オキーフの恋人 オズワルドの追憶 (下)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 99
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093423533

作品紹介・あらすじ

凄惨きわまる女子高生連続殺人事件。更なる悪夢が続く下北沢の街。糸口すらつかめない犯人。女房に逃げられた厄年の「にわか探偵」が鍵を握る。

感想・レビュー・書評

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  • 二つの物語が進むにつれ、交差していき、パラレルワールドのようで面白くなってきた。クライマックスでは更に小説の中でも現実と頭の中の世界が交差していく。
    どの世界にも愛だけではないと言いながらも、それこそが真実の理想の愛の形と思われる無償の愛が描かれる。そしてそのどれもが実は無償の愛ではなかった。だが、その愛に救われてきた方は逆にその愛に無償で応えたいと気がついた時には間に合わないのが哀しい。
    親子の情愛よりも全てを共有してきた友情が救ってくれたが、世の中にはそんな友情もあるし、それに匹敵する家族愛も夫婦愛もあると信じたい。

  • 辛くなってくることが多い長編だが本作は何とか読了。交差する二つの世界が行き交うストーリーは発想としては面白かった。

  • 洗脳って恐ろしい。
    「神がいるという気持ちの中に神の国がある」
    まさしくそれ。

  • 物語が佳境に差し掛かる下巻。上巻でしっかりと組み立てられた土台が、急速なテンポと登場人物たちの心理状態に描かれる迫力を以ってどんどん進んでいく。提示されていたいくつかの出来事が衝撃的な結末を以って次々に幕を下ろしていき、最後には予想し得なかった結末の中にストーリーは帰結する。
    オズワルトの追憶における主人公の焦燥や追い込まれていく臨場感に思わず引き込まれていってしまう。けれど、上巻で期待が膨らんでいた分、意外性はあるけれどいまいち無理矢理な結末が少し残念。提示された様々な出来事や登場人物たちの末路が、なんとなく曖昧あやふやなままに物語が執着してしまった印象。帰結することが大切なわけではないけれど、なんとなく途中で放られてしまったような、中途半端な印象もあった。

  • 小説家がでてくる話なので、例に洩れず小説の中に別の小説が入っている。
    テンポ良く読み進めてるのに現在と小説の切り替わりの不具合か、少し立ち止まらなくてはいけないような
    なんだか足踏みをさせられる感じ。
    小説の中の小説だからって無茶なまとめかたになっていたのも気になる。
    三つの話が同時進行した割に短く浅い内容でした。
    ただ、他の話を読んでみたくなるような発想の楽しそうな著者かなと思う。

  • 上巻と同じく。

  • 上巻よりまだ希望が見える内容。幸福な人生は誰にでも平等に与えられていると信じがちだけど、実際は絶望の人生を送っている人が少なくない。そんな人たちにとってこの世以外のところへいく考え方はリアルに魅力的だろう。絶望の中のショートホープが光ってた。

  • 最後のどんでん返しが好き

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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