推理ものだから仕方ないと言えば仕方ないが、すべてが説明的で、終始同じ抑揚だった。人物や行動の描写に、もう少し情緒的な表現があれば…と思うのは欲張りだろうか。
おそらく、主人公の推理を見事的中させるため、破たんのないよう、まとめあげた結果だと思う。だから、すべてが綺麗である。特に主人公辰巳。彼は優等生だ。生い立ちや仕事の面で常人にはない苦労を重ねているが、それが人物像に箔をつけている。カメラを持った彼の姿は、きっとすごくかっこいいのだろう。頭の回転も速いし、身体のキレもいい。ああ、いい男ではないか。
推理、人物の動きは予定調和的で、あまり新鮮味がなかったが、辰巳の流浪が続く予感がして、著者の他作品にも興味をもった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本作家か行
- 感想投稿日 : 2013年5月18日
- 読了日 : 2013年5月18日
- 本棚登録日 : 2013年5月13日
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