県庁の星

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861502

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の成長が見られて、コミカル、爽やかな話で良いのですが、成長が唐突な感じが、、いきなり人が変わったようになっているので、成長過程がもっと丁寧に描かれていると良かったかも。ちょっと物足りない感じはしました。

  •  エリート地方公務員の覚醒と自立を描いた作品。 
     Chapter1〜3の3章とプロローグおよびエピローグからなる。

         * * * * *

     主人公の野村聡はY県庁の上級職。事務処理能力は高いが、人間観察力も含めた世俗的な対応力に乏しいという、いわゆる学校秀才にありがちなタイプです。だから理論先行で実態に目を向けようとしない。
     その聡が一般企業での研修で変わっていく様がおもしろかった。

     設定がうまいと思いました。
     まず研修場所が総合スーパーというところがいい。デパートと違い世俗色が強い。市民の声に触れるという意味では、スーパーが適しているでしょう。
     指導係の二宮泰子もいい。パートながら現場での判断力や対応力に優れている女性です。店長や副店長が本部の意向にのみ気を遣い、事なかれ主義で店舗経営に臨むヒラメ人間であるのとは対照的でした。

     登場人物がやや類型的なのはコミカルな作品によくあるパターンで、物語を特に損ねるものではありません。寧ろ軽く楽しめるエンタメ作品として好もしい出来栄えになっていました。

     県民の方にきちんと目を向けられる幹部候補生に成長した聡。「県庁の星」として輝く姿を見たい気がします。(続編ないかな)

  • 始まりはテンポは良いが、あまり引き込まれなかった。中盤よりスーパーのパートの方との一体感で話は急に盛り上がり面白くなる
    自分の気持ちの一枚下を捲るという考え方が興味深く、自分も日常で考えてみようと思った。
    ラブロマンス要素は一切なく、結婚詐欺の話は物語的に要るのか?全然メインストーリーと絡まって無いような気がします

  • 役人が変わっていく話。役人て今もこんな感じなのかな?スーパーの内情も人もありがちで面白い。
    けど、一番印象に残ったのは、俳句作りの先生のひとこと。気持ちって一つじゃない。表に出てくる感情の下には違う気持ちが潜んでいる。一つめくって、その下の気持ちが見えるはず。

  • 面白かった。
    野村、がんばれ、私ももし近くに居たら、美味しいお茶の一杯もいれてあげよう。

    ちょっと有村浩の『県庁おもてなし課』のつもりで借りてしまった。
    すぐに、「あ、違う。織田祐二だ」って気づいたけれど。
    確か映画?テレビドラマ?でやっていましたよね?織田祐二が。
    番宣か何かで観たような気がする…程度なんですが、今回の主人公を織田祐二にして読み進めた。

    それにしても、最近私が読む作家さん-有村浩、三浦しをん、坂木司、高野和明、原田マハ-って、みんな似たようなテイストな気がする。

    食事に例えるとハンバガー。
    具に、高級感や、新鮮さや、奇抜さなどを打ち出したりして、個性を出せるけど、でも概ね片手で他の事をしたり、考えたりしつつ食べられる。柔らかくて軽く瞬時に咀嚼できる、って感じ。
    美味しくて楽しいんだけど、時々、ちゃんとカタイ物を食べたり、読んだりした方がいいんじゃないかって心配になるのよね。

  • 民間との人材交流プログラムに選抜されたケンチョーさんが地方スーパーにて1年間の研修を行う。独りよがりなお役所的なものの考え方・ひとの見方から、自分自身の挫折や社会の底辺で生きる様々な人々との触れ合いによりお客に寄り添い、ひとの話が聞けるようになる。最後はハッピーマンとなりはちゃめちゃエンターテイメントになってしまった嫌いもあるが楽しく読めた。

  • 大分前に映像化されたもの。

    従業員のダメダメさと聡の役人根性、女性の頑なさに思わず笑ってしまう。皆あっさり成長してしまって、そんなにあっさり宗旨変え出来とたら苦労しないしちょっとあり得ないだろうとも思うけれど、皆仲良くなって気分よく読み終えられた。


    県庁のエリート聡が交流のため民間のスーパーチェーン店で1年間働くことになる。
    指導役として聡につかされたのは正社員ではなく、パートの女性。
    女に貢がされてぽいされたことにも気づかないちょっと間抜けな聡はスーパーで賞味期限切れの材料がスーパー弁当に使用されていることや以前県庁が申し送った筈の件が実行されていないことに目を剥き、エリートの彼が誰にでも出来る単純作業をやらされることに愕然とする。
    指導役の女性は他人の感情をなかなか斟酌しない強すぎる人間で、様々な人間の反感をかっている。
    お互いが影響しあって、かは疑わしいが、女性は俳句仲間、聡は他従業員や自らの思い付きなので柔軟に成長し、スーパーは成功を納め、聡は人の一側面だけを見てはいけないことを得、充実感とともに研修を終える。

  • 「県庁の星」
    切れ者だが役所根性満載の野村の研修先は田舎のスーパー。そこには、彼の想像していない世界が待っていた。何も出来ない刺激のない研修生活に嫌気が差す野村だったが・・・。


    織田裕二&柴咲コウで映画化された本作。これを忠実に再現していたかは読んでも思い出せませんでしたが、少なくとも小説での野村(織田)と二宮(おそらく柴咲)の個性は強烈でした。だからこそ、物語は面白いですし(特に心の中で思っている所が非常に現実的w)、彼らの成長が伝わってきます。


    まず野村はなかなかの役人頭の持ち主で意外と口も悪い。さらに、「女性を食う」と言う辺り女性読者の反感を買うこと間違い無しの下衆要素も持ち合わせる見た目完璧男。しかし、二宮の目を通してみると、次第に抜けている所も発見される。


    一方、スーパーでパートとして働く二宮は非常に大変な位置にあります。例えばリストラを任されたり、無能な上司に囲まれたり、息子となかなか上手くいかなかったり、そして役所頭の野村を世話したりと本当に大変。さらにこちらはおばさんパワー全開といいますか、言葉遣いは決して良いとは言えないし、マシンガントークが得意。しかし、そんな彼女も一時はスーパーを変えようとしていた頃もありで・・・。


    そんな2人が互いを時に罵倒し、時に認め合う時期を共有することで、最終的に1つの難題に共に立ち向かいます。その過程で野村は人を見て働き、共に苦労し喜びを味わうことの大切さを学び、役所との違いを楽しむようになります。また、二宮は野村の良い所を認め、息子とも心の下の下を見せ合うようになります。そして、彼らにつられて正直堕落の塊であったスーパーの人間も変わっていきます。


    個人的に一番嫌いな奴は店長と副店長ですが、彼らは成長しただろうか。

  • <概要>
    民官交流のため、官僚が現場に送り込まれる。
    現場を知らない官僚に対して、現場の人々は馬鹿にし、無視をする。
    官僚も自分の指示通り動かない現場の人々を馬鹿にする。

    そこで、官僚の人のアイデアと現場の人のアイデアどちらが優れているか勝負する。

    そこで、官僚は大敗する。

    官僚はその結果に反省し、現場の人のアイデアも参考にしつつ、実際に実現できるプランを立て実行し成果をだす。

    <感想>
    いろいろ耳が痛い。実際に経験することの重要性を認識した。

  • タイトルだけは知っていた一作。
    序盤は退屈だったが、後半に進むにつれ、一致団結した人々の力に驚かされるとともに、爽快な気持ちになった。
    いったい県庁の職員が主人公のような性格をしているかはわからないが、この作品内では主人公の性格が変わる様子がうまく描き出されていたと思う。

  • ちょっと展開がベタすぎというか。でも普通に面白かった。公務員に対してのセリフで「慣例、前例って言うんでしょ。能力がないからじゃないの?人を見る力がないから、責任とりたくないから同じことやりたがるんでしょ。自分の思い通りのことしてきっちり責任とるって格好いいじゃない。今やってることに疑問もちなさい。」が良かった。

  • いいねこういうの好きだよ

  • 県庁さんめちゃくちゃ嫌な奴!
    従業員も腐ってるし…と思っていたけど
    いい意味で予想通りストーリーで安心して読めました。

    人の本質は見ようと思わないと見えない。
    大切なことだと思います。

  • 2006年(第3回)。9位。
    県庁に勤めるエリート公務員が、県庁の命によりスーパーで働き、自らのマニュアル通りの働き方を改革するまで。
    映画化されたな、見てないけれど。読みやすく、さくさく読める。

  • 過去に仕事で遭遇した、
    役所の職員の上から目線と態度を思い出した。

    必死で作った書類の行先。
    あれこれ作れとリストで渡されるんだけど、
    紙に出力したものを、
    衣装ケースに入れて持って来て下さいの指示。
    指定された提出先は倉庫の中…
    わざわざ倉庫まで行って見ないよね。
    何年保管するのか知らないけど、
    一度も見ずに廃棄されるんだよ。
    10年くらい前の話だけど。

    そうそう、
    ペーパーレスって知ってます?
    あれは民間に紙で提出させるから、
    役所の紙を使わないって意味なんだってさ。

    納得した。

    とても良くしてくださる方も居ましたよ。
    結局は人によるんだろうなぁ。

  • 「2006本屋大賞 9位」
    九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/589162

  • 以前、「県庁おもてなし課」を読んですごく感動した。この本も「県庁の星」というタイトルに惹かれた。
    県庁、公務員に憧れた時期はあったな。社会人になってみるとそしてこの物語でも、県庁だろうが(きっと)国の機関だろうが一般企業だろうが、みんな精一杯、大変な思いをして働いていることが身に染みた。

  • 県庁さんとパートの女性、それぞれの立場の考え方の違い、そしてお互いに少しずつ変わっていく様子がリアルかつコミカルに描かれていて面白かった。スーパーを取り巻く登場人物たちもみんな個性があって好きになれた。

    難を言えば、このエピソードはどちらのものなのか、書き出しからはパッと判別しにくく、途中途中のセリフや心情も対話しているどちらのものなのか表現が分かりにくかった。

  • 県庁職員が研修という事で 一般的小規模スーパーで1年間働く。
    何もかもが 公務員の事務職とは違う
    戸惑うことばかり
    そのスーパーにはパートだが 行動力、統率力があるおばさんがいる。
    そのおばさんに 厳しく仕込まれながら 色んな意味で成長していくとともに そのパートのおばさんも
    人それぞれ考えを持っている事をわかっていき
    人間的にも成長していく
    この物語 TVで見たかなあ

  • 夫の友人からお借りしました。

    著者の作品は過去に1冊だけ読んだことがあったのだけど、文章力がなくてイラっとしてました。
    本作でもそれは健在(苦笑)

    誰の話なのか、誰が話しているのかわからなくなることが幾度もあり・・・描き分けきれないのなら登場人物減らせばいいのに。
    また、主人公の恋愛詐欺話は必要?と疑問が・・・人物像のためにそんなよくわからないエピソードを挟む必要はあるのでしょうかね??
    前半はチンタラしてて全然話が進まないし、かと思うとラストスパートはかけすぎて、あっさりしすぎ。
    とにかくストーリー以外でのツッコミどころ満載の作品でした。

    内容も、エリート公務員が潰れそうなスーパーに期限付きで出向するという、面白そうだけど予想できちゃう浅いお話。
    役人と民間のギャップを描きながら、皆をバカにしていた役人が少しづつ考え方を改め、従業員も歩み寄り、最後は全従業員を巻き込んでスーパーを立て直すお話でした。
    ベタだけど、人がやる気になってゆくシーンを読めば私自身も盛り上がるし、団結して頑張る様も見てて気持ちがいいのでそこは楽しめました。
    とにかく著者には文章力を磨いて欲しいです。

  • 昔ドラマ化されていたので、子供が喜ぶかと手に取った。
    残念ながら小学生にはつまらないの一言。

    県知事の思いつきで始まった民間交流。
    エリート気取りの役人は仕事も出来ないのに偉そうにするばかり。
    役人が言いそうなことや、やりそうな事を小馬鹿にしながら上手く表している。
    前向きに向き合った主人公は結果を残して県庁に帰る。

    なかなか良く出来ているし、分かりやすく安心出来る終わり方。
    詐欺に合う下りが何だったのかは謎。

  • 県庁から一年の期限付きでスーパーに研修にいくことになった聡。突然売り場にたたされ、県庁での常識は通じず、周囲からは敬遠される。弁当づくりでパートの女性たちと売り上げを競うことになり…
    数字だけ見ていたエリートが、接客業や従業員とのふれあいのなかで、人を見ることを知って行く。よくあるストーリーといわれればまさにその通りだが!読後感はよい。しかし、文章がブツブツきれ、突然場面転換が入るので分かりにくかった。ドラマのシナリオかと思った。

  • 序盤はただただ不快。
    後半、県庁さんとスーパーの人たちが協力するようになってから一気に面白くなった

  • お役所仕事の主人公が徐々に柔軟な言動になっていくストーリーが面白かった。
    共感できる部分もあり、最後は気持ちの良いハッピーエンドだったのもよかった。

  • ちょっと展開が読める部分もあるけど…
    登場人物も魅力的。
    前半のギスギスが長すぎて、後半がアッサリし過ぎてたかも。
    そこが面白いのにね。
    原作に忠実に映画化して欲しかったな〜〜

  • 映画を先に見てしまうと、人物に俳優さんのイメージがついてしまうなぁ。

  • 頭でっかちで世間の知らない公務員エリートが、民間企業研修で成長する話。面白く、1日で読めた。

  • 前半のジリジリした状況から、後半改善されてく様は気持ちいい。映画を見返してもいいかな。

  • 公務員の性質があるあるでいい。
    県庁さんはこの話の続きではそのうち公務員に嫌気が指すんじゃないかと思うくらいの変身・改心ぶり。

  • 二宮さんの元夫が言う「きみはいつも自分だったらと考える。もし学(息子)だったらと考えるようにしてくれ」という言葉が心に残りました。
    句会仲間の「一つ捲ってその下の気持ちを・・・」というのもいい言葉です。
    聡が変わっていく過程をもう少し詳しく読みたかったです。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桂望実の作品

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