瀕死の双六問屋〔小学館文庫〕 (小学館文庫 い 8-1)

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  • 小学館
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  • / ISBN・EAN: 9784094082050

作品紹介・あらすじ

日本の「キング・オブ・ロック」清志郎の衝撃の問題作がついに文庫化! 理想郷らしき「双六問屋」に住む男が縦横無尽に音楽への愛、社会への怒りを語り尽くします。憲法、君が代、自殺問題から発禁事件まで7年前に発売された本とはとても思えないその文章は最高にクールでホットで、まるで、彼のロックを聴くようです。また、各話の後ろに付いている清志郎独自のレコード評も読みどころのひとつです。

感想・レビュー・書評

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  • ロック・スター・(オヤジ!?)清志郎から贈られるラブ・レターのようなメッセージ集。
    飄々としているのにアツい!
    ハニー、ベイビーなんて普通は恥ずかしい言葉も清志郎の言葉だと平気で聴ける。

    メモしたくなる言葉が沢山!
    「安心しろ。君はまだ大丈夫だ」
    「本当に必要なものだけが荷物だ」
    「『君が代』も歌詞を英訳するとラブ・ソングになりえる」
    「右にどんどん行ってみろ。やがて左側に来ているのさ」
    「たかだか40~50年生きて来たくらいでわかったようなツラをすんなよ」
    等々、胸にズシッとくる。

    「失礼する。また会おう!まだ、しばらくは君の近くにいるはずだ」こう締めくくる清志郎。
    昨日5月2日は愛すべき彼の8回目の命日だった。

  • 例の

    地震の後には戦争がやってくる。軍隊を持ちたい政治家がTVででかい事を言い始めてる。国民をバカにして戦争にかり立てる。自分は安全なところで偉そうにしてるだけ。阪神大震災から5年。俺は大阪の水浸しになった部屋で目が覚めた。TVをつけると5ヶ所ほどから火の手がのぼっていた。「これはすぐに消えるだろう」と思ってまた眠った。6時間後に目が覚めると神戸の街は火の海と化していた。この国は何をやってるんだ。復興資金は大手ゼネコンに流れ、神戸の土建屋は自己破産を申請する。これが日本だ。私の国だ。とっくの昔に死んだ有名だった映画スターの兄ですと言って返り咲いた政治家。弟はドラムを叩くシーンで僕はロックン・ロールじゃありませんと自白している。政治家は反米主義に拍車がかかり、もう後もどりできやしない。そのうち、リズム&ブルースもロックも禁止されるだろう。政治家はみんな防衛庁が大好きらしい。人を助けるとか世界を平和にするとか言って実は軍隊を動かして世界を制服したい。
    俺はまるで共産党員みたいだな。普通にロックをやってきただけなんだけど。そうだよ、売れない音楽をずっとやってきたんだ。何を学ぼうと思ったわけじゃない。好きな音楽をやっているだけだ。それを何かに利用しようなんて思わない。せこい奴らとはちがう。民衆をだまして、民衆を利用していったい何になりたいんだ。予算はどーなってるんだ。予算をどう使うかっていうのはいったい誰が決めてるんだ。10万円のために人を殺す奴もいれば、10兆円とか100兆円とかを動かしてる奴もいるんだ。一体この国は何なんだ。俺が生まれて育ったこの国のことだよ。どーだろう、‥‥‥この国の憲法第9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか? 戦争を放棄して世界の平和のためにがんばるって言ってるんだぜ。俺達はジョン・レノンみたいじゃないか。戦争はやめよう。平和に生きよう。そしてみんな平等に暮らそう、きっと幸せになれるよ。

    忌野清志郎

    が読みたくて,図書館から借りた。

    深いね。

  • 「忌野清志郎」のエッセイ風小説『瀕死の双六問屋』を読みました。
    『十年ゴム消し』、『忌野旅日記』に続き「忌野清志郎」作品です。

    -----story-------------
    日本の「キング・オブ・ロック」 「清志郎」の衝撃の問題作がついに文庫化! 
    理想郷らしき「双六問屋」に住む男が縦横無尽に音楽への愛、社会への怒りを語り尽くします。
    憲法、君が代、自殺問題から発禁事件まで7年前に発売された本とはとても思えないその文章は最高にクールでホットで、まるで、彼のロックを聴くようです。
    また、各話の後ろに付いている「清志郎」独自のレコード評も読みどころのひとつです。
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    1998年(平成10年)11月~2001年(平成13年)4月に「東京ニュース通信社」のテレビ情報誌『TV Bros.』に連載された作品に、没原稿やパンフレット用原稿を加えた作品… エッセイとフィクションの中間的な文章にイラスト(絵画)や漫画、それにレコード評まで付いており、「忌野清志郎」の才能がギュっと押し込まれたジャンル分けできない作品でしたね。

     ■第一話 問屋からきた男
      「Rainbow Cafe」忌野清志郎Little Screaming Revue
     ■第二話 小部屋へ向かう道
      「STAX SOUL CHRISTMAS」V.A.
     ■第三話 孤独の叫び
      「SINGS SOUL BALLADS」OTIS REDDING
     ■第四話 防波堤は風の中
      「IN MY OWN DREAM」THE BUTTERFIELD BLUES BAND
     ■第五話 悪い星の下に
      「GROOVIN'」YOUNG RASCALS
     ■第六話 新しい旅立ち
      「LIVING THE BLUES」CANNED HEAT
     ■第七話 リスト・バンドを残していった男
      「GOOD AS I BEEN TO YOU」BOB DYLAN
     ■第八話 恋のダイヤモンド・リング
      「THE ORIGINAL」GARY LEWIS&THE PLAYBOYS
     ■第九話 双六問屋へ帰りたい
      「DOUBLE DYNAMATE」SAM&DAVE
     ■第十話 エレファントラブがやってくるヤァー・ヤァー・ヤァー
      「STAY GOLD」エレファントラブ
     ■絵画開眼 一
     ■第十一話 がんばれ!アフロ之助・外伝
     ■第十二話 ケンとメリーのGTR
      「Mr.LOVE PANTS」LAN DURY&THE BLOCKHEADS
     ■第十三話 最高の一日の始まりに乗り遅れてはなるものか
      「Song for a Tailor」Jack Bruce
     ■第十四話 5個目のボタンの方が心配だ
      「FOUR FRESHMEN & FIVE TROMBONES」FOUR FRESHMEN
     ■第十五話 本当に必要なものだけが荷物だ
      「KING&QUEEN」OTIS REDDING & CARLA THOMAS
     ■第十六話 続・ケンとメリーとGTR
      「BEST OF P.P&M」PETER,PAUL&MARY
     ■第十七話 雨の日のカー・ウォッシュ
      「RUFFY TUFFY」忌野清志郎
     ■第十八話 五十年以上も戦争の無かった国に生きている
      「COVERS」RCサクセション
     ■第十九話 オレンジをさがしに・・・
      「SOUL TO SOUL」V.A.
     ■第二十話 宇宙飛行士の友達
      「VENTURES IN SPACE」THE VENTURES
     ■絵画開眼 二
     ■第二十一話 ラフィータフィーついにステージ・デビュー
     ■第二十二話 また放浪の旅が始まる
      「Cahoots」The Band
     ■第二十三話 様々な制約と規制の中で、がんばれ外資系の会社よ!
      「冬の十字架」忌野清志郎 Little Screaming Revue
     ■第二十四話 俺を笑わせてくれないか
      「BITTER WITH SWEET」THE 49ERS
     ■第二十五話 子供には必ず親がいるとはかぎらない
      「WHEN A MAN LOVES A WOMAN」Percy Sledge
     ■第二十六話 ドブネズミどもに捧ぐ
      「AXIS:BOLD AS LOVE」THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE
     ■第二十七話 職安へ行こう!
      「坂道」ワタナベイビー
     ■第二十八話 ロックン・ロール・グルになって夢を実現するんだ
      「Say It Loud I'm Black & Proud」JAMES BROWN
     ■第二十九話 2001年・宇宙からの手紙
      「The Letter(from THE BEST OF Box Tops)」Box Tops
     ■第三十話 ブルースをつめ込んでワゴン車で出発だ
      「MEMBERS ONLY(from MEMBERS ONLY)」BOBBY BLUE BLAND
     ■絵画開眼 三
     ■第三十一話 君は水道を出しっぱなしにしたまま行ってしまった
      「DO RIGHT MAN」DAN PENN
     ■第三十二話 元気を出してねと、よく女に言われるけど
      「I FEEL FINE(from PAST MASTERS vol.1)」THE BEATLES
     ■第三十三話 月の砂漠より謎の譜面を
      「BO&GUMBO」BO&GUMBOS
     ■第三十四話 ちょっと待ちねえ、これを聴きねえ
      「MOONDOG MATINEE」The Band
     ■第三十五話 ロス・アンジェルスから愛を込めて
      「I THANK YOU」SAM&DAVE
     ■第三十六話 俺のことは早く忘れてくれ
      「コンパウンド」加部正義
     ■第三十七話 昨日、天国から天使がここにやって来た
      「ANGEL(from CRY OF LOVE)」JIMI HENDRIX
     ■第三十八話 毎日がとても退屈だったから俺はインディーズに走った
      「RESPECT!」V.A.
     ■第三十九話 泥水(マディ・ウォーターズ)を飲み干そう
      「AT NEWPORT」MUDDY WATERS
     ■第四十話 たかだか40~50年生きて来たくらいでわかったようなツラをすんなよ
      「夏の十字架」ラフィータフィー
     ■第四十一話 ユーモアが必要さ、僕らの僕らの間には
      「ライブ・ハウス(from 夏の十字架)」ラフィータフィー
     ■第四十二話 何十年ぶりのことだろう、日記をつけてるんだ
      「誰も知らない(from 夏の十字架)」ラフィータフィー
     ■第四十三話 武田真治がやってきた
      「快適な暮らし(from 夏の十字架)」ラフィータフィー
     ■没原稿その一 フランスの友人とワインに関しての日本人向けのおはなし
     ■没原稿その二 日本国憲法第9条に関して人々はもっと興味を持つべきだ
     ■没原稿その三 忍びの世界
     ■号外 眠れなかった男
      「BASEMENT TAPES」BOB DYLAN
     ■絵画開眼 四
     ■瀕死の双六問屋インスタント写真館
     ■解説 町田康
     ■あとがき 忌野清志郎
     ■文庫版あとがき 忌野清志郎
     ■文庫版解説 角田光代

    文章の方は、「双六問屋」に住む男が語る… というフィクションの体裁を取りつつ、君が代・憲法・自殺問題、さらには反核・反原発曲の収録問題を理由としたレコード発禁事件等々、多岐に亘る実際のエピソードが綴られた作品でしたね、、、

    「忌野清志郎」の本音の部分が濃縮されている感じでした… レコード評は、ホントに参考になる感じで、あまり詳しくないR&Bやソウルについて、色々と聴いてみたくなりました。

    二人の子どもさんも一緒に描いている貴重なイラストや、

    武士が主人公の劇画調の漫画もあり、

    幅広い才能を感じさせられました… 3冊連続で「忌野清志郎」作品を読んで、頭の中では「RCサクセション」や「忌野清志郎」のソロ作品の曲がリピートで演奏されている感じです。

  • なかなか癖になる文章。キヨシローのイメージそのままな感じ。ところどころ出てくる親父の説教的な内容も、なんか文章に勢いがあるからそんなに嫌じゃない。紹介してるレコードや曲も併せて聴いたら良かったのかもだけど、そこまではできず。

  • 特にファンではなくなぜ今手に取るのかもわからないが、読んでよかった。
    意味など考えても意味のない文章なのだが不思議と読んでいて心地よい。
    フジロックにGTRでむかうケンとメリーとか陳腐な妄想をなんとみずみずしく描くことか。そして紙面いっぱいの絵の力。

  • 忌野清志郎の雑誌連載をまとめたもの。
    現実世界を清志郎はこう見ていたのか。
    何度も読み返したい。ありがとう、清志郎!

  •  忌野清志郎が亡くなってもう4年も経つのか……。
     本書が最初に発売されたのが、2000年。
     文庫化されたのが2007年。
     文庫化のわずか2年後にはあの世に旅立ってしまったわけだ。
     文庫のあとがきにも自身の喉頭がんのことが書かれている。
     ちょうど退院し、復活コンサートを行う少し前の時期にあたるのだろう。
     どんな運命が彼を待ち受けていたかを既に知っている読者にとって、このあとがきは力強くもあり、また切なく悲しい。
     本書での清志郎はとにかく怒っている。
     いろんなことに、いろんな人に怒りをぶちまけている。
     清志郎が書くと、それれは正当な怒りに思えるし、芯の通った怒りに思える。
     清志郎そのもの、といえるかも知れない。
     文章にしても、挿入されているイラストにしても、CDで聴いてきた、ライヴで観てきた清志郎そのものなのだ。
     あとがきの最後にこう書かれている。
    「たくさんの、勇気を与えてくれた皆さんに感謝します」
     そっくりそのまま返答しよう。
    「たくさんの、勇気を与えてくれたあなたに感謝します」

  • 2016年、4冊目は昨年から、隙間用に読んでいた、忌野清志郎の『瀕死の双六問屋』。

    もし、彼がいなかったら、自分はロックに目覚めることもなかったんだろうな。

    「TV Bros.」誌の連載をまとめたもの。各話が、ロック、ブルース、ソウル他の名曲、名盤などにまつわるようになっている点も興味深い。

    あえて、今回は★評価はしません。ココには、そして、自分の中でも、清志郎大先生はまだ生きているのだから……。

  • 何度めかの再読。
    何度読んでも傑作は傑作。
    ここに綴られた文章にはキヨシローの魂が宿っている。
    ロックでロールしていて、ブルースだ。
    2011年以降、何度、生きていて欲しいかったと思ったことか。
    これを読むとTHE BANDの『CAFOOTS』と『MOONDOG MATINEE』を聴きたくなる。
    売っちまったから買い戻さないといかんなぁ。
    ロックの神様ごめんなさい。

  • この人は天才だ。読む人は時にニヤニヤしながら時にハッとさせられながら今はなき清志郎に思いを馳せるだろう。「俺がここにいて君と同じ時間を生きているんだぜ。こんなに心強いことはないだろう。よしOKだ」

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著者プロフィール

バンドマン。1951年4月2日-2009年5月2日。1968年、高校在学中にRCサクセション結成。1970年、「宝くじは買わない」でデビュー。「ぼくの好きな先生」「雨あがりの夜空に」「トランジスタ・ラジオ」「スローバラード」「い・け・な・いルージュマジック」など多くのヒット曲を放ち、日本のロックシーンの開拓者として、後続のバンドマンたちへ多大な影響を与える。1991年にバンド活動休止後も、ソロ活動のほか俳優、絵本の執筆、サイクリストなど、活動は多岐にわたる。また日本語の使い手としての才能も高く評価されており、『エリーゼのために』『十年ゴム消し』『瀕死の双六問屋』など著作多数。

「2020年 『使ってはいけない言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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