雪国 (新潮文庫 (か-1-1))

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著者 : 川端康成
  • 新潮社 (2006年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001012

雪国 (新潮文庫 (か-1-1))の感想・レビュー・書評

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  • 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は、日本文学史の中でも屈指の書き出し。余談ながら、富山から東京へ新幹線移動の場合は、越後湯沢で乗り換えなので、越後湯沢の雪深さが現実感としてあらわれてきました。(笑)
    実は物語らしい物語はなく、背景や経緯も読んでいてあまりよくわからないのですが(笑)、情感たっぷりに雪国の風景を描写した中で交わされる島村と駒子の会話が、しっとりとした面白い風情を感じさせ、ぐいぐいと引き寄せられました。駒子が島村にまとわりつく様子も嫌味でなく、本来は鬱陶しいはずの言動も(笑)、雪国の景色の中へとけこんでいくような感じ。
    四季のうつろいと蛾の生死の有様の対照化や、女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
    ラストは余韻がかなり残る終わり方ですが、その後を描いていくよりはむしろ、大舞台の中、情感を最高潮に達したところで終わりにする心憎い演出ではないかな。(笑)しっとりとした美を描く日本映画、といった趣の作品でした。

  • 文字が織りなす作品世界、私は他の作品以上にこの点を強く感じた。

    一言一言、
    一文字一文字がすべて意味をなし、
    無駄なものが一切無く読者に情景を想起させる。
    彼のこの作品を体験することで改めて日本語の持つ表現の幅広さを感じることが出来たと思っている。

    表現という観点から作品を見た時に頂点に君臨するのが
    川端康成の「雪国」であることは私の中では疑いようのない事実である。

  • 川端康成を読むのはこれで二作品目。冒頭の夜汽車に揺られる一連の描写が、どことなく芥川の『蜜柑』にも似て、たいしたことを描写しているわけでもないのだけれど、物憂げな心持ちにさせる。

    銀白の雪国、閉ざされた世界、島村のいうように「徒労」でしかないのかもしれない駒子の、その無垢さを象徴するかのように、それはいつも白い。窓越しの駒子の赤い頬との対比が、まるで美人画のようで、たおやかなれど官能的でさえある。

    おわりは突然過ぎて、勢い余って転びそうになった。以前に読んだ『みずうみ』もそうだが、彼の物語は唐突にはじまり、唐突におわる。まるで登場人物たちの人生を適当な尺で切り出してきたかのように、まったくもって完成しない。着地点がわからないから戸惑うのだけれど、現実の日常にもそれがないのと同じで、彼の語り口はどことなく真に迫るものがある。わたしには永遠に訪れることのできない雪国が異次元に存在して、彼はそこに出入りができるかのようだ。

    架空の世界が現実を肉迫する。寂しくなったら、慰めがほしくなる。そんなときは彼が切り出した別の人生の一コマをまたのぞいてみたいと思う。

  • 川端康成の繊細な文章の醸し出す、静謐で幻想的な雰囲気。本当に大好きです。

    特にこの「雪国」は私の大好きな雪の描写がどれも美しい。雪国の静謐なムードを演出してます。島村と駒子の哀しいとも取れる関係は、今の私にはまだ理解できないところもあるけど、自分がもっと大人になったら再読したいと思った。きっとその時の感想もまた変わってるような気がする。

  • 言わずと知れたノーベル賞作家の代表作。

    面白いか、面白くないかといえば、はっきり言って面白くは無い。
    終わり方も、それで・・・?といった感じだった。

    しかし、読むたびにじわじわとくる。
    若い頃、一番初めに読んだ時にはさっぱりわからなかった。
    というか全然進まなかった。
    懲りずに3、4回ぐらいに読んでやっと読めた気になれた。

    中高生の読書感想文とかで推奨されていそうだが、これは大人が読むものだと思う。
    これで感想文とかどう書くのだろう?
    間接的な性描写も、美しい情景描写もそこそこ年齢を重ねてからのほうが理解できるし、当時の男女間の事情も読み取れる。

    話の内容よりも文章そのものを楽しみたい。

  • 瀬戸内寂聴とドナルド・キーンの対談で三島と川端を比較してたので手に取る。 若いころはわからなかったけど、場面場面を切り取り、感覚でとらえたことを日本語に変換させたような文章で素晴らしいと思った。 ゴシップ記事になるような登場人物のあれこれは全然描写されておらず、その場、その場のことを美しい日本語で、読者を雪深い温泉場に取り込んでしまう文章は「これが小説なんだ」と思った。 谷崎も書いていた西欧では恋愛が表現されてなければ小説と言わないという、しかも人間の懊悩も描かれている。さすが!

  • ストーリー云々よりも、ただただ雪国の美しい情景が目に浮かぶ…
    小説というより、芸術作品だと思いました。

  • 本には、それを読むのに適した年齢があると思います。高校生のとき、大学に入ったばかりのとき、島村や駒子を取り巻く状況が全く分かりませんでした。動きがない、答えを出さない、臆病。なんでこれが‘名作’なの??と。
    わかった、エロか!!この妙にほのめかすエロな感じがいいのか。いつの時代も妄想を掻き立てられる表現が歓迎されてきたのは一緒か。
    もちろんその年齢は人によって全然違うのが当たり前ですが。私は三回目にしてやっと、この文体になんとかついていけるようになりました。以前と受け取るものが違うなぁと感じるのは新鮮なことです。要は、「読書をするとき背伸びをするな」。わからないものはそのままに、いつか再チャレンジしてみると楽しい。

  • 冒頭部分があまりにも有名なこの作品。
    難しそうなイメージで何となく避けていましたが、読んでみたら意外と読みやすく驚きました。
    物語の中にどんどん引き込まれて行く感覚が心地良く・・・
    美しい叙情的な描写とスピーディーな展開のためか、途中からまるで舞台を観ているかのような気分になっていたので、最後の終わり方もこういう結末の演劇って良くあるよねと。

  • 親の遺産で無為を過ごす島村。温泉街で芸者・駒子と出会う。彼女の清純で一途な生き方に惹かれるも、束の間のつながりしか持とうとしない島村。清らかさ、ひたむきな感情という己が欠落させたものを女のなかに見出し渇望する。それを求めても得られぬと知りつつ。空虚を生ききる男の語り口と視線は柔らかでいて強い意志を感じた。

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