- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001012
感想・レビュー・書評
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「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
というあまりにも有名な一節から始まる、川端康成の長編小説。
日本文学作品には苦手意識があって、学校の授業以外ではほとんど読んでいない。
けれど、イイ大人になったので挑戦してみた(笑)
これはやっぱり子供が読むには難しすぎる。そして、大人でも何度か読んで理解できることが多いなと思う。
とにかく情景描写が美しい。
言葉の選び方や表現が独特な世界観を持っている。
また、登場人物が魅力的だ。
駒子のハツラツとしていて、激しく燃える炎のような感情や、葉子の物静かでありながら、砕いた氷のような冷たく鋭い感情。
そして男女のエロチシズム。
それは、ただ美しいだけではなく、理性と欲望を行き来している様にはまた、人間の滑稽さもあり、力強さもある。
うーん、この本を読んで感じたことを文章にすることすら難しい。。。
この作品から何を読み取ればよいのか、物語の結末は何を意味しているのか、結論はあるのか・・・。
時間をおいてまた、何度か読んでみたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冒頭部分があまりにも有名なこの作品。
難しそうなイメージで何となく避けていましたが、読んでみたら意外と読みやすく驚きました。
物語の中にどんどん引き込まれて行く感覚が心地良く・・・
美しい叙情的な描写とスピーディーな展開のためか、途中からまるで舞台を観ているかのような気分になっていたので、最後の終わり方もこういう結末の演劇って良くあるよねと。 -
言わずと知れたノーベル賞作家の代表作。
面白いか、面白くないかといえば、はっきり言って面白くは無い。
終わり方も、それで・・・?といった感じだった。
しかし、読むたびにじわじわとくる。
若い頃、一番初めに読んだ時にはさっぱりわからなかった。
というか全然進まなかった。
懲りずに3、4回ぐらいに読んでやっと読めた気になれた。
中高生の読書感想文とかで推奨されていそうだが、これは大人が読むものだと思う。
これで感想文とかどう書くのだろう?
間接的な性描写も、美しい情景描写もそこそこ年齢を重ねてからのほうが理解できるし、当時の男女間の事情も読み取れる。
話の内容よりも文章そのものを楽しみたい。 -
瀬戸内寂聴とドナルド・キーンの対談で三島と川端を比較してたので手に取る。 若いころはわからなかったけど、場面場面を切り取り、感覚でとらえたことを日本語に変換させたような文章で素晴らしいと思った。 ゴシップ記事になるような登場人物のあれこれは全然描写されておらず、その場、その場のことを美しい日本語で、読者を雪深い温泉場に取り込んでしまう文章は「これが小説なんだ」と思った。 谷崎も書いていた西欧では恋愛が表現されてなければ小説と言わないという、しかも人間の懊悩も描かれている。さすが!
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川端康成の繊細な文章の醸し出す、静謐で幻想的な雰囲気。本当に大好きです。
特にこの「雪国」は私の大好きな雪の描写がどれも美しい。雪国の静謐なムードを演出してます。島村と駒子の哀しいとも取れる関係は、今の私にはまだ理解できないところもあるけど、自分がもっと大人になったら再読したいと思った。きっとその時の感想もまた変わってるような気がする。 -
あまり入ってこなかった。映画で再確認予定。ラストの火事と天の河の描写は良かった雪国なのに。
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有名なトンネルの名文から始まる川端作品の雪国、昔読むことを早々に頓挫したように、やっぱり表現や内容が難しかった。最初は何のことを言っているのか理解が追いつかず、あらすじを知った上で、読むことに変えた。何とか読めた。この作品、好みが分かれますね。若年層がこれを読んで、難解すぎて読書嫌いにならなければ良いが。
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北国の温泉宿の情景がありありと目に浮かぶ。寅さんのような、懐かしくどこか哀しみを帯びた情景。
島村と駒子の愛の話なのかと思って読んでいたが、最後には駒子と葉子の話だったのかなと思った。
情熱と冷静。決して交わることのない天の川の対極の二人。
葉子の結末は唐突すぎて理解しきれていないけど。
昔の映画も見てみたいなぁと思った。 -
美しい日本語。風景が、心情が、やり取りが綺麗。色の描写が彩りとなり、難解ではあるが心地よい。