- Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093881142
作品紹介・あらすじ
歌人・俵万智の我が子を想い、慈しむ母の歌50首
この本は歌人の俵万智さん初の子育てをテーマにした短歌+エッセイ集です。月刊誌eduに現在も連載中の『俵万智の子育て短歌エッセイ たんぽぽの日々』の単行本化です。「たんぽぽの綿毛をふいて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから」 連載の第1回の冒頭に俵さんが自分の息子を詠んだ歌です。
いつかは産み育んだ自分の手の中から外の世界へ旅立ってゆく息子、それを送り出す日が確実に来ることを知っている母親の、切なくも誇り高い気持ちが、31文字に凝縮されています。歌集のタイトル「たんぽぽの日々」もここからとりました。
実力、人気ともに認められている女流写真家・市橋織江さんの美しい写真と、俵万智さんの子育て短歌とその背景を綴ったエッセイを組み合わせた連載は、読者の人気投票の上位を常に占め、子育て中の母親の高い支持を集めています。
2010年春に小学校に入学する長男を持つ母親でもある俵さんは、まさに子育ての真っ最中。連載の短歌+エッセイには、子育てにとまどい、悩みながら、子どもの成長に喜び驚いている等身大の母親の姿がにじみ出ていて、もらい泣きする読者が続出するのではと心配しています。
【編集担当からのおすすめ情報】
文学者としての俵さんにとって、子育てをテーマにした短歌とエッセイは、新境地・新分野といえます。今回の歌集で俵さんは新しい世界を得て、のびのびとその才能を発揮しています。ぜひ俵さんと一緒に笑い、怒り、とまどい、悩み、うなずき、共感して涙を流して欲しいと思います。
感想・レビュー・書評
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俵万智さんの子育て歌集。
一つ一つの歌にその歌ができた背景がエッセイとして書かれています。
この歌集を読むと俵万智さんのとてもいいお母さんぶりがうかがえます。
その例として、歌はありませんが「あとがき」からお母さんぶりを引用します。
(前略)
「もしかしたら、幼稚園のお友だちとは、だんだん会わなくなるかもしれないけど、お友だちだったことは消えないんだよ。お別れするのが寂しいような、いいお友だちに会えて、よかったね。会えたことの積み重ねの上に、今の自分も、これからの自分もいるんだよ」
そんなことを、ゆっくり話してやると、息子は涙をぽろぽろこぼしていた。はじまったばかりの人生で、これが初めての、意識する「別れ」なのだなあと思う。
(後略)
特に気に入った歌を以下に載せます。
○たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから
○自分の時間ほしくないかと問われれば自分の時間をこの子と過ごす
○あの赤い花がつつじでこの白い花もつつじと呼べる不思議さ
○みどりごと散歩をすれば人が木が光が話しかけてくるなり
○ぶらんこにうす青き風見ておりぬ風と呼ばねば見えぬ何かを
○ぼくの見た海は青くなかったと折り紙の青持ちて言うなり
○子の声で神の言葉を聞く夕べ「すべてのことに感謝しなさい」 -
図書館に寄るとき、普段は予約本を受け取ってさっと帰ってしまうんですが、先週雨降りの平日、時間もあったし殆ど人がいなくて、久しぶりに書架の間をのんびり見て歩きました。やっぱりこういう風に何気なく本を見て回れるのは至福の時間♪
この本はそのとき手にとったもの。きれいな山吹色の背表紙、あっ俵万智さんだ!12年前の出版だから、この時点で7歳位の息子さんももう今は成人しているんでしょうね。子育て中の悩み、戸惑い、嬉しさ、歯痒さ…時が経ったら忘れてしまいそうな気持ちを短歌と文章に書き留めておく…貴重です。
たんぽぽの綿毛のように、いつかはどこかへ飛んで行ってしまう我が子。「あとはただ、風に祈るばかり」うーん、そう、切ないです。 -
何となく図書館で借りたのにじんわりしみた。
この本の1番目の歌
機嫌のいい母でありたし
無農薬リンゴひとかけ摺りおろす朝
離乳食を作っている場面との事。
こどもの環境を考えるとき、大事なことはさまざまあるだろうけれど、「おかあさんの機嫌がいい」というのが、一番ではないだろうか。
と書かれていた。
これがホント難しい。
改めて機嫌良く接したいと思った。 -
短歌にエッセイがついた、俵万智さんの子育て歌集。
・エッセイ:文字数が多いので、共感が前に押し出されてサクサク読める。または、短歌の背景が分かって詩の味わいが深まる場合もある。
・短歌:短歌だけを読むことで、詩の奥行きを自分のペースでゆっくり味わうということができる。
こんな長所がそれぞれあるんじゃないかなと思った。
もともと別の詩集で読んで好きだったこの短歌がやはり好き。
10p たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる
いつかおまえも飛んでゆくから
初めましての詩の中では、これが一番好きだったかな。
66p みどりごと散歩をすれば
人が木が光が話しかけてくるなり -
お子さんが小学生になる前までの子育て短歌&エッセイ。
俵万智さんの育児短歌本はこれまでにも何かと読んでいたのでそれほど新鮮味は感じず。近くに住むはずが亡くなってしまった仙台のおじおじ(叔父さん)の話が印象に残った。そして、ここの保育園いいな、って東京から仙台に引っ越せる身軽さにちょっと憧れを抱いたり。 -
子育て歌集ということで図書館で借りてきたんですが手元に残しておきたいなあって思えるほど素敵な一冊でした。子育てを通してだからこそ見えたり気づいたりすることがある。そしてそれはいつまでも続くわけではない。
だからとても愛おしくて大切な日々なんだなあ。機嫌のいい母であること、すごくだいじ。 -
俵さんが息子さんについて書いているものを読むと、
あー、娘にもっと優しくしてやろう。
もっとゆったりした気持ちで育児を楽しもう。
なにもいそがなくていいんだ。
という気持ちになれる。
俵さんみたいなお母さんになれたらなあ。 -
今現在たんぽぽの日々を体験中。今この本と巡り会えた事に感謝。
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写真が綺麗だった。
辛いことがあっても、子育ては待ってくれない、そしていつの間にかそれが遠い出来事になっている、というのが共感できた。 -
心が温まる子育ての詩集。読書でほっこりしたいときにぜひ。
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何度読み返しても泣いてしまう。
好きなのは、自分の時間をこの子と過ごすという詩。今しかない子どもたちとの日々を味わいつくそうと思いなおせる私のバイブル -
短歌のあとに、それを読んだ時の心情や情景などがとてもよくわかり、そうだったなあと思うと同時に、とても素敵なお母さんと思いました。
こんな時あったなあとずいぶん年代が違う私も子育て時代を思い返しました。 -
まずタイトルが素敵。
「たんぽぽの日々、、?」となって手に取った。
そういうことね…
わたしもこどもを産んで過ごしているとこんな風に感じられるときが来るのかな、と思うと少しわくわくする。いまのわたしにとっては大好きな彼との日々がたんぽぽのよう。風に吹かれてはすぐにいなくなってしまいそうで心配だけどずっとここにはきっと居られないし、隣で過ごせる時を丁寧に楽しみたいと思った。 -
今しかない子どもとの時間を大切にしたいと思った。自分と子だけの特別な時間を、短歌にはできなくとも、記録していきた。
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さくっと読めて、心がじーんと温かくなる子育てエッセイです。
短歌も、言葉選びがとってもリアルで今子育て真っ最中の身としては、しみじみと共感できます。 -
さすが俵万智さん。重ね合わせるのもおこがましいが、同じ国語教師→母という今の自分にぴったりでした。言葉にしたいけどしっくりこない、それを言語化してもらえました。
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母からの目線。
子供を育てるのが楽しみになる一冊。 -
著者の子供が幼稚園に通っていた頃の歌と
それに寄せたエッセイ集。
子育てを慈しむちょっと高齢ママの視点は
私にピッタリだった。
共感したり、気付かされたり、思い出させてくれたり
読んでる間はずっとニコニコ顔になっていて
日向ぼっこをしているような心持ちになった。 -
子が小さいときのこと、思い出しながら読んだ。歌とセットの文章がいい。まだまだかわいいさかり。子のことも詠もう。
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母親はたんぽぽ。子どもはその綿毛。この例えが素晴らしく、母の愛を感じる一冊です。俵万智さんのようなお母さんになりたい♪
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
2018年12月28日読了。俵万智による、子育ての様々な場面を切り取った短歌とそれに関するエッセイ集。女流歌人ならではというか、はっとするような愛おしい・かつ何気ない子育ての瞬間をやさしい視点で詠む歌と、押し付けがましくなく共感できるエッセイの言葉が胸に染みる。子育てをストレスととるか、かけがえのない美しい一瞬ととるかは親である自分次第なのだが、現実の些事に心煩わされとかくピュアな感情を忘れがちである自分の身に心つまされるところもある・・・。よい本だった。
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親目線の心温まる詩
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読みやすく覚えやすくて感じよく平凡すぎず非凡すぎぬ名
今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海
親子という言葉見るとき
子ではなく親の側なる自分に気づく -
数学の定理が普遍の真理であるのと同じように、俵万智の当たり前のことが当たり前に書かれているように思わされる。
機嫌のいい母でありたいし、俵さんのように子の成長を見守っていきたい。 -
2017/03/12 連載の続きは単行本になってないのか?
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◆きっかけ
図書館
◆感想
短歌に加えてエッセイと素敵な写真。短歌が生まれた時の俵さんの状況や心情がエッセイで語られ、背景を知り、知っていた短歌もよりイキイキと感じられた。短歌から様々な想像が広がるのも良いが、私はこうやって作者のその背景にある気持ちをエッセイで読むことが大好きだと思った。
◆引用
・そろそろ文字を覚え始めた息子だが、なるべく楽しい感じで、遊びの延長のように教えられたら、と思う。最近よくやるのは「言いにくいことは、お手紙で」ごっこ。がんばって「あまいもの、もいっこください」などと書いてくれば、もう大目に見て、おやつを出してしまう。…p95
・バリ島で、バロンダンスを見たのは十数年前のこと。善を象徴する聖獣バロンと悪を象徴する魔女ランダの戦いが描かれた舞踊だ。(中略)これからも、善と悪の力は拮抗しつつ、戦いは続く……という終わりかただった。(中略)あんなふうに、「引き分け」の話があっても、いいのではないだろうかと。(中略)バロンダンスを私なりに咀嚼したというと大げさだが、幼い息子とぬいぐるみで遊ぶときには、必ず「悪キャラ」を作ることにしていた。…p96
・デンマークの高校生(中略)たちは、ぽかんとしていた。なぜ大の大人が、花ごときにそんなに振り回されるのか、という顔をしている。補足のために「桜前線」のことを話すと、ゲラゲラ笑い出す始末。「花が咲きそうかどうかがニュースになるなんて」というわけだ。…p101
→カルチャーショック。
・母親としても歌人としても大先輩の河野裕子(カワノユウコ)さんと、子どもについて話していたとき、河野さんが、まろやかな微笑みをたたえつつ、自信に満ちてこう言われた。「子どもはね、いつも、そのときが一番かわいいの」(中略)子どもとの「いま」を心から喜び、大切にしてきた人ならではの実感であり、すばらしい発見だ。息子との時間が、いっそう愛おしいものに見えてくるまじないのような言葉である。…p103
→そうありたい。
・育児のあいまに本を読むのは、至難の業だった。それでも時間を盗むようにして、何かを読もうとしてきた。そんな母を見ながら育ったせいだろう。息子もまた、5歳にして、立派な活字中毒の予備軍だ。…p109
→時間を盗むようにして。共感。
・あとがき (中略)もしかしたら、幼稚園のお友だちとは、だんだん会わなくなるかもしれないけど、お友だちだったことは消えないんだよ。お別れするのが寂しいような、いいお友だちに会えて、よかったね。会えたことの積み重ねの上に、今の自分も、これからの自分もいるんだよ。てん
→娘もきっと転居や転校の中で友だちとの別れを経験するだろう。その時、俵さんのように優しく諭せたなら良いな。…p116 -
詩と解説の文章
ぜひ、...
ぜひ、探して読んでみます。レビューありがとうございました。
コメントありがとうございます。
この歌集は、見開き一頁に一首ずつ歌が載っていて、他は写真と俵万智さんのエ...
コメントありがとうございます。
この歌集は、見開き一頁に一首ずつ歌が載っていて、他は写真と俵万智さんのエッセイという、とても、読む人に親切な歌集です。
是非、探してみてください。