マージナル (ガガガ文庫 か 1-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 116
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094510034

感想・レビュー・書評

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  • 「ダ・ヴィンチ」で紹介されていて、表紙に惹かれて購入した。サイコものなんて滅多に読まないので、最初は気持ち悪さに襲われて歯を食いしばりながら(結構ホント)読んでいた。が、2章で京也と御笠が急接近した辺りから、坂を転がり落ちるような勢いで嵌っていった。


    タイトルにもされている「マージナル」というのは「正常と異常の境界に立つ人間」という意味だ。そして、境界の向こう側にいる者は「オーバーライン」という。この物語は、マージナル VS. オーバーラインの闘いを描いたものでもあり、マージナルが恋をして、人間らしさを徐々に取り戻そうとするものでもある。

    基本的に京也に共感できる部分は少ない。それが当たり前だと思う。しかし、御笠に共感することも難しいだろう。京也がマージナルに至った経緯を知り、京也の異常さを目の当たりにした時、彼女は確かに恐怖し、嫌悪したはずだ。しかし、彼が深手を負い御笠に助けを求めると、彼女は迷わず彼を救い出した。京也のような異常者にとって、彼女のような存在は貴重だろうと思う。彼の異常さを「病気」として捉えることができるからだ。普通の人間ならば、そんな判断を下す余裕も優しさも持ち合わせていないだろう。

    御笠に出会ったことで、恋愛感情を経験し、友人もできる京也。天然キャラ御笠との漫才にもにたやり取りに京也の人間らしさを感じ、この暗い物語の雰囲気を和らげている。これがまた絶妙で、理解できなかった京也という人間像が少しずつ少年として身近になってくる。そうなることで、一層物語にのめり込んでいくことになった。

    残念だったのは、文章の所々に不備や拙さが見られるところ。気が抜けず、スピード感ある展開なのに、それで少々気分が萎えてしまう…。

    とは言いつつも、ラストの二人の会話は良かったし、全体的に勢いがあった。アニメにありそうな展開と結末だったとは思うが、私はこういう希望が持てるものは好きだ。本格的なサイコものを次作に期待したい。

  • とても読みやすかったです。媒体がライトノベルということで気を使ってるのか、グロ描写はこの手の話にしては少ないし、本自体も分厚くないのでわりかし気楽に読めるんじゃないかな。というのも電撃と同じで紙が厚めなんですよ(笑)かといって、内容が薄いというほどでもなく。ただ、普段講談社ノベルスとか読んでる人には少し物足りないかもしれません。

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