虚国

著者 :
  • 小学館
3.21
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本棚登録 : 103
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862745

感想・レビュー・書評

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  •  推理ものだから仕方ないと言えば仕方ないが、すべてが説明的で、終始同じ抑揚だった。人物や行動の描写に、もう少し情緒的な表現があれば…と思うのは欲張りだろうか。
     おそらく、主人公の推理を見事的中させるため、破たんのないよう、まとめあげた結果だと思う。だから、すべてが綺麗である。特に主人公辰巳。彼は優等生だ。生い立ちや仕事の面で常人にはない苦労を重ねているが、それが人物像に箔をつけている。カメラを持った彼の姿は、きっとすごくかっこいいのだろう。頭の回転も速いし、身体のキレもいい。ああ、いい男ではないか。
     推理、人物の動きは予定調和的で、あまり新鮮味がなかったが、辰巳の流浪が続く予感がして、著者の他作品にも興味をもった。

  • 2011-61 初めて読んだのに読んだことがあるような話し。ハードボイルドの教科書のような舞台と、登場人物と粗筋と最後のどんでん返し。標準以上の小説と思うが感動はなかった。

  • 久々に読んだ香納氏の新作。社会派ミステリ的な
    テーマとプロットとハードボイルドを融合させたような
    作品。確かに田舎町にて起きた小さな事件が呼び起こす
    悲しくも浅ましく、そして人間臭いとも言える業の渦。
    舞台が都会ではなくこういった田舎町でこそ、この
    人間関係はリアルなのかもしれない。

    じっくりとジワジワと事件の真相に近づいていく為、
    やや読んでいて、中だるみ感と闘いながらも、後半では
    出来過ぎってくらいに待ち受ける意外な展開と、男の
    身勝手さによる切なさが浮き彫りになり、やはり
    香納氏の書くハードボイルドなんだなぁ...と。

  • 元探偵。現廃墟カメラマン。
    が主人公のお話。。。

    自然の中に佇む廃墟。
    かつては活気があっただろう街の面影が伺える廃屋群。
    モータリゼーションに抗えず運行を終えた廃線。

    廃れてしまったものには、なぜかノスタルジーをおぼえる。
    どうしてだろう。
    自分に直接関わりがなくてもそう感じるのは。。。

    廃墟写真集ってホントにあるのかな!?
    ぜひ見てみたいです!

  • 【ネタバレ注意!!!】日本全国の廃墟を撮り続けるカメラマンの辰巳。廃墟となったホテルの撮影に訪れたとある地方都市で事件に遭遇しその解決に向けた協力を頼まれ物語は進む。単なる知り合い以上の関係である女友達不二子の事件への巻き込まれもあり深く背後に潜む動機や思惑を解き明かす辰巳。鉄則である「えっ」という犯人像の明かされ方もひねりが加わり意外度も楽しめた。人間模様のやるせなさ感をたっぷり受け止められかったのは小刻みな読みのせいで人間関係把握が曖昧になったからかもしれない。

  • 久しぶりに香納さんの作品で読み応えがあったけど、最後はちょっと悲しかったなぁ。軽く、怒りが湧いた(笑)

  • 廃墟になったホテルに撮影に来ていたカメラマンが死体を見つける。過去に探偵の経験を持つカメラマンは事件解明に巻き込まれていく。
    その町は、地方空港の建設が計画されていて、賛成派と反対派が争っている。幼馴染が立場を違えながらも、自分の生活を守ろうとしているが、そこに過去の埋蔵金の話、昔の男と女の関係が出てくる。
    この作家の語り口調は好きだけど、今回のストーリーはちょっと強引な感じ。

  • 廃墟で女性環境保護活動家の死体が発見されて、空港建設反対運動がらみと思われたが、実は・・・という話。
    地方都市の狭い世界という舞台設定だからか、似たような人がごちゃごちゃ出てきて集中できずに終わった。
    各々のエピソードは悪くないだけにもったいない。

著者プロフィール

1963年、横浜市出身。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。91年「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞。翌年『時よ夜の海に瞑れ』(祥伝社)で長篇デビュー。99年『幻の女』(角川書店)で第52回日本推理作家協会賞を受賞。主にハードボイルド、ミステリー、警察小説のジャンルで旺盛な執筆活動をおこない、その実力を高く評価される。

「2023年 『孤独なき地 K・S・P 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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