虚国

著者 :
  • 小学館 (2010年3月1日発売)
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本棚登録 : 103
感想 : 19
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 推理ものだから仕方ないと言えば仕方ないが、すべてが説明的で、終始同じ抑揚だった。人物や行動の描写に、もう少し情緒的な表現があれば…と思うのは欲張りだろうか。
 おそらく、主人公の推理を見事的中させるため、破たんのないよう、まとめあげた結果だと思う。だから、すべてが綺麗である。特に主人公辰巳。彼は優等生だ。生い立ちや仕事の面で常人にはない苦労を重ねているが、それが人物像に箔をつけている。カメラを持った彼の姿は、きっとすごくかっこいいのだろう。頭の回転も速いし、身体のキレもいい。ああ、いい男ではないか。
 推理、人物の動きは予定調和的で、あまり新鮮味がなかったが、辰巳の流浪が続く予感がして、著者の他作品にも興味をもった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本作家か行
感想投稿日 : 2013年5月18日
読了日 : 2013年5月18日
本棚登録日 : 2013年5月13日

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