緑と赤 (小学館文庫 ふ 2-2)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 136
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094066012

作品紹介・あらすじ

ふたつの国の狭間で揺れる、迷う、恋をする

二〇一三年の夏、在日韓国人の大学生・知英はパスポートを取得した。表紙の色を見て、改めて自分の国籍を意識する。町ではヘイトスピーチのデモに遭遇し、戸惑う。「なにじん」なのか、居場所はどこにあるのか、友人と分かり合えないのはなぜか。自分に問い続ける知英は少しずつバランスを失っていく。K‐POPファンの梓、新大久保のカフェで働く韓国人留学生のジュンミン、ヘイトスピーチへの抗議活動に目覚める良美、日本に帰化したのち韓国で学ぶことを選んだ龍平、そして知英。ふたつの国で揺れる五人の男女の葛藤と再生を描く。解説は、作家の中島京子さん。

【編集担当からのおすすめ情報】
K-POPや韓国映画などのエンターテイメントは日本でも人気がありますが、いざ両国の関係となると、距離を感じていませんか。国籍は異なっても、大好きな友人や恋人であることは変わりありません。大切なことを伝えてくれる小説です。

感想・レビュー・書評

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  • 最後涙が止まらなくなった。

    韓国と日本の溝は想像より遥かに根深いものだというのことを知った。
    また、自分は差別する側ではないと思っていたが、本当か?韓国人と日本人というだけでなく、日本人でないことや日本人であっても属性、出自の差という違いで無意識に差別するような思いや言動をしていなかったか?自信がない。
    良美のようにヘイトスピーチを反対するような運動に直接関わることができなくても、自分の周りで起きていることや人たちに思いを寄せていくことが、せめての第一歩なのではないかと思った。

  • ありのままの自分を認めてほしい。理解してほしい。けれども中途半端な理解や同情はしてほしくない。それくらいならば、何もないふりをして暮らしていく方がマシだ。と主人公たちの気持ちは揺れ動きます。

    私には、一見するだけではわかりにくい障害がありますが、重なる部分があるのではないかと思いました。

    重く根の深いテーマですが、文体はソフトでわかりやすく、抵抗なく読み進めることができました。

  • オムニバスで展開しつつ、それぞれの人物がつながり合っている、という構成。緑と赤はパスポートの表紙の色(大韓民国/日本)の違い。その違いが分かつもの、埋め切れない溝、壊せない壁・・・切ない小説です

  • 「正義」をふりかざしてはいけない。でも、無関心でもいけない。どう向き合えばいいのかをひたひた考えたい。

  • 「『嫌い』に巻き込まないで」ってその通り。

    在日の友だちはいないけど韓国人の友だちはいい子だし、韓国料理好き。
    でもいまの韓国の慰安婦訴にはうーんって思っちゃう。
    国同士の付き合いなんてそんなもんか。

  • タイトルの意味は序盤にわかる、
    けどそのタイトルの言葉の持つほんとの意味は
    物語の終盤に分かった。
    その重みを私は理解しきれていないし
    向き合えるのかも分からない。
    自分のアイデンティティ、
    様々な方面からの声、
    しばらくして再読したい本。

  • 自分について考えるときってどんな時だろう。
    自分で(自分の意志で)考えたいって思うときなんだろうか。いや、それを他者からつきつけられて、考えざるを得なくなってしまうからなのだろうか。例えば、失恋するとか…失恋するということは恋するということが前提だから、これは自分の意志が関与している。
    この本に書かれているそれを突きつけられた人たちの話だ。
    「自分」そして「「自分」を決めているものは何だろう」と考えざるを得なくなってしまった人たちだ。
    自分は自分でしかないはずで、他者からどのようにみられているのか、なんて関係ない…のか?。
    言い換えれば、それは自分が他者をどのように見ているのか、突きつけられていることになる。
    そもそも「在日」という言い方自体に、「帰化」という言い方自体に、見方を決めつけられているような意味が加えられているように思えてしまう。
    「国際化」「地球市民」…いろいろな言い方が躍る世の中になっている。「国」って何だろう。
    考え続けたい。

  • 真剣に悩む.....そんな時代があった

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1378823

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著者プロフィール

東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第十一回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。著書に受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結うひと』)『ひとかどの父へ』『緑と赤』『伴侶の偏差値』『ランチに行きましょう』『あいまい生活』『海を抱いて月に眠る』などがある。

「2022年 『わたしのアグアをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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