半島をゆく 第一巻 信長と戦国興亡編

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093434423

作品紹介・あらすじ

歴史の旅に発見あり!

「半島は陸のどんづまりだけども、海の玄関口でもある」――。明治に鉄道が開通するまで、わが国の物流を担っていたのは海運だった。物流の集積地である半島の港には、物があふれ、人々が集い、あらゆる情報が飛び交った。 だからこそ、歴史は半島で動いた。 信長が初めて鉄砲を使用した桶狭間6年前の合戦(知多半島)、鑑真やザビエルが上陸した世界に開けた港(薩摩半島)、戦国屈指の山城を擁した城下町(能登半島)、本能寺の変の司令塔が置かれた「鞆幕府」(沼隈半島)、頼朝、早雲、江川英龍と歴史を転換させた韮山の地(伊豆半島)、信長の天下統一戦線を水軍で支えた九鬼一族(志摩半島)など、
直木賞作家・安部龍太郎氏と歴史学者の藤田達生氏が半島を丹念に歩き、海と陸の接点から日本史を捉え直す意欲作。創刊27年の月刊誌『サライ』の大好評連載が待望の単行本化。

【編集担当からのおすすめ情報】
知多半島の古刹・延命寺所蔵の洛中洛外図屏風は、大坂の陣の際に豊臣方の御座船から奪われたという貴重な作品。この屏風はいつ描かれたのか?
歴史解説を担当する三重大学の藤田達生教授が、その謎に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎氏は長年「街道をゆく」を記したが、街道が整備された江戸時代以前は海運が物流の中心だった。「半島は陸のどん詰まりだが海の玄関口」ということで「半島をゆく」と題して各地の半島を訪れている。
    本書に収録されているのは、知多半島、薩摩半島、能登半島、沼隈半島、伊豆半島、志摩半島。

    本能寺の変の背景にもふれている。2014年6月に「石谷家文書」の中に斎藤利三宛の長宗我部元親の書状が発見される。長年親密な関係だった長宗我部氏が、目前に迫った信長の攻撃で危機的状況に追い込まれた。長宗我部氏を支持する光秀と、阿波を支配していた三好氏と通じる秀吉の派閥抗争があった。光秀は自らの派閥解体の危機に瀕したため、旧主義昭の誘いに応じて室町幕府の再興を画策した。
    信長の強引な四国統一策の変更がもたらした光秀のクーデターだったというのが「四国説」。

  • 司馬さんの足元にも及びませんね。

  • 以前買った雑誌サライに「半島に行く」の連載を見付けた。二度行ったことのある丹後半島だったので、興味を持った。
    さて、その連載が一冊の本となって上梓されたのを新聞広告で知り、購入、
    気楽な歴史紀行と思ってたら、どうしてどうして、面白くて、久しぶりにページを捲る手が止まらない読書となった。
    歴史作家と歴史学者と画家の三人が、司馬遼太郎氏の「街道を行く」のようなことをと考え、街道が整備されたのは江戸時代、むしろ昔は海こそが遠方との交通手段で、半島はその結節点と見込んで始まる企画。

    六つの半島に旅して、語られる事物の豊かなこと。
    奥能登の大屋敷。若しやと思ったら、網野義彦氏「日本の歴史を読みなおす」で、百姓≠農業を着想し、その海を通じての交易の豊かさを語った場所だった。そして更なる能登の話題は長谷川等伯。
    鞆の浦では、最後の足利将軍、義昭の話。信長に京都から追放されて、幕府は終わったと思っていたが、鞆の浦で毛利の庇護のもと将軍として振舞っていたという。大河ドラマや歴史の本でも大抵、傀儡のくせに信長に逆らって捨てられた気位ばかり強い無能のように描かれるが、藤田教授によれば、隠然たる力を持ち、本能寺の変は、義昭ー光秀ラインに長曾我部、毛利までが反信長で繋がった結果とのこと。光秀や長曾我部の文書の解説は歴史研究の面白さをたっぷり味わせてもらえた。

    海や山の風景や料理や温泉など紀行文の味わいもたっぷり。僕もどこかに半島旅したいな~。

    僕のサライで読んだ丹後半島の旅は収録されていない。まだまだ続くのだろう。司馬さんの本のような大作になるかな。

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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