧れて家出した息子のルネが、失望して「やっぱりジャングルがいい!」と帰国する話。
    人間より、レオとルネのほうが勇気があってかっこいい!!

  • レオ可愛い。

  • レオの最期とラストの美しさにものすごいショックを受けました。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

手塚治虫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×