世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1895
感想 : 162
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094080971

作品紹介・あらすじ

「ぼくにとってアキのいない世界はまったくの未知で、そんなものが存在するのかどうかさえわからないんだ」「大丈夫よ。わたしがいなくなっても世界はありつづけるわ」朔太郎とアキが出会ったのは、中学2年生の時。落ち葉の匂いのファーストキス、無人島でのふたりきりの一夜、そしてアキの発病、入院。日に日に弱っていくアキをただ見守るしかない朔太郎は、彼女の17歳の誕生日に、アキが修学旅行で行けなかったオーストラリアへ一緒に行こうと決意するが-。好きな人を失うことは、なぜ辛いのか。321万部空前のベストセラー、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 思っていたよりも、アキが元気な時間が長く続く。このジャンルの小説は、序盤から病気になってしまうものを多く読んできたので、そのストーリー構成が新鮮だった。そして元気な時間が長いからこそ、前ぶれなく辛い日々が訪れることがリアルに感じられて、つらかった。
    ラスト、未来へ進んでいく朔の姿が描かれていて、寂しくも前向きな気持ちで終われた。

    アキと朔のこのやりとりが心に残った
    ーーーーーーーー
    わたしはね、いまあるもののなかに、みんなあると思うの。みんなあって、何も欠けてない。
    だから足りないものを神様にお願いしたり、あの世とか天国に求める必要はないの。
    だってみんなあるんだもの。それを見つけることの方が大切だと思うわ。
    いまここにないものは、死んでからもやっぱりないと思うの。いまここにあるものだけが、死んでからもあり続けるんだと思うわ。

    ーぼくがアキのことを好きだという気持ちは、今ここにあるものだから、死んでもきっとあり続けるね。

    ーええ、そう。そのことが言いたかったの。だから悲しんだり、恐れたりすることはないって。
    ーーーーーーーー

    これ以外にも、心に残る文章やグッとくる表現、儚い気持ちにさせられる文章がたくさんあった。たぶん自分自身が近しい人を亡くして、すぐ読むのは気持ち的につらいかも。でも少し時間が経ってから整理をつけていくために読むには、心から勧められる一冊だと思う。

  • 人生で初めて読んだ小説が、中学のときに出会ったこの作品だった。あれから約20年が経った今、この作品に対して自分が何を感じるのか興味があって、再び手に取ってみた。

    改めて読んでみて、あらすじの大枠は覚えていたものの、細かい描写や筆致はほとんど覚えていなかった。でもなんだろう。この読み終わったときに湧き上がった気持ちはきっと、あの日教室で読んだときと変わらない気がする。当時は恋愛に限らず、大切な人を失ったときの悲しみを今より共感や理解ができるはずもないのに、一時は悲嘆に暮れながらも、共に過ごした時間を大切に胸に抱いて、これから先を精一杯生きていこうと踏み出す主人公に、今回感じたときのように心を打たれたのを思い出した。あの頃と今、自身に宿る感性が何一つ変わっていないのだなと知り、そのことがしみじみと嬉しく思えた。

  • 主人公の彼女に対する愛情がこっちまで伝わってくるくらい大きくて、本当に大好きなんだなと思う純愛物語だった。
    だからこそ、病で彼女を亡くした時の主人公の気持ちを考えると辛い。
    立ち直るのにも相当時間を要したと思う。
    ただ、最後には別の彼女を連れて亡くした彼女と真の決別をするシーンには感動した。
    強く生きていくことを決めた朔太郎は立派だと。

  • 死を受け入れ、残された人間はどのように生きて行くのかというテーマ

    生の受難を受け入れてこそ、やがて訪れる死に意味があるように思う。だから、「生」を放棄してはいけない。残された者にはそれを精一杯生きてゆく責任がある。

    実際に自分が最愛の人を失くす経験がなく、軽く読み進めたが、最後の2章は特に美しかった。数十年後に読み返して「生」に向き合う朔の気持ちを享受できるように成長していたい

    大木いいやつやん

  • 普通

  • 高校の頃、映画で流行ってたのを本で読んでみて子供ながらに泣いた。

    • ドエムバペさん
      中学生の頃に読んでとても泣いた。
      愛する人がもう少しで居なくなると知った時、同じように強く生きられるだろうか。
      中学生の頃に読んでとても泣いた。
      愛する人がもう少しで居なくなると知った時、同じように強く生きられるだろうか。
      2022/12/17
  • 今生きているこの現在は果たして現実なのか、例え夢であってもそれに気づく術はない。
    人の生に意味はあるのか、死んでしまえばい全て虚構となるのか。
    その人と過ごした時にあったものだけが残り、そこから増えたり減ったりはしない。

  • これはきっとたぶん映像で見た方がいいやつ。
    情景のところ流し読みしてしまってもったいなかった、

  • 祖父の言う、残された方の悲しさは
    亡くなった恋人の悲しみを
    肩代わりしてるといる考え方がいいなと思った。

  • 純愛とはこうゆうものなのかなと思いました。
    自分よりも相手を思うこと。それが愛なのかなと。

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著者プロフィール

昭和34年(1959年)愛媛県宇和島市に生まれる。愛媛県立宇和島東高等学校卒業。1977年九州大学農学部に入学。専攻は農業経済学。1981年同大学卒業、大学院に進む。1986年「気配」にて『文学界』新人賞受賞。1995年、『きみの知らないところで世界は動く』を刊行。はじめての単行本にあたる。2001年『世界の中心で、愛をさけぶ』を刊行。その後、ベストセラーとなる。近著に『世界の中心でAIをさけぶ』(新潮新書)、『世界が僕らを嫌っても』(河出書房新社)などがある。福岡市在住。

「2024年 『含羞の画家オチ・オサム—美術集団「九州派」の先駆者—』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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