- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093895842
感想・レビュー・書評
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2000年に愛知県で起きた、3歳の少女が段ボールに入れられ遺体で見つかったという虐待事件のルポ。
現在でこそ、児童虐待は大きく取り上げられ世間の注目も集まり、病院や学校のみならず、一般人でも自分の周りでその疑いを感じられる案件を見かけたら通報しようという気運が高まっているが、この事件が起きるまでは、そもそも児童虐待という言葉もそれほど知られていなかったという。
このセンセーショナルな事件をきっかけに大きく注目を集めるようになったわけだが、確かに、冒頭で描かれている発見時の遺体の悲惨さは、およそ現実のこととは信じられない、信じたくない、こんな非道な仕打ちを実の子供にできる親が、この世に存在するものなのだろうかと恐ろしくなるほどである。
そこだけに目を向ければ当然、加害者となった保護者への憤りは誰しもが強く感じるだろうし、厳罰を求めたくなるのも無理はない。
ただ、このような虐待事件の難しいところは、加害者を厳罰に処すれば解決するという類のものではないというところだ。
多くの場合、その加害者自身が被虐待児であったなど生育環境に問題を抱えており、そしてそれは世代を跨いで連鎖していることがほとんどだ。さらに悪いことに、数十年前に比べ、核家族化、プライバシー偏重主義などで家庭が社会から孤立しているという状態は顕著であり、そのことが虐待の増加、潜在化を促進してしまっている。
加害者の処罰を叫ぶのは簡単だ。だが本当に虐待を無くしたいなら、今もその負の連鎖の中で苦しむ人への、ループを断ち切って抜け出させる支援が絶対不可欠なのだ。
不幸な生育環境にあっても適切な援助を受けることができたおかげで、その虐待のループから抜け出せている人も少なからずいるのだ。
家庭が孤立しがちな現代、子育てが孤立しない、社会で手を差し伸べることができる仕組みを作って、虐待で命を落とす子供を減らしていかなければ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
幼児が両親に放置されて死亡した事件を軸にネグレクトを描く。
幼すぎる親と、そこに手を差し伸べない社会のすきまで、子供たちはあっさり死んでしまう。
死にそうな子供が怖くて見られず、目をそらすうちに死なせてしまうっていうのが、すごくわかる気がする。
だって怖いもの。怖いものは見たくないもの。病院にいって怒られるのも怖いもの。
それでもやらなきゃいけないし、できないなら助けてって言わなきゃいけないんだけど。
どっちもできないなら子供なんかにかかわっちゃいけないんだけど。
その幼稚さには覚えがある。
この子たち(両親)がダメなのはもちろんダメなんだけどダメダメって非難するのも無意味でダメで、この子たちに気づけない社会のほうを変えるべきだろうと思う。 -
若い夫婦が3歳の娘をダンボールに入れて放置し、餓死させた事件を追ったドキュメント。いたたまれない、としか言いようがないです。
育児放棄は犯罪である、しかし親を罰するだけでは問題は解決しない。
問題を抱えた親に、いかにして心を開いてもらい、援助したら子どもにとっていちばんいいのか・・・ -
2005.8.17. ネグレクト=育児放棄。虐待4種の中の1つである。2000年に名古屋で、ダンボール箱に20日も放置されミイラのように痩せ死んでしまった女の子を巡るルポ。他人事じゃない、そういう思いが強すぎて可哀相とか辛いとかそういう感情をなぎ倒す勢いで読んだ。ギリギリいっぱいまで、我慢して読んだ。真奈ちゃんが死んだ時点で、ありありとそういう様が浮かんでこわい。こわかった。
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2005/08/25
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ものすごくのめりこんでイッキ読みしてしまった。育児放棄はちょっとしたすれ違いで起こっちゃうのか。な。わからないけれど。