- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001012
感想・レビュー・書評
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正直よく分からなかった。冒頭の有名なフレーズはおぉ、となった。たしかに情景描写が綺麗で、わたしはこの前行った銀山温泉を思い浮かべた。調べてみたら新潟のほうがモチーフだということなので行ってみたい。駒子との関係は最後まで不思議だった。葉子との関係も。ただ、最後の火事のシーンは最後にふさわしいシーンかな、と思った。情景としても白っぽかったイメージに急に鮮明な赤が出てきて、火事というのは不吉で悲惨なものなのにどこか美しさがあった。また何年か後に読んでみたらなにか変わってみえるのかな?
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【雪国】
少し前になりますが、川端康成の雪国を読みました。ライティングの勉強になると人から勧めて頂いて読みだしましたが、その綺麗な言葉の言い回しの先にある情緒的な景色を頭の中で描きながら、読んでいる最中そこには確かに【雪国】が目の前にありました。
普通なら学校で習うのだと思いますが、僕はまともに義務教育を終えていないので、川端康成の作品自体、手に取るのも始めて。
冒頭の有名な「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。夜の底が白くなった」
にはじまり、「それはなつかしい悔恨に似て、ただもう安らかになにかの復讐を待つ心のようであった。」など、本物の詩人が織りなす言葉をかんじました。
余談ですが、この話知り合いから川端康成本人に体験談を書いたと聞きましたが、川端康成という人物は相当モテる人だったんだろうなと、思いざるを得ません笑
女性への接し方が真摯で一見キザだけど嫌味がない。
話の結末は文章の美しさとは打って変わって悲劇的ですが、その儚さも含めて傑作なのだと思います。 -
題名のイメージから想像していた内容とかなり異なっていました。登場人物である親の遺産頼りで放蕩している島村と温泉街で貧しい中で身体を売って仕事をしている駒子との矛盾しているが成立した恋愛について、なかなか生々しい人間描写ですね。都会の喧騒を離れた雪国での非常に人間臭く純粋で艶めかしい芸者である駒子とのやり取りはお互いが最終的には成立しない間柄であることを分かりつつ惹かれ合う人間同士の虚実に身を任せる心境をよく表している。
また、少し浮世離れしたが美しい心を持つ葉子にも惹かれてしまう様もなんとも言えない人の欲深さと純粋であることの無情さがある。
そして、この複雑な人間模様の不自然さを雪国の自然さと合わせて洗練された文章で書き上げられた文豪の感性と技術はまさに圧巻。
海外においてもこの繊細な文章が評価されたのは非常に喜ばしい限りです。時間があれば、この文章がどう英訳されるのか調べてみたいですね。 -
冒頭を初めとして情景描写がとても美しい。ことばの力を感じたし、これが文豪の技なのだなと思った。
内容は難しく、読み取れない箇所もあった。
この作品をしっかりと読み解けるようになるのはいつのことになるのやら…
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愚直で必死な駒子とそれに対して感情が移りゆく島村の物語
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あまりに有名なので一度読んでみようと思った。親譲りの財産で無為徒食の生活をしている島村は、雪深い温泉町(越後湯沢)で芸者・駒子と出会う。そしてその一途な生き方に惹かれるが、ゆきずりの愛以上のつながりを持とうとはしない。この二人の関係を哀しくも美しく描く。
冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」が特に有名。個人的には悲しいほど美しい声を持ち、いつも真剣で張りつめた生き方をする葉子に惹かれた。機会があれば物語の舞台・高半旅館(現・雪国の宿高半)へ行ってみたいものだ。 -
20180421
最近この時代の小説の楽しみ方がわかってきた気がする。知的教養要素とエロ(R15くらい)の絶妙なマッチ感が良いのではなかろうか。まぁ読み慣れてないのでまだ頭には入りにくい。最後の描写はとても綺麗。 -
大学の授業で1ヶ月かけて習いました。
本は自分で読み、映画を見ながら習った。
対比がたくさん出てきて、読書の新しい読み方を習ったって感じでした。
この本をきっかけに川端康成の本を何冊か読んだ。
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人によって日本語表現の礎をどこに置くかは異なるだろうが、こと”美しさ”という観点で言えば、私は川端康成がその礎にあたることを確信している(もちろん別の観点で見れば、丸谷才一などが該当するのも当然であるが)。
「雪国」を以前に読んだのはいつのことか、記憶にはないのだが、この年齢で再読すると、全く別の印象が得られているような気がする。主人公である島村と雪国の2人の女性の奇妙な関係性が、何か冒頭から悲しい予感を与えながら、結末へ向かっていく姿に、美しさと破滅がほぼ紙一重にあるということを感じざるを得ない。
そしてその奇妙な関係性を支えるのが、著者特有の美しい自然描写にある。一般的な文学批評の原則では、こと一人称小説においては、主人公の目線を通じて描かれる自然描写は、主人公の心情を表すものとして理解される。川端康成本人をイメージしてしまう島村の一人称小説である本作も、その一般則を逃れ得るものではない。しかしながら、あまりにもその描かれる自然が幽玄で美しく、主人公の感性を超えたところにあるように見えてしまう点に、川端康成という作家の独自性を感じる。