もの思う葦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006147

感想・レビュー・書評

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  • 太宰の随想集。「川端康成へ」や「如是我聞」の志賀直哉への悪罵雑言には、自分に批判的な人に対しては喧嘩を売って見境なく怒るという片腹痛いものがある。子どものような面があり、なお言ってることはまともであり、まっすぐなところが愛される由縁でもあろう。2021.11.19

  • アフォリズム、エッセー集。
    小説を書きたい、エッセーなんか書きたくない、適当に埋め合わせようって気持ちが漏れ出てる書き方のものが多かった気がする。

    今まで何作か太宰を読んできて思ったのは、太宰の文章は本当にうまくて好きで、話の内容自体としては私小説色が強いものより太宰の影があまり出てこないような創作された話のほうがどちらかというと好きだったってこと。

    太宰の弱さや繊細さ、自分が大好きなくせに嫌いにもなったりするような部分はうまく作品に昇華されていれば好きなのだけど、こうやってエッセーで愚痴感覚で読むと結構きつかった。

    俺はこんなにがんばってるのに世間がせめる。生きづらい。
    世間はこんなものを良いというけど俺はそれはどうかと思う。こういうほうがいい。
    周りはみんな馬鹿ばかりで付き合いきれない。
    それじゃあ自分が大好きでしょうがないのかと思えば自分が嫌になる時もある。

    これはみんな多かれ少なかれ結構思ったことがあることなんじゃないかと思う。
    その部分に共感できるから、辛さがわかるから好きって人もいるんだと思う。
    私はしんどかった。こう思ってしまう彼が嫌いなんじゃなくて、わからないんじゃなくて、抑えこもうとしてる私自身の嫌いな部分を直球で客観的に見させられてる感じがするからしんどかった。

    この中では『織田君の死』『如是我聞』が好きかな。
    如是我聞は噂にはきいてたけどほんとにボロクソに言ってるというかもう気に入らんものに片っ端から噛み付いたれって感じでもはや清々しい。
    それは怒ってもしょうがないよねそれはおかしい言いたくなるよねって頷けるとこもあるけど、いや…それはほっといたれよ…そこは簡単に反論されそうだな…みたいなとこもあった。
    それだけいろんなことに我慢ならなくて怒っててどうしても言いたかったんだろうなぁというのは伝わってきた。
    みんな書かないであろうこの直球の訴えで変わったものも確かにあったのかもしれない。

  • 太宰の評論を初めて読んだ。
    気付かされる言葉が多く、たまに読み返して、その言葉を思い出したいと感じた。

  • 私は太宰治という人が書いた文を理解できていないと思っています。
    この本は小説ではありません。
    太宰作品は小説もそうですが、なぜか面白いと思う自分がいます。
    どんなものも理屈ではないのですが。
    そして太宰治は今を生きてる感じがします。

  •  太宰治の随想集。「如是我聞」と「織田作之助君の死」が収録。全般的に太宰だなあと思えてしみじみする。唐突に出てくるフランス語等に戸惑う。

  • 「如是我聞」の志賀直哉批判がすごい……ちょっとやり過ぎじゃないと思ってしまう。伝統的なものに対しての反発の意気込みが伝わる。

  • クスっと笑ってしまうんだ。

  • 芥川に触発されたんだろうなー。やや過剰に暗さが出ている。あんまり考えちゃだめだよ。ま、考えないのが一番だめだけど。

  • 3/30

  • 読んでて共感できる部分が結構あったのでこの評価。といっても内容は誰しも考えるような事が大半。それを太宰が書くからこそ愛おしい。

    太宰治の人間性に惹かれない人、太宰治の作品を全く読んだことのない人にはおススメしません。

著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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