アニマル・ロジック (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036199

感想・レビュー・書評

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  • 謎の生態「私」。
    棲家は「ヤスミン」という黒人女性の体内。
    ヤスミンの魂と体を通して「私」視点で様々な繋がりを共有していく。
    それらは、人種差別であったり、性癖であったり、貧富であったり・・・。


    人は“感じる”ことで様々なものを生み出すのだなぁと感じた。

    そして、感じるままに「囲い」や「差」を無意識に飾りつけてしまうのかもしれない。

    けれど、ヤスミンはそうじゃない。
    人というのは実はとてもシンプルな回路なんだと感じさせてくれる。そのスタンスに純粋に憧れる。

    (ヤスミンと)同じにはなれないけれど、
    一瞬でも真摯な眼で自分を捉えられた事は、
    私にとって読了後のご褒美でした。

    できるなら、ヤスミンのように真摯な眼を常に持っていたいのだけれど・・・。(男性への嗅覚も。笑)


    最後の描写もとても印象的でした。

    ああ、好きです。(この物語への告白)

  • 実に長い間、自分のバイブル的存在であった本の一つ。主人公がどうしても脳内でナオミ・キャンベルでしょうがないんだけども、どうですかね。ボクは勉強ができないの方を推す人も多い気がするけど、自分は山田詠美の極みってのはこれだと思ってる。

  • ウィルス?主人公の体の中にいるものが語る。
    一時、山田詠美にはまってずっと読んでいた時の一冊。

  • 20歳だったな。
    とてつもなく分厚い、この本を読んでる自分に酔ってたな。
    懐かしい。

  • 読むの4回目くらいかな
    でも久しぶりだったのでストーリーを結構忘れていてとても楽しめた。
    こんなに面白い小説滅多に無い!

    アメリカの人種差別に真っ向から取り組んだ話であるが、主人公は人間ではない。
    人間の血液に棲み、人間の様子を血管の襞を通じて観察することが出来、そこに豊富な語彙力で考察を加え、尻尾と角を持ち、泣いたり笑ったり叫んだりする生き物が、主人公である。
    この発想って天才的じゃね?

    アメリカの人種差別って今でもこんな感じなのかな。アメリカ人の感想が知りたい。

    年とともに固くなった頭が解きほぐされました。
    定期的に読むと脳みそのメンテナンスになります。

  • 『僕は勉強ができない』・『フリーク・ショウ』と並んで好きな作品。

  • 発売当初から何度か読み返している本。
    読むたびに印象が変わる。
    自分が歳を重ねているからか。

    昔はヤスミンの美しさや強さに、
    ただただ彼女の恋愛スタイルに憧れたもの。
    今はどうだろう・・

    愛情などの執着をもたない生活・・ちょっと理解の範囲からずれてきた
    わかる、執着をせずに生きていたい。
    ただ、それだけでは恋愛や人との関わりは語り尽くせないのが人生。

    うまく理解をしないと、
    美しく気高い、クールなビッチの、
    「こういうオンナがカッコいいよね」な、奔放な恋愛の話で終わりそう。


    その中で、生き生きとした表現を得て光るのが、
    山田詠美らしさと、その視点で描かれる、ソウル。
    彼が成長していく過程は、
    多分彼女の理想とする「美しい男の子」への成長過程そのもの。

    ソウルによって変化するヤスミン。
    終盤の終盤にならないと文章としては現れないけれど、
    それが、この本の理解どころだと思う。

  • 再読了。

  • 差別する人間とされる人間

    差別する側は、本人も気づかないうちに上から目線になり、差別なんてしないと熱く語る。
    そして、恋愛する。自分と同じ側にいる人間とだけ。

    差別される側は、甘んじて受け容れ反抗するか、差別されることを受け付けない。
    差別する人間を罵りながらも、同時に彼らに抱かれたいと思う。


    ヤスミンはそのちっぽけな愛を、バカバカしくも愛おしいと思いながら社会(動物たち)を眺めてる。

    差別される側のはずなのに、誰よりも高みに立つヤスミンがカッコよすぎて、だんだん差別されているはずの人達が美しく見えてくる。

    愛は色んなものを変える。ヤスミン以外のたくさんのものを。

  • 性別・人種・身分…そんなことでモノゴトを決めるのは下らない。読むと、いつも考える。世間的にみたら主人公はふしだらな女かもしれない。だが、私は彼女がとても大好きだ。強くて自由。そんな女に憧れる。

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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