PAY DAY!!! (新潮文庫)

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著者 : 山田詠美
  • 新潮社 (2005年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036229

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PAY DAY!!! (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 給料日って何よ、と思っていたが、読み進むにつれ「これって今まで山田詠美の中でも最高じゃね?」と思いはじめた。
    南部の夕暮れ時の、ゆったりした時間の流れ方や、男女の双子の、女の子の方がちょっとませてて要領はよくて、男の子の方がぼーっとして鈍いようでいて地道に成長していく感じなんかも、素敵だった。
    解説:豊﨑由美

  • 夏休みに父と双子の兄のいるジョージアにロビンが遊びに来たところから物語は始まる。
    アフリカ系アメリカ人の父とイタリア系アメリカ人の母は離婚して、兄のハーモニーは父とジョージアで、妹のロビンは母とニューヨークで暮らしているのだ。

    ニューヨークとは全く違う、アメリカ南部の暮らし。
    気候も、風習も。
    白人であるか黒人であるかで大きく暮らしぶりの違うアメリカの南部。
    彼らはそのどちらでもなく、またどちらでもある。

    夏休みが終わりロビンがニューヨークへ帰り、そして起きた9.11。
    南部にいてロビンとその母を心配する、父とハーモニー。
    ニューヨークにいて事故の現場を目の当たりにし、帰らない母を待つロビン。

    この事件が家族に残した傷の深さ。

    けれども、人生は哀しみばかりではない。
    恋をし、親友をつくり、人に優しくなり、強くなっていく二人。
    これは極上の青春小説だ。
    中学生や高校生にも是非読んでもらいたいと思った。
    ちょっと難しいと思っても、ゆっくりと丁寧に読んでいけば、きっといろんなことが伝わるから。

    そんなことを思って読んでいたら、解説に豊﨑由美が全部書いていた。
    “大事なことを、大仰な言葉なんかひとつも使わずに、普段着の言葉で、まっすぐに伝える。”
    トヨザキ社長、私が言いたかったのは、まさにそこなんですの!

    たくさん付箋を貼りました。

    “私は、絶対に自分の中の扉を閉ざしたくない。それは、自分が心にかけている人々から、自身も同じようにされたいからだ。”

    “「湾岸戦争の話、聞かせて下さい」
    「別に。ただの戦争だったよ」”
    父の兄であるウィリアム伯父は、湾岸戦争に従軍していたので。

    “彼女(お母さん)を疎ましく思い始めた頃、ハーモニーは、自分に期待されているものの多さに、いつも身震いしていた。そんなものを一向に意に介さずに、やんちゃなままでいられるロビンがつくづく羨ましかった。何も望まれない人になりたい。彼は、そう切望した。父といて嬉しかったのは、彼が自分そのものを面白がってくれたからだ。”

    “好きな人は、側になんかいなくたって、いつだって抱き締められるのよ。”

    “「約束って、未来のためにあるんじゃないのよ。今のこの瞬間を幸せにするためにあるのよ」”

    “自分は、何か困難が待ち受けた時、それに立ち向かおうとする。そして、それが不可能だと知った際に涙を流す。その涙は、主に、怒りや悔しさや後悔のために使われる。(中略)それでは、ハーモニーの涙はどうだろう。彼の涙には、もっと柔らかな出所があるような気がする。”

    “私は、既に、幸せな無知ではなくなった、とロビンは感じている。あんなことは、もう起きない。起こしてはならないと人は言う。けれど、起きた現実を肌で知るものには、こう言える。起きてはならないことが起きることだってあるのだ、と。”

    舞台はアメリカで、いろんな国を背負ったアメリカ人たちが出てくるけど、これは日本の小説だと思った。
    どうしてかなあ?
    夏から秋にかけて翻訳小説を固め読みしたけど、それとは違う、日本の小説って気が確かにする。
    村上春樹には感じないんだけど。なんだろう?
    ナショナリズムとは違う。
    根っこのところ、メンタルが、日本人っぽいのかなあ。
    日本人っぽいってなんだろう?

  • 山田作品でかなり好きなやつ。
    2~3回読み直したことあり。

    ちょっとキュンとするというか、各話のラストはpayday!で終わるつながりもなんとなく好き。

  • 家族や恋人間の、真摯に向き合う愛情に溢れたお話。911のあとの家族の絆が胸を打つ。アメリカの雰囲気や人種差別問題がとてもリアルに描かれていますね。
    作者の紡ぐとても深い言葉の数々は、一度だけではもったいないです。いつか人間関係に悩むとき、ぜひ読み返したいと思える一遍です。おすすめ。

  • どこまでも爽やかでまっすぐな主人公の2人が魅力的な青春ストーリー。「フルハウス」とかアメリンホームドラマのようなつくりで、登場人物もみな個性的でセリフまわしが小気味がいい。さすが山田詠美って感じで安心して読める。アメリカに対してあんまりいいイメージはなかったけれど、こうやって気持ちを率直にぶつけ合えるところは日本人にとっては羨ましく感じるところだろうな。個人的には堅実で真面目な父に好対照ないいかげんな叔父さんの存在がよかった。内田先生曰く、厳しい親に比してこういういいかげんな叔父さんの存在は寅さんがごとく子供の精神的成長には良いらしい。

  • 女性作家であるにもかかわらず、思春期の男性について非常にうまく書かれている。物語の中で、母の死は必然だが、9.11でなくても良いし、そうであってもよい。この物語での9.11の必然性がほんの少しでも描かれていたら、かなり完璧だと思ったのは、私だけではないはずです。でも、テロは、突発的に無差別で起こるので、このような書き方になるのは仕方ないかもしれないけど。。。うまいんだけど、いまひとつ心の奥底まで届きませんでした。

  • ブロガーやまざきはるなさんが紹介していたので読んだみた
    http://harunayamazaki.com/2012/04/25/629

    双子の兄と妹の成長を通して描く家族の物語。翻訳みたいな文体と、物語の背景となる米国の文化がうまく馴染めず、いい物語だとは思いながらも登場人物の誰にも感情移入することができなかった。

  • 海外作品かと思うくらい細かく繊細な描写。
    とてもよかった。

  • 舞台は日本でなく9・11テロ当時のアメリカ。だが感情移入ができ、アメリカの子どもたちの恋模様を楽しめる。

  • 昔ハマりにハマった山田詠美の小説。
    20歳くらいのあの頃と、
    27歳の今とでは感受性も変わったんだなぁ。と、
    ちょっとしみじみしてしまった。

    あの頃ずきゅんずきゅんきた言葉たちとは、
    いつからか離れてしまったようだね。

  • ~恋にしか作れない顔がある。誰もがそれを隠し持っていて、その包装を丁寧に剥がしてくれる人を待っている。~(本文より抜粋)

    毎度のことやけど、詠美さんの本を読むと恋したくなります911事件を背景にしたストーリーながら、遠慮や偽善が全くないので抵抗なく読めます。

  • 数年ぶりに山田詠美 
    と思って手に取ったら911の話でちょっとびっくり
    しかもちょうど友達がニューヨークに遊びに行ってる 今!?
    本棚ってやっぱりすごいな、、、と

    山田詠美好きだったなーと思い出させてくれた1冊
    悲しいけどやさしい
    今でも好きだった

  • 9.11が起こした、混乱。
    母親の死、それぞれの恋愛、感情が複雑に絡み合いながら、双子は成長していく。

  • なぜか自分も日常を頑張らなくちゃと元気がわいた本。
    911でお母さんが行方不明になった部分が印象的だった。
    今度ちゃんと読みなおした。

  • 失礼な話しだが、私にとって山田詠美は鼻持ちならない作家だった。強くしなやかであろう作者が見てきたものを自分が見ていないという焦燥感のようなものがそう思わせるように思う。
    それがどうしたことか。受賞歴もそこそこの作者の作品群にあって、当作品は割に平凡なのだろうと思っていた小説にやられた感がある。
    私が大人になったのか?山田詠美が大人になったのか?(^^)
    私は、日常の中にある物語という彼女が求めるものを今まで理解できていなかったようだ。枝葉としてのエピソードに振り回されて、嫌悪感をもよおしてしまっていた。
    911も311も巻き込まれて行く個人の心について、よく語られるところだが、その作者の想いをなんと爽やかに、そしてストレートに語っていることだろうか。ロビンも、ハーモニーも私ではないが、私だという小説に大切な要素を用いて。
    計算が見え隠れするストレートな表現も前はげんなりしたものだった。が、今回は心に響き過ぎて、通勤車中で自分に混乱するほどだった。おそらく、作者の技量が格段に上がっているのだろう。ストレートな文体なので、それを私が測ることはできそうにないけれど。
    本当に素晴らしい作品だと思う。思春期の揺れのなかに、家族の危機がありながら、決して希望を失わせない、けれど、嘘くさくないという絶妙な筆使いをぜひ、ご堪能ください。

  • こんなにこころに響く日本語で、日本ではない舞台の作品が書けるのは山田詠美だけだと思う。

  • どこかの外国小説を翻訳したみたいな長編。双子のキャラクターも街の描写もイキイキとしていて、ひきこまれる。ティーンのときに出逢えたらよかったな…。

  • 確か発売日に買って読んだ。ような。当時ああ、山田詠美さんはやはり感性がまだ鈍ってはいないなあ、と私は思った。やはり男性目線の恋愛もののが私はしっくりくる。とも思った。

  • なんでだろ。
    山田詠美の本はほとんど
    すんなり入れるけど
    これは読みきるのに
    すんごい時間かかってしまいました。

    ふたごの兄弟。

    切なくてあつい。
    切手も切れない絆

  • 世界で一番好きな本

  • ・泣きそうにもない人が、自分の前で泣くから、愛されてるってわかるんだろ?
    ・言葉にしていかないと、思い出は風化する。
    ・手に入れるのを諦めるっていうのは、何もいらないってこととは違うんだから。
    ・こんなに苦しい恋をしたことがないと泣くことは、こんなに素晴らしい恋をしたことがないと感激するのと変わらないことよ。
    ・何かに執着しないのを良しとしてるように見えるけどさ、でも、実はそうしないとやってられないほどに、愛情とか憎しみが強いのかもしれないよ。
    強くなったからこそ、弱さを見せても平気になったのかもしれない。

  • 敢えて言うならば、読みづらかった。
    でもそのうちハーモニーのことは好きになった。
    911は何を残したのか。

  • またもや再読。山田詠美は、やはり何度も読みたくなる。読んだタイミングによって色を変える様々な側面を一つにまとめるのに、ひどく長けた作家だと思う。

    Pay Day!は、両親の離婚により、ニューヨークと南部の田舎に分かれて暮らすようになった双子の兄妹、ハーモニーとロビンが、911により再び一緒に暮らし、恋人や、家族とのかかわり、大切な人の死を通して、大切なことを学んでいく物語。

    これを読んで強く思うのは、この人は大切な人を亡くした経験を持っていて、それを自分の中できちんと整理できている人だということ。大切な人を亡くすこと、生まれては消える、不謹慎な気持ちと罪悪感。やり場のない怒りや後悔。どうしようもない悲しみと、立ち向かう戦い。亡くした人に対する思いの複雑さ、それでも笑って生きていくことができること。そういったものがすごくリアルに詰まっている。大切な人を亡くした人に読んでほしいと思う、秀作です。

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