- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094061017
感想・レビュー・書評
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本(書籍、紙、文字)の持つあたたかみを心底感じた作品、ルポルタージュ、ノンフィクションです。東日本大震災で被災した沢山の書店、苦難を乗り越えて営業を再開、開店前から長蛇の列、あらゆる種類の本が買い求められたそうです。街の書店が持っているある種の安らぎ、本自体が醸し出す癒し。本は、私たちにとって趣味の世界であると同時に、趣味を超えた衣食住と同レベルのものと、そんな気持ちを抱きました。本に囲まれた暮らし、本当に幸せなことですね!稲泉連 著「復興の書店」、2014.11発行(文庫)。
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書店で働きたいと思った最初の日のこと思い出した。
日々のルーティンに追われて大切なことをわすれていたことに気づかせてくれた。
書店員には是非読んでほしい一冊 -
本や本屋がいらない、ネットで買えるという人もいるかもしれない。それでも私は本や本屋のない世界には生きていけない。漫画でも小説でも人が紡いできた言葉と心の中でひとり対話する時間が愛おしい。
東日本大震災で本を求めた人達も販売に携わる人達も苦しい中で本の持つチカラに支えられている。本通して、震災が奪っていった日常を丁寧に描き、その中で困難な中でほんの束の間、本で休息を得た人たちを知ることができてよかった。 -
被災した時に必要な物は衣食住だろうと漠然と思っていましたが、書店が開店した時にあらゆる本を買い求める人々で行列ができたそうです。やはり人は食べて寝るだけでは満たされないんですね。書店は重要です。でも今はリアル書店は閉店閉店また閉店です。書店受難の時代だと思います。
この本に出てくる書店や書店員さん達は、とにかく本を人々に届けたいという情熱を糧に前に進んでいます。胸が熱くなりました、皆んなかっこいい。儲けたいなら違う仕事に就く方が早いですから。憧れるけど僕には出来ないな書店員。僕は読む専門でいます。 -
この著者の『命をつなげ 東日本大震災、大動脈復旧への戦い』を読み、本書も手に取った。東日本大震災で被災した東北の街の書店のその後を描いたルポルタージュである。地盤沈下や原発事故の影響など被災状況も様々であるが、懸命の努力により復活した書店もあれば、やむなく廃業した書店もあり、中には全くの未経験にも関わらず、新たに開店した書店もある。こうした様々な街の書店の苦しみや努力が行間から伝わって来る。多くの人びとの心の支えとなった街の書店に心から感謝したい。
本書に描かれている書店の中では、宮脇書店気仙沼店、金港堂石巻店、ヤマト屋書店、ジュンク堂書店仙台ロフト店に行った事がある。中でも、宮脇書店気仙沼店は品揃えが非常に良く、かなり気に入り、東日本大震災前に何度も通った。先日、場所を替えて、オープンした新店舗にも行ったが、規模は縮小したものの、本のセレクトの良さは変わっていなかった。
東日本大震災以降は生きる事と被災した方々の支援に精一杯で、なかなか本を読めなかった。落ち着いてから書店に行ってみると、しばらく買っていなかった新刊が並んでいて嬉しくなった。
表紙の写真は、陸前高田市の奇跡の一本松。文庫化にあたり、『それからの日々』を加筆。