食料植民地ニッポン

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 37
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897082

作品紹介・あらすじ

追跡5年!食料自給率39%の裏側を暴く衝撃の食ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 『SAPIO』 に連載されたレポートに大幅加筆、食料自給率39%、居候の日本が、家主である米国と中国から 「お前に食わせるメシはねえ!」 とばかりに追い出され、食糧供給を断たれたらどうなるだろうかとのテーマで再構成した、食料植民地日本の緊急ルポ。
    著者の 「食の安全」に対する眼差しは厳しく、日本の消費者を単に 「被害者」 とは見ていません。
    タイのタコ焼き工場、チリのサケ養殖場、アメリカのBSE感染牛牧場、中国の野菜畑などを訪れ、食の問題点を浮き彫りにします。
    苦情ばかりを訴える日本人の姿勢は大いに疑問で、世界的な食の獲得競争が激化するなか、細かな指示を突きつけながら 「買い叩く」 日本は、やがて他国に 「買い負け」 してしまうのではと危惧しています。
    農薬塗れのホウレンソウ、でも中国人はホウレンソウなんて食べない、農薬も知らない、これは開発輸入の産物だ。
    食料がエネルギーに転換される時代となり、魚の養殖にだって穀類が用いられる。しかし、食料から自動車燃料は作れるけれど、自動車の燃料から食料は作れない。
    日本は世界中で農畜産物をを作るために、世界の水の627億tの水を使用している。CO²もしかり。
    「遺伝子組み換えは使用していません」 とあっても安心はできません。5%未満なら法的に未使用表示も可能ですから...等々

  • 2016年2月3日読了。2006年当時の食料自給率39%、米国・中国からの戦略的な食料の大量輸出にさらされ、外交のまずさからBSEや薬品汚染、偽装などの品質不安や有事に食糧確保できないリスクを抱える国・日本を憂うノンフィクション。色々と「危険な食」の実態が調査されているが、結論が「なぜこのような事態になったのか→日本人がみんなアホだから」「日本はどうするべきなのか→政府も農家も自分の利益確保にしか関心がない、どうにもならない」「企業の自助努力しかない」ではいかんともしがたい・・・。「国産の食料は高いから贅沢するとき以外は避ける」「旬にこだわらず食材を購入する」ような行動選択肢は自分にとってもすっかり当たり前になってしまっている。遺伝子組み換えなどの技術は未来の食を救うのだろうか・・・?

  • 知らない人にはショッキングな事例を並べたものの、読み応えは少ない。「食にわがままな日本人」という目線で話が進むが、日本人というより日本企業の問題では。買い負け→食料争奪戦での敗北というシナリオは、ただ危機感を煽っているだけでその先の展望が無。あとがきで「この本にはプロローグがあってエピローグがない」と書き逃げるのはイクナイ。

  • この本の元になったSAPIOに連載されていた記事のころから好きで読んでいたのですが、『食べる』という人間の行為が武器になったり国家戦略の一つとして扱われているという現実に慄然としたことを思い出します。

    SAPIOで連載されていたときから面白いのでよく読んでいましたけれどね。いやぁ、恐ろしい内容ですわ。ここに特集されていた内容で『怖いなぁ』とおもった箇所は戦争が終わっても1970年代に返還されるまでずっとアメリカの領土だった沖縄の食事情に関するルポルタージュで、アメリカの油や肉を主体とする欧米型の食生活が入ってきたおかげで、沖縄県の肥満や平均寿命や疾病に関するデータが全国ワーストクラスになっているという記事には驚きを隠せませんでした。

    とくに「Aランチ」と呼ばれるプレートで供されるメニューを見たときには
    「こんなもの毎日のように食べてりゃあそら病気にもなるわな」
    と思わせるような量・カロリーともに「アメリカン」な代物で一度だけならいいけれどなぁ…。とは確かに思ったのですがね。で、最終的には貧乏人はジャンクフードで肥満にさせられ、病気になったらなったで今度はアメリカの生命保険が待っている。

    『食料』が武器として扱われていることがまざまざとわかりました。日本の食料自給率がここまで低いのはアメリカの戦略だったのかと思い知らされます。

  • アメリカや中国、タイなど、日本向けの食品が作られている現場の様子を垣間見ることができます。
    ただ、植民地というと日本が被害者的に聞こえますが、支配側に日本の企業がしっかり動いていること、食料を送り出している側の資源喪失・労働環境なども併せて考えてもらえたら嬉しいです。

  • 分類=食生活・食糧・経済・貿易。08年3月。

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