- Amazon.co.jp ・本 (551ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094088014
感想・レビュー・書評
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ツールドフランス7冠の大英雄ランス・アームストロングをアシストしていた元チームメートのハミルトン・タイラーによる告白本である。自転車業界トップ選手の間に蔓延していたドーピング。これをチームぐるみで奨励・命令していた監督・チームドクター。かかる闇を知ってて知らぬふりをしていた業界団体・スポンサー。闇医師らのスパイ小説もかくやと思わせる暗躍。そして何よりも、英雄ランスの自分には向かう者は消していく桁はずれの欲望の大きさと権力の恐ろしさ。
近藤文恵の「サクリファイス」等でドーピングで自殺した選手等が出てくるが、「事実は小説より奇なり」×10倍であることがわかるし、実情は想像の遙か上をいっており、頁をめくる手がとまらない。
ランスの勇姿ををリアルタイムで見ていた者にとって、「ただマイヨジョーヌのためでなく」を読んでいた者にとっては、衝撃の一冊であろう。もちろん、自分のような全くの自転車競技素人にとっても、大きな渦に否が応でもなく巻き込まれた一選手の率直な真情を記した青春期・告白録として、十二分に面白くそして重い一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人気漫画弱虫ペダルを読み、自転車競技自体に興味が出てきたので読んでみた。オリンピック開催年だったこともありドーピング問題が大きく取り上げられていた。選手視点の文章なので興味深く読むことができた。
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20160303(2回目)
タイラーハミルトンの言葉をもとに作られた本。サイクルロードレース、特にツールドフランスのように長いレースにおいて薬物の使用が効果的だったこと、使わないと勝つことも、ついていくこともできない環境だったこと。あらゆる手段で薬物を入手、または自己輸血をし、レースのために危険を冒していた。
その世界で生きるには欠かせないことであり、当たり前のことでも、外から見れば異常。
ランスアームストロングは最後ツールのタイトルを全て剥奪されている。
言葉が単調だけど、嘘を重ねることは自分の心身に良くない。正直に生きよう。 -
人生最高の一冊
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面白い。
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・自転車ロードレースのドーピングについて。ハードなトレーニングは当然で、勝敗を分けるのはいかに上手にドーピングしたかという時代。
・必死に練習して、才能もあって、そんな若い男の子がようやく憧れのツール・ド・フランス出場に手が届くところまでたどり着いたが、その先に進むにはドーピングするしかなかった。
・クリーンなままではプロの競技者としての名声を得られない、食べていけない、そんなスポーツが多過ぎ。
[memo]
・EPO、コルチゾン、テストステロン(錠剤、パッチ)、アナボリック・ステロイド、HGH(ヒト成長ホルモン)、血液ドーピング、人工ヘモグロビン、アクトベジン、ミニリン(点鼻薬、夜尿症向けの抗利尿剤)、インシュリン、CERA(新種のEPO)、アラネスプAranesp
・ヘマトクリット値、マイクロドーシング(p252)、グロータイム、TUE(治療目的使用に係わる除外措置)
・ワット数、ケイデンス、パワーウエイトレシオ(動力体重比 p191)、乳酸閾値 -
ドーピングに手を出してしまうロードレーサーの気持ちがこの本で分かる。
もちろんドーピングは悪だけどドーパーが絶対悪とは言い切れない。