葉隠入門 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050331

感想・レビュー・書評

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  • 一念、一念とかさねて一生
    一瞬、一瞬を、真剣勝負のつもりですごすこと
    ゆったりとした心持ち

  • 高校生の時に読んだ。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」で有名な葉隠を現代語訳、解説した本。戦争の道具として使われながらも、三島にとっては青春を共にした光の書でもあった。
    三島の主観も多分に含んだ一冊ではあるけれど、それも含めてこの本の魅力。
    思想の持つ力強さと危うさ、美しさに触れられる本。

  • 一読の価値はあるかと。
    濃い部分もあります。

  • 三島由紀夫は葉隠を

  • 男性が柔になっていく。

    とりわけ男性がそのような状況になるのは、歴史と同様に繰り返されていくものであり、その姿に三島は危惧していたように感じる。

    生と死の向き合い方を考えるきっかけになる一冊です。

    思想とは覚悟である。好きな言葉です。

  • 本書は、戦後の日本文学界を代表する作家の一人で、ノーベル文学賞候補とも言われながら、自衛隊市ヶ谷駐屯地(現・防衛省本省)で総監を監禁しクーデターを促す演説をした後、割腹自殺を遂げた三島由紀夫(1925~1970年)が、武士道の名著といわれる『葉隠』について論じたもの。英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語など、ヨーロッパ各国語に翻訳された。
    『葉隠』は、江戸時代初期に、佐賀藩士・山本常朝の言葉を筆記したものといわれ、「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」という一句で名高い、武士道精神を著した作品であるが、本書は、発表の3年後に割腹自決という最期を遂げた三島自身の人生観・死生観が強く表れたものと言われている。
    まず、「プロローグ「葉隠」とわたし」では、「戦争中から読みだして、いつも自分の机の周辺に置き、以後二十数年間、折にふれて、あるページを読んで感銘を新たにした本といえば、おそらく「葉隠」一冊であろう。」と語り、如何に三島に影響を与えていたかが語られている。
    そして、1章「現代に生きる「葉隠」」では、「死だけは、「葉隠」の時代も現代も少しも変りなく存在し、われわれを規制しているのである。・・・毎日死を心に当てることは、毎日生を心に当てることと、いわば同じことだということを、「葉隠」は主張している。・・・われわれの生死の観点を、戦後二十年の太平のあとで、もう一度考えなおしてみる反省の機会を、「葉隠」は与えてくれるように思われるのである。」と述べる。
    更に、2章「「葉隠」四十八の精髄」では、『葉隠』を「行動哲学」、「恋愛哲学」、「生きた哲学」の3つの側面を持つ哲学書であると捉え、「エネルギーの賛美」、「決断」、「デリカシー」、「実践」、「寛容」など48の側面から真髄を論じている。
    最後に、3章「「葉隠」の読み方」では、「われわれは、一つの思想や理論のために死ねるという錯覚に、いつも陥りたがる。しかし「葉隠」が示しているのは、もっと容赦ない死であり、花も実もないむだな犬死さえも、人間の死としての尊厳を持っているということを主張しているのである。もし、われわれが生の尊厳をそれほど重んじるならば、どうして死の尊厳をも重んじないわけにいくであろうか。いかなる死も、それを犬死と呼ぶことはできないのである。」と結んでいる。
    本書には、『葉隠』名言抄(笠原伸夫訳)として、原文抄文と現代語訳が付されており、『葉隠』そのものとして読むことが勿論できるし、稀代の作家・三島の解釈を知ることは、『葉隠』を自分に引き付けて理解するのにも無駄にはならないと思われるのだが、それでも、三島がなぜ壮絶な自決にまで至ったのかの疑問は残る。。。仮に『葉隠』という作品が後世に伝わっていなかったら、三島は自決に至ったのだろうか。。。
    (2012年12月了)

  • 「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」という一文が有名な「葉隠」、武士道の基本書のように語られるが「葉隠」自体は江戸時代中期の平穏な時代に書かれた自己啓発書に近い。冒頭の一文もあくまで「覚悟」であり平和な時代であったからこそ身を引き締めて主君に仕えよということだったのだろう。本書前半は三島氏の解釈、後半は原文と現代語訳という構成で、「葉隠」全体としては砕けた内容のようだ。

    三島氏の解釈は骨身に染み入る質実剛健な教えであるが、三島氏の性格からすると悪乗りとウィットが背後に潜んでいるようで、そうみるとなかなか面白い。

  • 「「うやうやしく、にがみありて、調子静かなる」というのは、そのまま一種の男性美学と言える(p58)」

    不定期に“魂注入”したくなる「三島由紀夫」。
    「葉隠」そのものは現代にも通じる不変の人生論であり、自己啓発書だ(本書後半に訳文掲載)。ただそれを三島由紀夫が解説すると独特の魅力というか色気を醸し出す。

  • 自営業と経営者以外のビジネスパーソン全てに必要な志が葉隠に示されている、と感じるのは三島由紀夫の価値観が現在求められているからではないだろか。今、三島由紀夫が生きていたら?何を語るのか?意外とビートたけし的な存在だったりして。

  • 葉隠&三島とくれば、極右というイメージがあるが、この本の内容はかなり違う。旧日本軍のプロパガンダに使われた葉隠のイメージは、どうやら私の思い違い。心の持ち方のみでなく、さまざまな実践的内容も含んだこの本を、三島が解説するという図式は、この二つがともにマスコミやプロパガンダという極端な風潮作成マシンの怖さをあらためて教えてくれるという意味においても非常に有意義な書である。

著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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