鳩の撃退法 上

著者 :
  • 小学館
3.29
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本棚登録 : 880
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863889

感想・レビュー・書評

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  • つまんない

  •  ある地方都市でデリヘルのドライバーをしている売れない小説家が、ひょんなことから大量の札束を預かり、それが偽札ではないかと疑い始める。
     本書自体が、主人公が書いた小説という形式をとっており、現実の話と小説家の想像が混ざり合って、ストーリーを追うのにやや苦労する。とある一家の失踪事件がからんでいるらしいところで、謎を残したまま上巻は終了。

  • いわゆる回想小説なんだけど、物語の語り手の登場させ方が心憎い。前の『身の上話』に見られた伝聞を聞いていると思えない語りの不自然さは今回見られない。なにせ語り手が、「不動産屋の分際で、書いていいことの区別について物申すとは何事だ」と啖呵を切る、いまは落ちぶれた小説家なのだから。物語とは、「事実のみから成っているわけではなく、そこにあった事実と、可能性としてありえた事実から成っている」わけだし、過去にあった事実を事実を優先してそのまま書くのをよしとしない小説家の挟持(と逡巡)から、物語は縦横無尽にねじ曲がる。

    「なあ、ぬまもと」
    「ぬもとです」
    「きみの日曜日はヒマそうだな」
    「なによ」
    「ミルキー舐めてて歯の詰め物が取れるかよ、ふつう」
    「舐めてたんじゃなくて、噛んでたの」
    主人公の津田とドーナツ屋の沼本店員の掛け合いは、毎回が漫才のようで面白い。

    一文をなかなか切らずひたすら伸ばしていく箇所は今回も見られたが、今回目につくのは延々と交わされる会話の応酬で、中にはふつう説明書きを入れるだろうと思う電話しながら別の第三者と話す変則的なシーンもあり、面白い試みだと思った。
    「ねえ津田さん、ドーナツを食べながら、ひとことだけ言ってくれない?」
    「なんて」
    「もしもし津田さん?」
    「うん聞こえてる。いまから高峰くんの自宅に?」
    「飲むならちゃんと隠して飲むように」
    「うちに来て、友達をひとり送ってほしいの」

    今作も、物語はどんどんと本筋を逸れていき、読者はそういった脇道を楽しむ鷹揚さを試されることになるが、果たして主人公の津田ではなく本書の著者は、この小説で何を描こうとしているのだろう? 誰もが胸にしまい賢しらに語られぬ秘密、「心の一ばん内がわの箱」について? そういえば上巻ではタイトルの意味はまだ明らかでない。その筋の人たちの符牒や隠語なのだろうと当たりはつけているが。

  • 下巻を読み終わったら感想書く。

  • 長い!そして、クドイ!主人公の話のなんと脱線しまくりの、うざい事!もう、ウンザリ、読むのをやめようか、イヤイヤ、もう少し経てば…、と頑張って200頁を過ぎた頃から、止まらなくなった。
    下巻に乞うご期待。

  • この饒舌さ、ストレスフル、だけど負けるか。

  • +++
    かつての売れっ子作家・津田伸一は、いまは地方都市で暮らしている。街で古書店を営んでいた老人の訃報が届き形見の鞄を受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千万円を超える現金が詰め込まれていた。「あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ」転がりこんだ大金に歓喜したのも束の間、思いもよらぬ事実が判明する。偽札の動向には、一年前に家族三人が失踪した事件など、街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会の“あのひと”も目を光らせていた。
    +++

    上巻を読む限り、まだタイトルの意味は判らない。そして物語自体も、売れない作家・津田伸一の困った日常に突如として紛れ込んだ夢物語が一転して疑心暗鬼の世界に追いやられるかと思えば、家族三人失踪事件に至る物語が延々と挿入されていたり、しかもどこかで見た憶えがある話だったりするので、どこに重きを置いて読めばいいのか戸惑いもある。下巻では、このとりとめのなさが、ある人物をキーにして、一点に収束していきそうな予感はあるが、どんな収束の仕方をするのかは全く読めず、下巻が愉しみな一冊である。

  • う〜。
    読みにくい。
    どれが何だか…

  • 時系列が入り乱れて登場人物も多い!なのにぐいぐい引き込まれてしまう不思議なミステリー。下巻に期待。

  • 感想下巻。鳩とは何ぞや。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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