伊豆の踊子 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001029

感想・レビュー・書評

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  • 深い精神性があるのがわかりました。
    とはいえ、十分に理解できたとは言えません。
    内容の咀嚼も難しく、感想もうまく言葉にできません。
    いずれ再読したいと思いました。

    エンタメ小説のように楽しめる作品ではありませんが、こういった純文学に触れることで得られる読書体験も大切だと気づきました。

  • 繊細な瑞々しさ
    哀しみの裏の逞しさ
    乙女のような憧れ
    冷徹で利己的

    感情よりもうひとつ上の段階にある
    言葉に言い表せないような何か
    すぐに答えが出るものではなく
    何十年もかかってふとこの事かと
    分かるような不思議な感覚

    筋を追って単純に内容を理解して
    良かった悪かった
    楽しかったつまらなかった
    ...などというレベルを超えてる作品を
    描く人なんだな...とようやく分かった

    ブックオフにて購入

  • 他「温泉宿」、「抒情歌」、「禽獣」ことごとく面白くない。
    川端康成は合わないと思う。

  • 一人旅のお供にぴったりの内容かと思いきや伊豆の踊子以外にも短編が収録されていた。内容はやはり純文学なだけあり、古風な表現もあいまってよく分からないというのが本音。でもこのよく分からないけどなぜか少しいいかも、と感じることが芸術鑑賞も第一歩だと思うし、そのような感覚が得られる瞬間を追い求めていきたい。

  • 慥か大学生の時分に購入し、その時は「キモい」という感想しかわかなかった作品。
    三十路をすぎて岩波文庫版で再購入。読んでみたら大学時代に読んだ時と印象がちがって面白かった。
    「大学在籍中に岩波の文庫を読み漁れば人生豊かになる」という誰かのありがたい格言をいつかどこかで読んだが、こういうことがあるから、大学時代に岩波文庫全冊読破したとしても恐らく人生豊かにはならなかっただろうと自信をもっていえる。

  • 純文学は自分にはまだ早かった。
    もう少し色々読まないとちゃんと読めない。
    これがノーベル賞作家か。

  • ストーリーに起伏がなく特に面白いとは思わない。文章は流石に綺麗
    正直に面白くない、と言いづらい作品なのかもしれない。

  • 「伊豆の踊子」
    清潔感を感じる文章で、言葉が美しい。
    だが当時の感覚と令和の感覚での齟齬があるのか、
    いまいち内容そのものには趣を感じられなかった。
    言ってること、この作品が好きだという人たちの感情は理解できるのだが、自分には響かなかった。
    雪国も同じ気持ちになったので、近い時代を過ごしておらず想像力と感受性が豊かでない自分のような人間には、昭和の文豪たちの作品は難しいのかもしれない。

    「抒情歌」
    短編4本の中で、この話が一番内容がわかりやすく、楽しく読めた。
    あくまでも「私」の一方的な独り言のような文章なので、「あなた」が本当に放った言葉が実際に載っていたら、私たち読者の「あなた」という存在の受け取り方がまた変わったのかなあと思う。
    「私」を通してみる「あなた」にはフィルターがかかりすぎているように感じ、実際の「あなた」はどんなふうだったのか想像を巡らせると楽しい。

  • 最近の文学だけではなく、幅広く文学を…と思い手に取った本作。
    日本で最初にノーベル文学賞を取った川端康成さんの作品、コレで日本人3人の代表作は読んだかな(´∀`)

    うーーーむ、ちょっと自分にはイマイチ良さが分からなかったかなぁ…

    ベースの部分で「20歳・男」→「14歳・女」の恋愛ものっていうロリ設定なんですが、それでいて「純愛モノ」ってのがなんだかなぁと…イマイチすんなり入ってこなかったですねー、そこらへんは時代背景もあるのかもですが…

    どうせ読むなら、谷崎潤一郎さんみたいな潔く?エロにぶっ飛んでる作品の方が、圧倒的に読んでて面白いかなぁと思いました。

    過去の名作と言われる小説をいくつか読みましたが、やっぱり読んでて面白いなと感じるのは現代の作品の方が多いですね。
    今の小説は、過去の作品からブラッシュアップされているし、時代の背景、雰囲気も分かって共感を得やすく、その分の強みがあるのかなと。

    こんなこと言うと「分かって無ぇ奴だな」ってなるのは百も承知なんですが…まあ自分が素直に感じたことを残しておこうかと…

    当時はこの新しさが良かったのかもしれませんね、「新感覚派」って付くぐらいだからそういうことなのかなと納得。


    <印象に残った言葉>
    ・仄暗い湯殿の奥から、突然裸の女が走り出して来たかと思うと、脱衣場の突鼻に川岸へ飛び下りそうな格好で立ち、両手を一ぱいにして伸ばして何かを叫んでいる。
    手拭もない真裸だ。それが踊子だった。若桐のように足のよく伸びた白い裸身を眺めて、私は心に清水を感じ、ほうっと深い息を吐いてから、ことこと笑った。子供なんだ。私達を見つけた喜びで真裸のまま日の光の中に飛び出し、爪先で背一ぱいに伸び上がる程に子供なんだ。私は朗らかな喜びでことことと笑い続けた。頭が拭われたように澄んで来た。微笑がいつまでもとまらなかった。(P20)

    ・「いいえ、今人に別れて来たんです」私は非常に素直に言った。泣いているのを見られても平気だった。私は何も考えていなかった。ただ清々しい満足の中に静かに眠っているようだった。(P45)


    <内容(「BOOK」データベースより)>
    旧制高校生である主人公が孤独に悩み、伊豆へのひとり旅に出かける。途中、旅芸人の一団と出会い、そのなかの踊子に、心をひかれてゆく。清純無垢な踊子への想いをつのらせ、孤児意識の強い主人公の心がほぐれるさまは、清冽さが漂う美しい青春の一瞬……。ほかに『禽獣』など3編を収録。巻末の三島由紀夫による「解説」は、川端文学の主題と本質についてするどく論じている。

  • 『伊豆の踊子』『温泉宿』『禽獣』に見られるように、処女性に対しての筆者の表現の模索が多く描かれている。

    『伊豆の踊り子』はほんとに旅情溢れる趣深い作品だった。

    『抒情歌』はかなり複雑で難解だが筆者の死生観を反映し、このような作品でこそ文学的に自身の思想を落とし込むことの本領が発揮されている。

    面白かった。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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