- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101036199
感想・レビュー・書評
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謎の生態「私」。
棲家は「ヤスミン」という黒人女性の体内。
ヤスミンの魂と体を通して「私」視点で様々な繋がりを共有していく。
それらは、人種差別であったり、性癖であったり、貧富であったり・・・。
人は“感じる”ことで様々なものを生み出すのだなぁと感じた。
そして、感じるままに「囲い」や「差」を無意識に飾りつけてしまうのかもしれない。
けれど、ヤスミンはそうじゃない。
人というのは実はとてもシンプルな回路なんだと感じさせてくれる。そのスタンスに純粋に憧れる。
(ヤスミンと)同じにはなれないけれど、
一瞬でも真摯な眼で自分を捉えられた事は、
私にとって読了後のご褒美でした。
できるなら、ヤスミンのように真摯な眼を常に持っていたいのだけれど・・・。(男性への嗅覚も。笑)
最後の描写もとても印象的でした。
ああ、好きです。(この物語への告白)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実に長い間、自分のバイブル的存在であった本の一つ。主人公がどうしても脳内でナオミ・キャンベルでしょうがないんだけども、どうですかね。ボクは勉強ができないの方を推す人も多い気がするけど、自分は山田詠美の極みってのはこれだと思ってる。
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ウィルス?主人公の体の中にいるものが語る。
一時、山田詠美にはまってずっと読んでいた時の一冊。 -
20歳だったな。
とてつもなく分厚い、この本を読んでる自分に酔ってたな。
懐かしい。 -
『僕は勉強ができない』・『フリーク・ショウ』と並んで好きな作品。
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発売当初から何度か読み返している本。
読むたびに印象が変わる。
自分が歳を重ねているからか。
昔はヤスミンの美しさや強さに、
ただただ彼女の恋愛スタイルに憧れたもの。
今はどうだろう・・
愛情などの執着をもたない生活・・ちょっと理解の範囲からずれてきた
わかる、執着をせずに生きていたい。
ただ、それだけでは恋愛や人との関わりは語り尽くせないのが人生。
うまく理解をしないと、
美しく気高い、クールなビッチの、
「こういうオンナがカッコいいよね」な、奔放な恋愛の話で終わりそう。
その中で、生き生きとした表現を得て光るのが、
山田詠美らしさと、その視点で描かれる、ソウル。
彼が成長していく過程は、
多分彼女の理想とする「美しい男の子」への成長過程そのもの。
ソウルによって変化するヤスミン。
終盤の終盤にならないと文章としては現れないけれど、
それが、この本の理解どころだと思う。 -
再読了。
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差別する人間とされる人間
差別する側は、本人も気づかないうちに上から目線になり、差別なんてしないと熱く語る。
そして、恋愛する。自分と同じ側にいる人間とだけ。
差別される側は、甘んじて受け容れ反抗するか、差別されることを受け付けない。
差別する人間を罵りながらも、同時に彼らに抱かれたいと思う。
ヤスミンはそのちっぽけな愛を、バカバカしくも愛おしいと思いながら社会(動物たち)を眺めてる。
差別される側のはずなのに、誰よりも高みに立つヤスミンがカッコよすぎて、だんだん差別されているはずの人達が美しく見えてくる。
愛は色んなものを変える。ヤスミン以外のたくさんのものを。 -
性別・人種・身分…そんなことでモノゴトを決めるのは下らない。読むと、いつも考える。世間的にみたら主人公はふしだらな女かもしれない。だが、私は彼女がとても大好きだ。強くて自由。そんな女に憧れる。