原発再稼働「最後の条件」: 「福島第一」事故検証プロジェクト 最終報告書

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897426

感想・レビュー・書評

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  • イデオロギーや感情論で「脱・原発」「再稼働反対」の意見に、「なんとなく賛成」思っている人にこそ読んでもらいたい。著者はMITで原子力について学び、マッキンゼーでコンサルタントを務めた大前研一氏。福島第一の原子炉の仕組みから、政府の対応のどこが問題だったのか、なぜすぐに廃炉にできないのか、様々な疑問に、わかりやすく応える1冊。youtube の動画と合わせて観ると、日本のエネルギー政策の問題点と、今後の課題がより立体的に見えてくる。

  • 地元住民を説得する過程において自分たちが「説得」されてしまい思考停止してしまった。「神」を説得できるか?

    基本的な問題発見解決のロジックを学ぶ上でも参考になる良書。

  • 事故から1年少しでここまで纏めるとは流石の一言。技術的なところまで全てを理解したとは言えないが、極めてニュートラルな記述になっていると思う。
    この事故で得た教訓を余すことなく世界に伝えていくことが日本の使命です。

  • 大前氏のよいところは、読者に理解してもらおうと工夫しているところ。写真や図、とくに表を使い、概要の把握から細部への落とし込みがわかりやすい。

    あの箇所が生きていたけれど、この箇所がやられたからこうなった、というのがよくわかった。1号機から6号機の状況を表で並べたり、他の原発の状況を並べたりして、全体を把握しやすかった。
    2号機はこれでもかというくらい不運だった。作業者の無念が伝わってくるようだ。

    再稼働の是非の言及が原発と電力の範囲に閉じているので、そこをもう少し広げてくれたら、と感じた。

  • 現場での対応策はわりと最善に近いものが尽くされていたのと、大飯原発にもこの反省が活かされていることに関して、少し電力会社を見直しました。しかし同時に、どんなに対応がよくても予防・準備ができていないと事故を防ぐことができないことも分かります。どういう予防策をもってよしとするか。最後に筆者が言う「"神様"を説得できるか」というのは納得できます。

  • ここにある提言が、コストとの兼ね合いでどれだけ実現性があるのかは不明ですが、目標みたいなのは理解できるのではないかと。当時、重要施設が水没と聞いたときに、こんなのは水密区画にあって当然と思っていました。スリーマイル島原発事故の知見とかは、まったく生かされていないのが悲しいところです。まるで、珊瑚海海戦の戦訓を生かせなかった、太平洋戦争のミッドウェイ海戦みたいです。

著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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