美徳のよろめき (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050096

感想・レビュー・書評

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    ── 三島 由紀夫《美徳のよろめき 19601108 新潮社》
     

  • 暇を持て余した奥様の不倫というありがちな話ではあるけれども三島由紀夫の文章が美しいためにまったく下世話ではない。
    ヒロインの節子は私には掴みにくい人物だった。本当に不倫相手を愛していたわけではいなかったのかな?

    再読
    感想がガラリと変化した。節子は確かに土屋を愛するようになっていたと思う。なんの反響もない世界でヒロインはどのようにしてこれから生きていくのだろう。

  • 男側の心理描写が一切断絶された所に、甘苦上海を感じた。ただ大好きな文体なので、読中の苦痛はなかった。好きってすごいなぁと思うた。
    フルスイングでおつむ足りない主人公の多幸感に溢れた生活が、ひしひしと伝わる作品。

  • 節子は純真無垢故に、西洋風の避妊を嫌い…という文面があったような。

    こういう男に惹かれてしまうのはよくわかる。
    そしてそのあとに来る甘さや苦さも。

    手元に置いて、何度も読み返している、愛読書です。

  • 心理描写の巧さに圧倒された。しかし節子はどうして避妊しないのだろう。馬鹿な女だ。

  • まずタイトルがいい「美徳のよろめき」なんて、やっぱり三島由紀夫は美しい文章を書く。
    無垢な心を持った主人公節子が無垢なまま不倫をし、精神的に様々な成長をする物語。
    三島由紀夫の恋愛に対する考え方が美しい言葉で表現されていてとても面白かった。

    「われわれが未来を怖れるのは、概して過去の堆積に照らして怖れるのである。恋が本当に自由になれるのは、たとえ一瞬でも思い出の絆から脱したときだということを節子は学んだ。」

    という文章は、心に残りました。

    そして、不倫の悩みを相談するために会った松木という老人の語る言葉も面白かったです。

    「習慣といものには嘘も本当もない。精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ」

    その、習慣の治療法は道徳である。という話しになる。しかし、節子は「やっぱり男の理論だ」と切り捨ててしまうのもまた面白かった。

  • すごくずるくてすごく魅力的な清潔な男。

    こういう魅力を持つ男はほんの一握りであって、天性のモテ方なのだと思う。
    そして奥底の“心”までは手に入らない、または繋がらない形の恋愛が酷く厭に美しい。
    女にとってこの種の男と関係を持つということは、得るも得られずも女本人次第だと思う。
    何を得るかはどう受け止めるかによるけれど、美しく甘美な時間は確実に女を綺麗にするのではないのか.......

  • 浅田次郎のエッセイより影響を受け、古本屋で見つけた三島作品を手に取った。

    つらつらと想いを自分で受け入れるために書いたと思われる手紙
    節子はこの手紙を出さずに、破って捨てた。

    男性である作者が主人公である節子の心境を描写するにあたりどのような経験を積めばこのような文章が書けるのか。

    状況が変われば再読してみたい。

  • イタい人妻のイタい恋。

  • 結婚前に買って本棚に置きっぱなしのまま嫁いでしまった一冊。帰省したついでに読了しましたが、このタイミングで読んだ意図は何なのだ・・・と問われると困る。別によろめきたいわけではなく・・・と夫への言い訳を考えつつ読み終わった。電車の中で背表紙を他人に見られるのも気になったりして 汗!

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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