神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 11262
感想 : 1008
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001500

感想・レビュー・書評

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  • 短編それぞれが、フワッとしていて読んでよかったです。
    特に最後の『蜂蜜パイ』はこれから、
    きっとしあわせな家族。。を期待できてうれしいです。

  • 阪神大震災の影が色濃い短編集。
    飄々とした作品の中にも災厄が滲む。
    かえるくん よかった。

  • 震災の当事者ではない人たちの話で、被害地域の様子をテレビや新聞を見ても、遠くのことのように思える…だけど、震災の前と後では何かが違っているような感覚だったり、気づきや意識の変化を描いているのかなと思った。

    読むきっかけは「すずめの戸締り」を見て、震災をしっかり描いた作品を初めて見た気がして、そこから作中の災害を起こすみみずが、この作品のオマージュだと知ったから。
    わたし自身は東日本大震災のときのことを重ねて読んだ。
    大学で震災文学と呼ばれる本があることを知り、部外者として過ごした東日本大震災を、本を通して考え直す…という経験を、この本でまたできると思ったけど…
    震災との関わりがどの話も新鮮で面白かった。

    表題作は、「地震を起こすこの大地の一部として自分を認識する」というのが面白かった。
    最も自信を身近に感じたのはかえるくんの話で、ちょうど東京で電車に乗っている時に読んだからだと思うけど、電車が止まったり衝突したりして多くの死者が出る、という描写は、読んで怖くなった。

  • 「かえるくん、東京を救う」があまりにも好きすぎて何回も読み返しています。これぞ、村上的ファンタジー。彼にしか書けない世界観。たまりません。少し不思議な話が大好きなので全編通して楽しめました。この頃からかな?女性の主人公の目線で書かれてみたりしてて、ノル森の「僕」目線が大好きな身としてはたまには「僕」にも帰ってきて欲しいなと思いつつ……これはこれでまた良いものがあります。

  • よくわからないんだけど、読みにくくはない。
    むしろ心地よい感じ。
    焚き火の話と蜂蜜パイがよかったです。

    阪神淡路大震災がそれぞれの物語の登場人物に影響しているけれど、そこまで神戸やその周辺の地域に固執しているわけではないというのがなんだか不思議でした。淡々と受け止めているけど、気にしてないわけではないというか。

    何度か出てきた「話の内容が相手の頭に染み込むのを待つ」というような表現がいいなと思いました。

  • 初・村上春樹。あまりにも有名過ぎた故に、氏の作品は一度も手にしたことがなかったのだが、今回機会を得たので本短編集を手に取ってみた。

    本書は、1995年に発生した阪神淡路大震災の4年後に、「地震のあとで」という連作で発表されたものに書下ろし一編が加えられたもの。未曽有の大震災をきっかけとして起こる日常の様々な"変化"を、ぼんやりとした不思議な世界観で著されている。

    非常に読み易く、あっという間に読了。この「読み易くも難解」な不思議なテキストが氏の人気の秘密なのかとなんとなく感じることは出来たが、短編集ということもあってか、個人的に満足感はそこまで。また機会があれば長編作品にも当たってみたい。

  • 阪神淡路大震災が起きた1995年1月、地震が起きた場所とは、全く違うそれぞれの場所で震災を経験した人たちを描いた短編6本が収録されている。

    震災のニュースを見た妻が実家に帰ってしまった男は、友人に頼まれて小包を釧路へと運ぶ。家出した少女は、茨城の町で知り合った関西弁の中年の男と焚き火をして過ごす。新興宗教の信者である母を持った青年は、神様だと教わった父の姿を追って、自分が神の子であることを自覚する。アメリカから日本に帰国することを決めた女医は、タイで夢のお告げを受ける。かえるくんと出会った男は、東京に地震を起こそうとするみみずくんを倒すため、夢の中でかえるくんを助ける。

    印象深かったのは、6本目の「蜂蜜パイ」だった。
    物語は、小説家である「順平」が、友人の「高槻」に代わって、「小夜子」と結婚することを決意するまでを描く。「小夜子」の娘「沙羅」は、阪神淡路大震災のニュース映像を見て以来、「地震男」が自分を箱に詰めようとしてくるという想像に恐れるようになってしまう。「順平」は、彼女ために熊のまさきちととんちきの物語を創作して話してあげるが、彼の作る物語は、いつも悲しい結末に至ってしまう。
    「順平」は、自分の人生観が、子どもに対して語る物語の中に表れて、それを言葉にしていくうちに考えさせられていく。

  • #神の子どもたちはみな踊る
    新海誠監督がクロ現で、この作品がなかったら #すずめの戸締まり はなかったと言っていたので

  • こうだからこう、みたいなものは求めなければお話の雰囲気は好きかもしれない。

    焚き木の話は、なんか良かった。
    パチパチと音を立てながら流木が燃えているさまや、赤く照らされ暖まる前半身と暗闇に溶けて凍える後ろ半身のコントラストなんかが目に浮かぶようだった。

    そこに自分が存在するような感覚になれる文章を書くってやっぱりすごいなぁと思う。

    暖炉の薪に火がついているだけの動画がよく見られているのも、なんとなく分からんでもないなぁと思った。


    オーディブルで聴いていたので、文字で読むよりも恥ずかしい気持ちになる単語が多かったなぁ。
    ぼかさずに、どストレートだから。
    人前では絶対に聴けない。


    内容とは関係ないですが、仲野太賀さんの朗読でとても耳馴染みが良く聞き取りやすかったです。
    役者さんだけど変に芝居っぽく読んだりしないで淡々としていて、ほとんど「自分で文字を追って読む時の感覚」で自分で人物像や風景に色を付けていけました。
    (キャラごとに読み方を変える読み手もいて、自分には合わなかったのかストレスが溜まったことがあったので比較)

  • 家の鍵がうまく開かず、充電が残り10%になった携帯を預けて、この本を選んで、スタバで時間を潰した。知らない人の住宅ローンの会話の横で、交代で鈴を振った。
    好きな話:アイロンのある風景、タイランド、蜂蜜パイ

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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