- Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093861625
作品紹介・あらすじ
その昔。少女は、病室できいろいゾウと出会った。青年は、飛ばない鳥を背中に刻んだ。月日は流れ、都会に住む一組の若い夫婦が、田舎の村にやってきた。妻の名前は、妻利愛子。夫の名前は武辜歩。ツマ、ムコさんと呼び合う、仲のよいふたりだった。物語が、いま、はじまる。最新にして最深の、恋愛長編小説。
感想・レビュー・書評
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肉子ちゃんがなかなか良かったので
ずっと積み本になってたこの本を手に取りました(^^)
前半らムコさんとツマの日常を
丁寧に描いていて
あぁこういう風な暮らしもいいなと思いました
途中でてくる大地くんが
とてもいい!!
しかし後半
がらっと雰囲気が変わっていき
ちょっとずつ読むのがしんどくなってきました。
そしてなかなか理解しきれない部分も出てきて…
そしてそのまま終わってしまった、
そんな感じです。
西加奈子さんは3作品目ですが
表現が綺麗ですね
一瞬一瞬を丁寧に表現されていて
読むと楽しいけど
なかなか入り込めないこともある
そんな感じです。
この話は
前半の感じは好きなので
星は3つ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵本と小説が混ざったような世界。
しかし、小説の中で小説家が登場することが、現実より圧倒的に多いのは気のせいだろうか?? -
ちっぽけな夫婦の、大きな愛の物語。夫婦って、不思議だ。恋人の延長ではなくなっていく。何ていえばいいんだろう。あるべき場所におさまる感じ?今まで起こってきた嫌なこと辛いこと、恥ずかしいこと、すべてすべてが、その人と出会うためにあった。そんな感じ?
妻の名前は妻利愛子(つまり あいこ)。見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりする性質。霊感?西さんの作品って、こういう女の人が多いのかな。
夫の名前は、無辜歩(むこ あゆむ)。小説家。過去に年上の既婚女性と不倫をし、その別れの後、自分の背中に飛ばない鳥を刻む。無辜さんの設定は、村上春樹さんのかく男とかぶる。1Q84の、天悟くんかと思った。
ツマ、ムコさんと呼び合う仲のよい二人の日常が淡々と書き連ねられていくだけかと思ったら、ムコさんの元に届いた手紙をきっかけに、二人の仲に微妙なずれが生じていく。この辺、読んでて痛かった。
物語は、ムコさんとツマ両方の視点で交互に書かれるから、読み手である私は二人がどれほどお互いがお互いを好きかわかる。だからこそ、二人が微妙にすれ違っていくのが辛かった。
「おかえり」「ただいま」。あるべき場所に帰ったムコさん。自然に受け入れるツマ。二人がきらきらしていて、ぴったりで、とてもうらやましかった。
こんなにはっきりと、誰かを好きだと認識していられて、相手からも同じように好きを返してもらえるなんて、奇蹟のようだと思った。
すきって、いいな。誰かを好きでいて、その誰かからも好きでいてもらえて、その人のそばにいられて、おかえりただいまが言えるって、いいな。
それは、この世界の中の、いっとうの幸せなんだろうって、思った。-
コメントありがとうございました。二人のすれ違いも、今までの中で仕方なくすれ違ってしまっていた人たちの思いも切ないですよね。ayakoo80さ...コメントありがとうございました。二人のすれ違いも、今までの中で仕方なくすれ違ってしまっていた人たちの思いも切ないですよね。ayakoo80さんのレビューを読んで、積読になっている1Q84読みたくなりました。2013/05/31
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akitukiyukaさん。こんにちは。
アレチさんも切なかったですねー。いつもチャック開けているじいさんなだけじゃなかったっていう・・・
...akitukiyukaさん。こんにちは。
アレチさんも切なかったですねー。いつもチャック開けているじいさんなだけじゃなかったっていう・・・
すれ違うけれども、元に戻っていく。それも1Q84の世界と似ているなあと感じました。私はタマルさんがすきです。2013/05/31
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東京で出会った2人が結婚して田舎で生活する、そんな話。
ツマは、小さい時に大きな病気をして、長期入院した過去があり、その時に読んだ絵本「きいろいゾウ」が物語の中に出てきます。(ツマは、色々な動物などの声が聞こえます)
旦那さんのムコさんは、過去に色々とあったようで、背中に鳥の刺青を入れています。
そんな2人にも、後半に危機が。乗り越えられるのか?
テーマは、そこに愛があるから。じゃないかなぁと思います。
お互いが一緒にいて、ひとつになったような安心感がある。それはもう愛じゃないのかなぁと。
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ムコさんとツマという田舎で暮らす二人の夫婦の話。
幸せな光景や描写がとても多くて読んでいて
心地よくて大事に大事に時間をかけて読んだ。
この二人を取り巻く人々も何かと良い。
ずっと大事にとっておいて、これから自分の
夫婦生活において新陳代謝が必要になった時は、
またこの本開こうと思う。
いろんな大切な気持ちを思い出させてくれる本。
幸せな光景が羅列されている訳ではなく物語
としても綺麗にまとまっていて、素晴らしい。
今年一番の本になるかも。
この作者の他の本も読んでみたい。
「わかる?わかんないよね?」 この言葉いいなぁ。 -
うまく言葉にできないくらい好きな作品でした。
ツマとムコさんの関係とか、暮らしぶりとか、大地くんやアレチさんとかぜんぶが良くて、時間をかけて味わうように読みました。
好きな女の人と住むことが、僕は大人のダイゴミだと思います。
強くても、弱くても、人間 つよしよわし
ツマは、僕が、美しき世界で愛そうと思った、初めての人です。
ただ茫洋と横たわって、でも確実に何かを育んでいて、知らないふりをしていて、おせっかいなこの世界で、過去ではなく未来を見つめて一緒に生きていこうと思った、初めての人です。
今僕を動かし、慰め、戒め、休ませ、そしてそこにい続けさせていること。
それは、ツマを愛しているということだった。
ツマのそばにいる、きいろいゾウ。
それは僕でありたい。
背中に鳥を背負った、それは僕でありたい。
大丈夫って言葉を欲しい時に言ってくれる人はかけがえのない人ですね。 -
前半のゆっくりと流れる時間描写、主人公の独特の精神状態を軽く流す表現、これでは読了するやろかと少し不安を感じたまま読み進めると・・・ドン!ドドン!ドン!
西加奈子さんの好きなところは、私になじむ関西弁が綴られるという事もあるけれど、画一的な答えを出さず読み手それぞれの心にゆだねるところ。登場人物もみんな、大好きになるような感じではないけれど嫌いじゃない、少しのクセが読者のそれまでの生き方や環境に左右されるのがいい。
続編を読んでみたい。 -
西さんワールドが溢れて、溢れて、そして散らばった っていうのが読み終わった印象。
気軽に読み始めたけど、たくさんの要素が詰め込まれていて、正直時間はかかってしまった。笑
石井しんじの「ぶらんこのり」に似てるな、と思う。
ふわふわと抽象的で、でも引き込まれる。
他の作品も何冊か読んでるけど、いつものはっきり明快な芯というか、伝えたいことというか、完成された登場人物像というかがあんまりなくて、ムコさんやツマと一緒に悩んで答えを出していくかんじが新鮮だった。
ムコさんとツマの田舎での暮らしは、時間の流れがずうっと遅くて、色鮮やかで、素直に素敵だなと思う。
「どれも私たちにこう言ってくれる、遠慮しないで!私たちは堂々と大声で笑って、いつまでも座り込んで、時おりどたどた走って、そして大きな鼾をかいて眠るのだ。」
そして最後の結論は、西さんらしくいたってシンプル!優しく温かいもので締めくくられてたのはよかった。
「僕は、人生というものが、ただそこにあるものだと知った。(中略)そしてそれはそこにあるだけで、それだけで安心して眠るに値するものだと、目覚める理由があるものなのだと知ったのです。」
「ツマがそこにいること、人生のように、日常のように、そこにただいてくれるだけで、安心して眠りにつけるのだということ、堂々と、幸せだと笑っていられること。」
「僕は、ツマを愛しています。」
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2.6