マツ★キヨ: 「ヘンな人」で生きる技術 (新潮文庫 い 75-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101035277

感想・レビュー・書評

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  • 『ホンマでっかTV』でおなじみの二人の対談本です。
    私も世間ではどちらかと言えば、お二人と同じマイノリティーの側の人間だからか、お二人の意見には共感できました。
    とにかく、世の中の一般的な空気はどこかおかしいし、信用できません。
    だからこそ、お二人のように真っ当なことをおっしゃる方がいることに安心できます。
    くだらない世間話のように、社会問題について、笑いも交えて語っているところがいいです。
    解説で澤口先生もおっしゃっていますが、お二人は自他ともに認めるマイノリティーなだけに、人の気持ちの機微に敏感な優しい人たちだと思います。
    行間から温かな人柄が伝わってきます。

  • テレビを見て好きになったお二人の対談本をようやく読みました!
    お二人の考えが率直に伝わってきてとても面白く読みやすいです。気軽に読める本だと思います。
    でも、話している内容は深い。

  • 対談形式なので読みやすいです。
    原発やマイノリティに関する話題が多く、興味深い話が多かったです。二人の言葉は、とてもすんなり私の中に入ってきました。
    読んでいてふと、相手を“理解する”ことより、“思いやる”ことが大事なのかな、と思いました。
    好きなことは、仕事にしない方がいいってゆうのも、納得。

  • 読書録「マツ☆キヨ」4

    著者 マツコ・デラックス、池田清彦
    出版 新潮文庫

    p26より引用
    “マツコ 豊洲のあの場所からいくら汚染物
    質が出ようが、もう、いつでもそこに市場を
    もってこられるようにしてあるんだもの。
    市場もないのに、ゆりかもめの駅はすでに
    「市場前」という名前なのよ。”

    目次から抜粋引用
    “震災で見えた差別のしくみ
     「情報化社会」の少数派として
     誰がマイナーで、誰がメジャー?
     マイノリティの生きる道”

     コラムニストと生物学者による、世間の出
    来事や風潮についての対談集。
     東北の震災後の様子についてから少数派の
    生き方についてまで、独特な二人が率直な
    意見を交わし合っています。

     上記の引用は、いま騒ぎになっている市場
    の移転についての一節。
    単行本は平成二十三年の発行とのことですが、
    汚染物質が出るであろうことは分かっていた
    様子が伺えます。結果を先に積み上げて、後
    戻りしにくいように事を進めるのは、もうや
    めてもいいんじゃないでしょうか。
    先の会見で、色々言っておられましたが、ど
    の様な言葉ももう説得力を発揮させるのは、
    難しいのではないかと思われます。
     TVでもよく見かけるお二人の、楽しそうな
    様子がうかがえて、気持ちが軽くなる一冊で
    す。

    ーーーーー

  • なんだかすごい売れっ子になっちゃってびっくりのマツコさんと、「環境問題のウソ」以来発言を注目している池田先生の対談。池田先生も結構テレビに出てるとは知らなかったわ。これは面白そうという予想通り、いやそれ以上に読みごたえがあった。

    「マイノリティとして生きること」について、卓見がいろいろ語られる。うなずけることが多い。そうだよね~~と思った箇所のいくつかを抜粋しておくことにしよう。

    池田「とても早い段階で自分というものを固めてしまって、あとはインターネットで情報を引っ張り出してくることしかやらなくなったら、自分が変わらなくなるでしょう」「いまの人は『自分』を変えようとしないんだよ。いまの人って、自分がいて、相手がいて、その間で情報のやり取りをすることだけがコミュニケーションだとおもってるんだな」「やり取りをすることによって自分や相手が変わることが本来のコミュニケーションなんだよ」

    池田「よく『好きなことを仕事にした人は幸せです』とか言う人がいるけど、違うよな」
    マツコ「絶対に違う。『anan』なんかでそういうふうに書いてあるのは大ウソよ」「仕事が楽しいわけがないのよ」「仕事はね、疲れるものなのよ!」「『好きを仕事にする』なんて、あんなクソみたいなスローガンはいったい誰が考えたんだ!? そんなの、ウソ、ウソ」

    池田「マイノリティの人の言ってることって、かなりの確率でマジョリティが言ってることよりもおもしろい場合が多いよね。差別されている人は、差別している人よりもセンシティブだから、おもしろいことが言える。ただ、そこで、ほんとうは自分がメジャーになりたいという思いがあったりすると、メジャーな人に嫉妬する心理が強く働くから、自分もまたマイノリティを差別するというような行動につながっていってしまうんだね」

    マツコ「そもそもね、アタシは、自分のことを『どうせ理解されない』と思ってるんですよ。だから、理解してほしい、あるいは理解されるのが当然だと思っちゃってる人の言動を見ていると、こっぱずかしいものを覚えてしまう」「もう諦めるしかないと思ってる。むしろ、一生『反体制』でいてやる、みたいな感じだね。『石投げるんなら投げてみろよ、この野郎』という喧嘩腰なのよ」

    池田「『自分たちが特別で、他の人は凡庸』というかたちでやった運動というのは、だいたいがうまくいかない。日本共産党が伸びないというのもそこにあるんだよね。自分たちだけが特別で、『いつも正しい』と言ってるでしょう。『自分たちはマイナーだけど、特別だし、正しい』というかまえからは、生産的な話は出てこないね」

    マツコ「『ゲイの気持ちを理解してほしい』とか訴えてる人に、アタシはよく、『じゃあ、あんたはヘテロセクシャルの人の気持ちの何がわかってるの?』と言うの」
    池田「別に他人の気持ちなんかわからなくたって付き合えるし。気持ちがわからなくたって、こうするのがいいのかなと思うことがあったら、それはやればいいというだけの話でしょう」

    いやごもっとも。お二人の話には、自分を大きく、良く見せようとか、取り繕おうとか、そういうさもしいところがまったくなくて清々しかった。それにしても、こういう「異物」も「おもしろいキャラ」として消費していこうとするマスコミって、そら恐ろしいものだなあとあらためて思った。

  • 池田先生って自由な人でいい感じ。

  • 澤口先生の解説がまた素晴らしい。

    ふたりとも、ものすごく優しい。
    変な人が好きなのは、そういう部分への尊敬だ。

  • 書かれた時期的に3.11の話題が多く、少し時間がたった今、改めて考える良い機会になった。
    池田清彦さんは存じ上げなかったし、書かれた内容でまるで知らない事もあって何をどこまで信じるのか考えさせられた。
    対談形式の本はあまり好きではないのだが、これは話が入りやすくて良かった。

  • 【本の内容】
    茶の間で引っ張りだこの人気タレント・マツコと、学会の主流になぜかなれない無欲な生物学者キヨヒコ。
    互いをマイノリティ(少数派)と認め合うふたりが急接近!
    東日本大震災後に現れた差別や、誰をも思考停止にさせる過剰な情報化社会の居心地悪さなどを徹底的に話し合った。
    世の中の「常識」「ふつう」になじめないあなたに、「ヘンな」ふたりがヒントを授ける生き方指南。

    [ 目次 ]
    第1章 震災で見えた差別のしくみ(被災地で酒盛りを;大っ嫌いなやつのことを罵って元気になる ほか)
    第2章 「情報化社会」の少数派として(「情報化社会」が怖い;コミュニケーションとは何か ほか)
    第3章 誰がマイナーで、誰がメジャー?(テレビの言説をつくるもの;新聞はもっと主張を前面に出せ ほか)
    最終章 マイノリティの生きる道(自覚の芽生え;「好きなように解釈してください」 ほか)

    [ POP ]
    人気タレントと生物学者の著者は、名を知られ、意見を発信しているのに、マイノリティー(少数派)。

    むしろ、特定されない「普通」の人々が主流派になっていく社会とは、どのような構造なのか?

    出会って意気投合した2人が、震災後の状況と差別、情報などについて語り合う。

    世の中の深層をとらえつつ、生き方を探る1冊。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 変わり者と自称されていますが、言っていることの”まっとうさ”はすごかったです。本当に、このお二人は頭がよい。

    ”池田 外部記憶装置としてのパソコンや、インターネットから得られる情報というのは、それら自体がどれもすでに古い情報なんだ。そこには、新しい情報なんてちっともない。すでに誰かが得た情報でしかないのだから”

    ”池田 やりとりをすることによって、自分や相手が変わることが本来のコミュニケーションなんだよ。そうではなかったら、自分が変わることもないし、変わらなければ、人間的に成長することもない。”

    ”池田 「好きなことを仕事にしちゃうと、仕事以外に好きなことがなくなっちゃうから大変なんだ」 マツコ 「ほんとにそうよ。仕事が楽しいわけがないのよ。「仕事が楽しい」なんていっている人はね、ちゃんと仕事をしていない!仕事はね、 疲れるものなのよ!」”

著者プロフィール

池田 清彦(いけだ・きよひこ):1947年東京生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。早稲田大学、山梨大学名誉教授。専門の生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野で60冊以上の著書を持ち(『構造主義科学論の冒険』 講談社学術文庫ほか)、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」等、各メディアでも活躍。

「2024年 『老後は上機嫌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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