「みんなの学校」が教えてくれたこと: 学び合いと育ち合いを見届けた3290日 (教育単行本)

  • 小学館
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098401635

感想・レビュー・書評

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  • 公立学校だから校長判断で可能性が広がる。
    それを実践した記録である。
    それには校長がある程度長く学校を指揮できないとだめだとも思った。
    このような学校が広がると日本の未来も明るくなるのにと思った。

  • これほどストレートに本質を突いている実践はなかなかないと思う。
    「子どもが育つ」とはどういうことか、「学校を作る」とはどういうことか。
    映画で目の当たりにした子供たちの姿、学校の姿に重ねて、強烈に印象を残す。

  •  公立小学校なのに,公立小学校だから可能性がある…そんな気持ちになる学校の紹介です。
     あたらしくできた小学校に,集まった教師たちと子どもたち。校長をはじめ,「学び合いと育ち合い」「どんな子も地域で学ぶ」をテーマに学校づくりに取り組んでいきます。
     子どもへの圧倒的な信頼に裏打ちされて進められる学校運営。運営と言うと,何か,教師の圧倒的な指導が入っているように聞こえるが,実際は,「教師が子どもから学ぶ」という姿勢が一番だいじにされているようです。
     地域とともに学校を作る…それは,地域におもねることではなく,地域も巻き込んでいっしょに子育てをすることです。
     今の教育界でも,こんなことが可能なのだと分かるだけでも,貴重な記録です。
     映画にもなった「みんなの学校」。その映画を文科省でも見たそうです。そのとき,木村校長は,当時の下村文科大臣から,
    「校長のリーダーシップを,ぜひ全国の管理職を目指す人たちに伝授してください」
    と言われたそうです。しかし…木村先生は次のように言います。
    「校長がリーダーシップのとり方を間違えると,みんなの学校は実現しません」

     ちまたには,リーダーシップの取り方を間違えている校長たちがうようよしています。そして,職員室の教師も子どもたちも萎縮し,自分を出さずに,目立たずに,控えめに過ごしているような気がしてなりません。
     うちの学校はどうでしょう。まだまだ,子どもが主体的に動いているとは言えません。というか,ほど遠いです。
     私も,少しずつ変えようとはしているけど…微力。ただ若い人たちの感性はなかなかいいです。この本にも出ていましたが,ベテラン教師たちは,これまでの姿勢をなかなか変えられません。
     で,もしかしたら,今年から少しは変わるかもと期待しています。なんせ,この本を紹介したのは,新しい校長さんだから。

  • 映画でもそうですが、読んでる間に何度も泣いてしまいました。声に出して驚いたり、笑ったり、読んでいる自分の反応に驚きました。
    私は数多くいる、木村先生の教え子の一人でした。小学校5・6年を担任として受け持ってもらいました。今でも声を覚えています。(映画や本の中に出てくるような特別なクラスではありませんでしたが。)
    さて、教え子ならではの泣き所は別にしても、誰しも心動かされる一冊ではないかと思います。
    PBL(Project-Based Learning 課題解決型学習)とか、アクティブ・ラーニングとか、カタカナ言葉で難しく聞こえる事を当時から実践されていた事も分かります。誰もが分かる言葉でそれらが書かれているので、大阪弁のイントネーションを頭の片隅に置いて読むと、先生が話しているようです。
    本の帯や、映画の告知編のキャッチーな印象よりも、生身の学校や生徒、先生などの人が見えて来ます。

  • 久しぶりにすごい。学び続けること。必読かも

  • ステキな先生と学校、そして一番ステキなのは子供達!
    本音で向き合うこと、チームで向き合うこと、子どもたちの場を作っていきたいというシンプルだけどとても大事な気持ちが、学校という場が子供たちの能動的な生活の場所に変わっていく大きな要因であると感じた。

  • 映画観ました。

  • 「特別支援」って何なんだろう。
    「障がい」「虐待」とラベリングして、社会が決めた枠から飛び出た子どもを排除するのは、今の社会を反映してる。
    本当に「みんな」が安心してありのままでいられるには、その子のことを「私たち」として捉え、歩み寄ろうという姿勢が大切。

    大空小学校、見学してみたいな。
    その前に、映画!早速稲美町の上映会に申し込みました!
    楽しみだな~♪


    ・「支援を必要とする子」は日々変わる。学校は最初から「障がい」や「虐待」など、ひとりの子どもを「くくり」で決めつけて見てしまいがちだが、そうすると大人の手からこぼれ落ちる子が必ず出てくる。
    ・子どもの周りにいる大人が「通訳」をしていくなかで、目の前で起きている物事の本質に、子どもたちが気づき始める。
    ・一番大切なこと。それは、子どもの声を聴く、ということ。ただ、漠然と聞くのではなく、子どもの声に耳を傾けようという姿勢が、目の前の大人にあってほしい。
    ・明るいところから暗いところを見ようと思ったら、「見よう」としなきゃ見えない。
    ・「この大人は自分を裏切らない」という大人にしか、子どもは本当のことを言わない。
    ・この日「もう暴力はしません」と誓った気持ちは真実。だから、「どうせまた乱暴するやろ」ではなく、その一瞬一瞬は本物。
    ・気になる子を変えることに全精力を使い果たすのではなく、その子の周りの子どもたちを変える努力をするほうが、その子は変われる。これを大人と子どもの関係に置き換えるなら、大人がほんの少し変わろうとすれば、子どもは変わる。
    ・その子らしくいることは、「その子の現状のままでいい」というのではなく、「その子の“ありのままの質”をあげよう」ということ。
    ・排除するのではなく、「その子と一緒に学べるにはどうしたらいいか」を考える。
    ・大人のつくる空気を、子どもはいつも吸っている。
    ・大人同士が安心し合える場では、子ども同士も安心できる。
    ・子どもが分かっているのに、「わかったやろ、絶対せんときや」。これは余計。説教になるか、子ども自らのやり直しになるかの分かれ道。

  • 同じ著者の「見えない学力の育て方」よりもこちらの本は良かったと思います。初著であるので、丁寧に書かれていて本当の姿に近いと思います。説明にこなれた部分が少ないから、読んでいて共に歩む感覚がありました。
    特に後半はとても勉強になりました。
    もともとどの子もすごい→子どものすごいところを大人が潰し→腐ったのが大人なのかなって思う。そんな負のループを断ち切らないといけない、今すぐに。
    文中にもあった通り、目の前の子は来年いてない。何か変えるなら今しかない。来年から、明日から、なんて悠長に構えてたら取り返しつかなくなる、それが子どもと過ごす責任だと思います。
    「子どもをわかったつもりになってはいけない」
    とても胸に響きます。私もこの教えを実践したいとメラメラ燃えました。でもきっと失敗する、その失敗も味わって、やり直して成長して、共に支え合いたいと思いました。
    こう思うと、大人も子どももないよなー、みんなが学ぶ人なんだなーと思う。本当に子どもはただただ「小さい人」でしかない、ノッポさんの仰る通り。

  • 感動したし、新たな発見もあったし、出きる限り多くの人に薦めたいと思える本です。

著者プロフィール

初代大阪市立大空小学校長

「2021年 『学校の未来はここから始まる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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