新編日本古典文学全集 (18) 枕草子

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096580189

作品紹介・あらすじ

原典を頭注と現代語訳で読む。基本的作品を網羅。権威ある執筆陣、最新の研究成果。読みやすい二色刷。

感想・レビュー・書評

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  • 旧全集「日本古典文学全集」は能因本を底本としていたが、こちら新全集「新編日本古典文学全集」の『枕草子』では、三巻本系統の第一類本に属する陽明文庫蔵本を底本に採用している。ただ、旧全集も新全集も、松尾聡先生と 永井和子先生が執筆を担当されているので、新旧あわせて読めば、お二人の『枕草子』研究の足あとまで辿ることができる。新旧あわせて購入するとなると贅沢な話ではあるが、図書館を利用すれば金銭的負担を抑えて充実した時間を得ることができるだろう。

    「新編日本古典文学全集」の特徴は、ページを三段組にして原文・注釈・現代語訳の三要素を一目で見せるというスタイルであり、これは旧全集から受け継がれてきたものである。新たな特徴としては、本文横の傍注の文字色を変えているところ。ちなみに、本文横の傍注の文字色を変えて見やすくするというのは、新潮社の「新潮日本古典集成」がすでに採用していた。

    さて、中身だが、底本との文字表記の違いを明らかにしている……という点では、同じ陽明文庫本を底本とする「新日本古典文学大系『枕草子』」(岩波書店刊)のほうが優れているのだが、読みやすさという点では、こちらが「新編日本古典文学全集」がすぐれている。だから、「新編日本古典文学全集」の『枕草子』は、本文の読みやすさを優先しているのだろう。本文と現代語訳を併載するという「新編日本古典文学全集」のスタイルからすれば、本文もスッキリと読めるほうがいいと思う。

    でも、いまひとつ気にいらないのが、「新編日本古典文学全集」の売りである現代語訳部分。補訳的な表現が多いのと、本文が持つ文章のリズムが損なわれている点が惜しい。これについては、凡例部分で「本文と対照してわかりやすいように、ひたすら心がけた」とあるように、文学性よりも解釈を優先させているのだ。個人的には、旧全集「日本古典文学全集」の現代語訳のほうが好ましいと感じている。とはいえ、図表の豊富さや充実した解説も付いているので、やはり一読の価値がある一冊だ。

  • 随分前に上巻のみ読了していたが、やっと下巻も読了することが出来た。
    上下合わせると結構なボリュームだが、一章一章は短めなので、毎晩ごはんのあとに読み進めた。秋の夜長に読むのは、おくゆかしい古典文学がふさわしい。

    こうして通読すると、書いてあることは清少納言本人が日常的に経験したほんとうにこまごまとしたことの集積。日記というよりも覚書に近い。いま現代に生きる私たちが日記帳にしたためることとさして変わらない。
    だからこそ、まざまざと目の前に情景が立ち現れ、当時の人がぐっと身近に感じられる。

    300弱の本編の後ろに、増補の章がついており、「?」と思ったけれども、これは「三巻本」と呼ばれるバージョンを底本としているせいらしい。この増補は三巻本特有のもののようだ。古典作品は、いまではオリジナルが散逸しているので、いくつものバージョンの写本をあちこち参照しあっている、というのもおもしろい。

  • 読み終わった際、最初に抱いた感想が「たった千年ぽっちじゃ、人間、変わらないんだな~!」であった。
    清少納言の細やかな観察眼と文才が、端々に感じられた。

  •  やっぱり一度ちゃんとした注釈付きで通読しておく必要を感じて、読んでみました。

     自分にも多少OL経験がありますので、子供のころ読んだときより面白く感じます。

    枕草子・紫式部日記はパトロン付きの政治的プロパガンダの書だという説があります。おそらくそういう部分はあったと思います(とくに枕草子は)。

     でも、自分がOLあるいは女房だとして、どっちに勤めたいかと言えば、断然定子のほうでしょう。そういう意味では紫式部日記はプロパガンダとしては成功していないともいえますね。

     逆に清少納言の筆の冴えはものすごくて。平在昌さんの項には子虎を守る母親虎の趣があります。
     そんな清少納言に50を過ぎて夜這いをかけてくる?平在昌さん。何がしたかったのかわからないですが。

    ☆月報の田辺聖子さんの記事

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著者プロフィール

明治40年〜平成9年。東京生まれ。東京帝国大学大学院修了。著書に「源氏物語入門」「万葉の秀歌」「随筆語典あいうえおなど」など。

「2001年 『『源氏物語』不幸な女性たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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