二月はじめの頃、雪を見て思わず再読していた本
十代終わり頃に一度、たしかに読んで
良かった印象があるのですが、ほぼ忘れてまして…(笑)
また、すっかり忘れないようにと…
レビューしておきます(笑)
東京で暮らす島村という
妻子持ちの男性が
雪国に訪れ
そこで出会う芸者の駒子や、
健気な葉子にも惹かれる様子が
描かれる作品ですね
島村の目を通して
二人の女性の立ち居振る舞い、美しさの描写や
それぞれの会話の様子や…心理描写などや
雪国の情景描写なども繊細に美しく綴られています
登場人物達の関係性は複雑微妙で、
それぞれにやるせない人間模様を感じさせられます…
いろいろ詳しく語られていない…
読者の推察にまかせているような部分も多いので…
それで想像をかきたてられてしまって
気になってしまうような幻想的な世界観の作品です…
そしてこの作品は
文章がとても、美し過ぎなんですよね…!
こんな表現するんだぁ…と惹き込まれてしまいます
有名な書き出し部分の文章も印象深くて好きですが
気になるような文章が
たくさん散りばめられてます!
「夜の底が白くなった」
「石の多い川の音が、円い甘さで聞こえてくる」
「しーんと静かさが鳴っている」
「彼女の眼は、夕闇の波間に浮かぶ
妖しくて美しい、夜光虫であった」
「一心込めた愛の所業は、いつかどこかで
鞭打つものだろうか」
「なんとなく好きで、その時は好きだとも言わなかった人の方が、いつでも懐かしいのね。忘れないのね。
別れた後ってそうらしいわ」 等々…
ストーリー的には
夜空の中の火事のシーンが
衝撃的で印象深いですね…!
あまりにも唐突に始まり、いきなり終わるような感じも、とてもあとを引かせます…
天の河と冬の村の描写があまりにも美しく
映画を観ているかのようで…
「この子、気がちがうわ、気がちがうわ」
と、いう駒子の叫び声…
… さあと音を立てて、天の河がしまむらのなかへ 流れ落ちるようだった…
きっとしばらくの間…は
この場面、私の頭から離れない気がします…
- 感想投稿日 : 2024年3月3日
- 読了日 : 2024年3月3日
- 本棚登録日 : 2024年3月3日
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