青春の蹉跌 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101015224

感想・レビュー・書評

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  • うーん何というか、こういう自分の内面と向き合わざるを得ない本を読むと、いつも複雑な読後感を味わうことになる。きっと江藤に感情移入しながら読んでいるからだと思う。彼のエゴや傲慢さや浅はかさや、一方で生真面目さや肝の小ささや。
    フィクションとして読んでいたものが、いつの間にか〝自分ならどうだろう、自分も同種の人間かもしれない〟などと考えている自分に気がつき、来し方に思いを馳せていたりする。それがこの本の優れたところなんだろうな、とも思う。

  • 昭和43年に毎日新聞に連載された作品です。司法試験を志しながらも利己的で打算的な考え方をする主人公の悲劇的な結末を描いています。私が初めてこの本を読んだのは、昭和の終わり頃で当時20代の独身でした。作品のストーリーや主題はわかりやすく、このような青春を過ごすのは不幸だと感じるとともに若い男女の幸福とは何かを考えさせられました。

  • 江藤が警察に連れて行かれる所がすごくリアルだった。
    胎児が江藤の子供でないことは予想できた。

  • 暗すぎる。
    昭和の物語

  • 「決心を実行することよりも、妥協することの方が、ずっと容易だった」

  • キャラクターは極端にデフォルメされつつ、動かし方がリアルなのであまり不自然さは感じさせない。小説の根底に流れる問題意識は現代にも通じるものがある~な~どとそれっぽいこと言いつつ
    頭のいい男がかくもお粗末な愚行に走るとは。ラストは物悲しさすら感じる…………

  • こういう内容が取り上げられていること自体にはとても共感できるのですが、私には書かれ方が少し明快すぎました。ハッとさせられる感じがなかったです。

  • 中国人の友人から、読んだことがある日本の小説として紹介されたので読む。問題の当事者になると、周りが見えなくなり、判断を誤り、過ちを犯してしまう、難しい。

  • (30年ぶりの再読)
    正に自分が見てきた風景、自分が過ごした時代。
    「法律を味方につけ、法律を楯にとって、他人の愛情も善意も踏みにじって、自分の欲望を合理化し合法化しながら、世の中を押しわたって行こう」とした主人公の青春の蹉跌が描かれています。
    重く積もった雪を掻き分け掻き分け進むような重さを感じながら読みました。

  • 全然関係ないメモ

    1.この本を買った時、オビが付いていたけど家で外したら思いのほか怖い装丁にびびりました。安部工房の『人間そっくり』みたい…というか、これ内容そのままだろうという絵ですね。

    2.この本買おうとしたのは、数年前のA新聞土曜日にこの本が掲載されていたから。ええもうばっちりネタばれしていましたよ、最後の最後まで。
    まぁ、その新聞の連載読んでいたせいで『ノルウェイの森』のオチも事前に知っていたんだけどね…。
    ちなみにこの本の帯(私が買ったのにはついていた)と本の裏表紙のあらすじも十分にネタばれだと思う。というかあらすじは最後の方まで書くなよという感じ。


    で、読んだ感想は
     ・主人公が三島由紀夫の『天人五衰』のあの少年みたいだと感じた。
     ・昭和の『イニシエーション・ラブ』だなこりゃ(これもネタばれ?)

    でした。でも、主人口の法律オタクっぷりがすごくよく書けているなぁと思います。
    どちらかというと、この作者の他の小説が読みたくなる小説。
    今度は表紙がまともなのをね…。

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