学問からの手紙:時代に流されない思考 (入門!ガクモン 人気大学教授の熱烈特別講義)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093886727

作品紹介・あらすじ

人気教授が伝える「時代に流されない思考」

受験勉強中のみなさん、もしくは学び直しを考えているみなさん。

疑問や不満を解消するヒントがきっとこの本にあります!

例えば、大学生活で手に入れられるいちばん大切なものとは。

例えば、就職するために、なぜ学術研究の訓練を受ける必要があるのか。


著者は言います。

学問は「社会で働くため」というより「よく生きるため」、

あるいは同意で「よく死ぬため」に必要であり、(中略)

迷うことを正面から受けとめることができ、

その迷いのありのままを抱きながら生きていくために、

人には学問が(あるいは学問精神が)どうしても必要なのです、 と。


現在の大学が抱える問題点にも触れ、

著者が始めた「学問」を大学に取り戻すための新しい試みの数々について、

内容を紹介していきます。

著者自身は京大エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラムでも講義を持ち、

大学内にとどまらない発信を続け、メディアの注目を集めています。

「学問」の神様から、読者のみなさまへ手紙が届いたら、

こんな内容になるに違いない!!という内容です。

読み返すたびに、新しい気づきが得られます!










【編集担当からのおすすめ情報】
3章構成です。
1章では、実際に講義した原稿を元に執筆、ライブ感があります。
「考える」ということについて、考えさせられるはず。

2章は、著者が、大学や学問について日頃考えている事を綴っています。
大学人へ向けた熱いメッセージ、とも読めます。

3章は、著者が京都大学学際融合教育研究推進センターで繰り出す数々の斬新な「学問」のステージをインタビューで掘り下げます。

著者の試みは、他大学でも始まったそうです。
どこまで深まり、どこまで広がるか、リアルで目撃していく楽しみも共有しましょう!

感想・レビュー・書評

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  • 京都大学准教授の特別講義。

    クイズが旺盛なことに、疑問を持っていたのだけど、なぜ自分がそのような疑問を持ったか・この本を読んで腑に落ちた。
    ※クイズそのものは好きだし、楽しいし、悪くない。ただ、クイズ(だけ)が物差しになるのは違うかなあと。

    学問を想い、問いに学ぶ。
    自分を知り、自分という存在を知る。

    この本から見つけた私への問い
    ・専門知識とは何か。 
    ・新しいことが、価値あることではない。
    ・「大事なのはまだ誰も見ていないものを見ることではなく、誰もが見ていることについて誰も考えたことのないことを考えること」シュレディンガー
    ・全ての学問は歴史である
    ・我々は最初から最後まで「言葉」である
    ・科学的知見は、世界を見る1つの見方に過ぎない。
    ・「あぁ」
    ・勉強は答えのある問いを解く。学問は答えのない問いを生む。
    ・学問とは何か。
    ・人はなぜ分類したがるのか。
    ←司書は分類してなんぼなのだ。分類したその先で情報をつなげていく。あるいは、広げていく。
    ・研究の世界では、基礎と応用の線引きはあいまい。
    ・思考のフレームを作っていないか。正しいと思った瞬間、他を間違っていると思うようになる。
    ・研究者は繰り返し同じ本を読み返す。
    ←読み返すに価する本や資料を揃えているか。
    ・古典は、論文ではなく、備忘録や講演録などが残っている。

  • ミニコメント
    目次
    第1章 大学で学ぶということ
    第2章 学問の役割(勉強と学問の違い;就職するのに学問って必要?;興味・関心と課題解決;大学でできること;「基礎研究」を問い直す ほか)
    第3章 学者として生きる

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1237747

  • <感想>
    この本を読んで1番衝撃的だったのは、「相手=自分が見ている相手であり、それはつまり自分」だということ。人間関係は自分の鏡だという表現は聞いたことがあるが、「相手=自分」だと気づいた時に頭を打たれたような衝撃があった。
    どんなに親しい仲でもその人の全てを見る(知る)ことなんてできなくて、自分から見えている相手はほんの一部に過ぎない。「相手の立場になって考える・思いやる」ことはたしかに大事だけど、「あの人がそんなことするはずない」とか「きっとこうしてくれるに違いない」みたいな確証はどこにもないのだと学んだ。
    「学問」に関しては、小難しいことではなくて「なぜ?」を出発点に迷路に入り込むようなことだと思った。

  • どんな学術分野でもいい、ある特定の専門的な研究を進めば進めるほど、それが学問であるなら、哲学的な問いと交渉することになるこういう問いに、答えなどなく自分の素ででつかむしかないような、あるいは前政審をもって悟しかないような問いに向き合って決してそれを話さない。それが大学でやる研究者の生きざま
    大学な学ぶところではなく、考えるところ。

  • 【所蔵館】
    羽曳野図書センター

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000940527

  • この本を読み、私が何を求めているのかが分かり始めた。

    「頭でっかち」だと思われたくない。
    言葉遊びのようにこねくり回してばかりで、実際には、実践には、役立ってないじゃないかと指摘されたくない。
    「それ何の役に立つの?」「仕事に結びつくの?」と突っ込まれると辛い。

    だけど、考えずにはいられない。
    定義したくてうずうずする。結局は定義できないんだけど、それを議論したくてたまらなくなる。

    「幸せ」って何?「愛する」ってどんな感情でどんな行動が伴うの?「生きている」ってどういうこと?
    何のために「食べ」て、どんなことが「美しい」の?
    「正しい」とは?「赦す」とは?

    人が生きている限り逃れられない「真理」。
    そのことについて私たちは考え続けている。
    それを知りたくて、人類はあらゆる研究をする。

    ある人は物理学を、ある人は社会学を、ある人は心理学を。
    なぜ私たちが存在して、消滅するのか。それが知りたくて。

    本来は分野なんてなくて、真理を解き明かすために細分化していった結果が現代の縦割り分野なのだと。
    だから、専門を考えれば考えるほど、専門なんてものは無くなってしまうという真実があるのだと。

    私はどの分野も選考していないし、
    この本の一つのテーマである「大学の在り方」なんてものに興味もないけれど、
    私の知的欲求はある特定の分野のノウハウなどではなくて、きっと「何のために知りたいのか」と問うことこそにあるのだと分かった気がする。

    現代社会をよりよくするための課題解決に(ビジネスとして)取り組むことにさほど関心はない。これは企業人としては素質がないのかも。
    一方で、すぐに役立つか不明だけど、常識を根本から疑い根源的なことを考え尽くさねばやまじ、というところなある。大学で学ぶには合っているのかも知れない。

    ここまで考え、本書の後半で書かれてあることに目を止めた。
    「学問は、大学でないとだめでもなきゃ、本を読まないとだめ、教えて貰わないとだめというわけでもありません。生き死にに対する構えの問題なのです。どこかの本で読んだ話が、僕の心の中にずっと残っています。農夫にプラトンの本を渡して読ませたら、こう言ったそうです『こんなの、俺がいつも考えている事だ』と。」

    -----------------------

    心に残ったフレーズを。
    「なぜ大学で学ぶのか?」という問いに対して著者が真剣に考えた結果導き出した答え。
    「内省する思考の公開こそが、真に誠実であると思ったのです。」「学者として学問にその生を捧げる一人の人間。その精神に触れる。そういう講義以外に大学で行う講義がありましょうか。」

    「大学でのあらゆる学びは、問いに学ぶことであり、それは普遍を通じて、自分が囚われている思考の殻に気づくことで本当の自分を知ろうと自分自身を振り返ることに尽きる、と言い切りたい。たかだか数十年、自分の人生を生きなくてどうしますか。幸せとは自分を生きるということに尽きるのです。」

    「自分を知るとは自分を無くすということに尽きます。」(自身が大きな運命に翻弄されているという感覚に落ちた時、「あぁ…」と感嘆の声が漏れる。個である自分が全体・世界と一致していると信じられる)

    「学ぶことは自分を知ること。自分を知ることは自分を無くすこと。自分を無くすとは「あぁ」の領域で生きること。そしてそれこそが、「何かに突き動かされている」の「何か」なのです。それは自分を超えたところにある「存在」というものへの畏怖、驚異。それが現れる認識こそがまさに生き死にを味わい深くする根本です。」

    紀智則(古今和歌集の撰者の一人)
    「きみならで誰にか見せん梅の花 色をも香をも知る人ぞ知る」(君でなくて、いったい誰に見せるというのか。この梅の花の色も香りも、理解できるのは君だけなのだから)
    →美しい!この感覚、美意識を共有できる人とこの世で出会えることの奇跡を思う。

    著者の学際センターでの活動の一つに分野を超えたシナジーを生み出す取り組みがある。
    集まったメンバーが各々付箋に研究テーマや提供できる資源を書き(所属や肩書きは一切書かない)、繋がりたいと思ったら付箋にリクエストを記入しておく。後ほど事務局がマッチングしてそれぞれに連絡先を送るというもの。純粋に自身の興味関心で繋がれるという醍醐味。

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著者プロフィール

京都大学教授

「2021年 『問いの立て方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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