- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050096
感想・レビュー・書評
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恋を知らずに結婚したお嬢様が不倫をしたら、というお話。節子の言動が悲劇のヒロインであるかのように一々芝居ががっているように見える。節子は世間知らずであったからこそ、この話が美しく見えるのでは。三島は心理描写が上手いなと感嘆する。
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友人から借りた本。
ふーん、そっかー、ふーん、ってなって終わってしまった。もう一回読んだら何かわかるかもしれない。 -
「それなら肉体の仕業はみんな嘘だと思ってしまえば簡単だが、それが習慣になってしまえば、習慣というものには嘘も本当もない。精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。」
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三島由紀夫ってはじめて読んだよ
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この作品は「美徳のよろめき」というタイトルに全てが集約されていると思う。節子の浮気の発展と終わりの果てに彼女の周りに起こったことは、夫と離婚することでも父の進退問題に発展することでもなく、節子が育った家庭で培った美徳がよろめいた、ただそれだけだった。
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箱入り娘が不倫をしたら、と。とても上品に心の動きを書いている。不貞なのに、貞操を貫いているような錯覚があるほど、主人公は純粋。ぼんやりと心を動かすことがなかったのに、背徳の思い出に囚われ、足を踏み外していく、ていうストーリーなのに。
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P176「たしかに僕も愛していた。君はおそらく信じないだろうが、そうして後になるほど、ますます信じなくなるだろうが、それでも僕流には、愛せるだけのぎりぎりのところまで愛したつもりだ」
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三島由紀夫の恐ろしいところの一つは、心理描写があまりに上手過ぎて登場人物の気持ちが隅々まで理解出来、次第に暴かれているのは架空の人物ではなく自分自身のような気がして来るところである。
それから、ラストシーンの見事さ。
これは読んだほとんどの作品でそうなのだけれど、今回も幕切れが見事。
それに、彼の描く女性はたいてい可愛らしい。
この作品の主人公、節子の愚かさ(道徳に照らし合わせてでなく、単に彼女の資質の話として)に苛立ちながらも私はどうにも愛さずにいられない。
文章は流れるように美しく、音楽を聞くような一編だ。 -
女性の立場で小説をつづる男性作家の小説は、的確な女性の心理描写が出来ているようで、やはりどこか男性の望む女性像を描いているモノが多いと思うが、この一冊はどうだろう。
そう考えると三島は非常に面白い作家だ。 -
読む時期をもっと早めれば、三島に救われたかも。