ようこそ地球さん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101098029

感想・レビュー・書評

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  • あとがきによると名作「ボッコちゃん」から選考漏れした作品を収録したとのこと。だからと言って面白くないかというと、そこは星新一、圧倒的なクオリティのSSが揃っています(ただあちらに比べるとブラックな要素強め?)
    シチュエーションは近未来を舞台にしたSFと、共通してますが、そこから、ホラー系、コメディ系、ほっこり系と多種多様なお話が入っており、流石の一言。
    個人的に好きだったのは「セキストラ」「天使考」「ずれ」「復讐」「処刑」「殉教」。
    特に「処刑」と「殉教」は人間の死生観に強く問いかける内容となっており、考えさせられる内容でした。 
    短編集の最後を締めくくるのが「殉教」なのもある意味著者なりの風刺というかそういう意図もあるんですかね、考えすぎかな?

  • ショートショートてす。
    この作品は素晴らしいなぁ。

  • ◆雨 : バカバカしさNo. 1
    ◆不満 : 人間の勝手さを考えさせられる。
    ◆西部に生きる男 : ギャグっぽくて面白い。
    ◆ずれ : 少しのずれが繋がらない様でいて、全て繋がっている面白さ。

  • 子ども(小学校中学年)への読み聞かせ用としての星新一さんの本の5冊目です。
    地球に宇宙人が来たり、地球から他の星へ行ったりするようなお話が多めです。
    そういうSF的な話なら子どもでも分かるかなと思いましたが子どもには、少し難しいようでした。

    性的な話もあり、その話を飛ばして読もうかと思いましたが、そのまま読みました。子どもにはさっぱり分からないようでした。子どもからどういうこと?と聞かれても、自分も分からないふりをしましたが。

    ところで、あとがきによれば、本書に収められている作品は全て、昭和36年6月以前に書かれたものだそうです。
    読んでいて古さを感じなかったので、そのことには、正直驚きました。

  •  最も印象に残ったのは、「処刑」である。
     罪を犯し、処刑用の星に飛ばされた男は、生活に必要不可欠な水をもたらし、またいつ爆発するか分からない「玉」を持ち、星を巡る旅に出る。死の恐怖と戦いながら玉のボタンを押すが、ある瞬間から、ボタンを押すことに躊躇がなくなる。そのときの男の気づきが、この短編の本質である気がした。
     死は、日常にありながら非日常のように扱われ、人は死について考えず、また考えようとしない。しかしながら、死の可能性は生きる私たちの周囲に無数に存在し、今生きる私たちはその死へ繋がるルートを幸運にも逃れてきたに過ぎない。そして、この先も、死の可能性は私たちにつきまとい続ける。
     これは、死の恐怖と戦いながらボタンを押す男と、何ら変わらないのかもしれない。

  • 星新一さん、科学者のような視点から作り出すショートショート。吹き出してしまいそうなオチがあったり、心あたたまるエンディングであったり、とにかく楽しく読める。
    特に気に入ったのは『処刑』。いつ死ぬかわからないのは玉が爆発する時をハラハラ待つのと同じ。いや、元気に生きていても手元にいつ爆発するか分からない玉があるかもしれない。いつも人間は死刑執行を待っているのかも知れない。死を感じながら、死を恐れて、生に執着して生きてるのが人間なんだな。
    『愛の鍵』ドアを開けるための言葉。「楽しかったわ」が「ごめんなさい」に代わり、2人の心が繋がる。他のストーリーにはない微笑ましい話。

    地球が星新一の描くような星にならないことを祈ります。

  • 寝る前に睡眠導入として読んでます。

  • この本に載っているのは、昭和36年よりも前にかかれたものだということだがとても信じられない。平成の今読んでも何の違和感もない。星新一というひとは人並み外れた先見の明があったかたなのだろう。

  • やっぱりすごい! 随分前に書かれた話ですが、PCや携帯がこれほど浸透した今だからこそ、作中の世界観が近づいているような気がしました。彼が書いた話が現実になる日がくるかもしれません。

  • 宇宙や近未来的な香りがするショートショート集
    ひとつひとつがちがった輝きをもった話で星新一の作品集の中ではベスト3に入る。
    中学生の時、夏休みの宿題の読書感想文で、「復讐」を選んでの感想を書いたが、今思えば、きっと先生はどんな作品かわからなかっただろうなぁ!

  • ❝愛の鍵❞が好きです。実は星新一さんの作品は苦手なのですが、このお話だけは、別格で好きなんです。

  • 「もしこんな世界だったらおもしろいな」の可能性を、たくさんくれる本。
    一生分の宇宙人を摂取した。
    星新一のショートショートは、その中にしっかりと起承転結があって、ある意味様式美とも言えると思う。
    60年以上前に書かれたのに、古さがなく色あせないのはすごい。
    おすすめされた処刑は、よくこんな設定を考えられたなという印象が1番にきた。
    人間が、こうされたら1番きついししんどいっていうのをよくよく分かってるなと思った。残酷。苦しみの日々が最大限になるように仕組まれていた。

  • ☆5では足りない面白さだった。
    私のベスト本10冊を決めるとしたら、ランクインすると思う。
    たくさんのメッセージと人間や世の中への皮肉がうんと込められていて、ズシンと心に残る。
    それでいて面白くてユーモアに富んだストーリー。
    たった数ページ、十数ページの短いストーリーでありながら想像もつかない展開。
    はぁ、ため息が出ます。
    読み終わってから2週間くらい経ったと思うのですが、いまだに余韻が消えません。

    単純に面白くて笑ったのが「西部に生きる男」。
    星新一はこんな話も書くのかと以外だったのが「愛の鍵」。
    そして珠玉の短編ばかりのこの小説の中でも、ずば抜けて良かったのが「処刑」と「殉教」。

    「西部に生きる男」
    西部で決闘が行われる。
    男は相手の裏をかくが、相手も負けずに裏をかく。
    裏をかきすぎて、もはや何が何だかわからない。
    最初は真面目に読んでいたが、途中から笑いを堪えられず。

    「愛の鍵」
    本当は相思相愛なのに喧嘩をしてしまった恋人たち。
    最後にステキな展開が起こる。
    星新一といえばシュールな短編のイメージが強く、背筋が冷たくなるようなオチが待っているのではとドキドキしながら読み進めたが、まさかの(?)ハッピーエンドに。
    こんなパターンもあるのか、と新鮮。

    「処刑」
    犯罪者は、銀の玉を持って処刑地である惑星にパラシュートで降ろされるのだった。
    ボタンを押すと水が出る、けれどいつか爆発して死ぬのだ。
    1回目なのか、100回目なのか、それは誰にもわからない。
    どこからか聞こえてくる爆発の音は誰かの命が絶たれた音。

    諦めて、無気力で、生きた心地もしないまま、恐怖に慄きながらボタンを押して毎日をやり過ごす。
    どれだけの月日が過ぎたのかもわからない。

    けれど、主人公ははたと気付いたのだった。
    これは地球での日々と実は何も変わらないのではないかと。

    鳥肌が立ちました。
    根拠のない漠然とした未来への不安と恐怖を抱えて日々生きる人間のなんと多いことか。
    私はそんな風に生きたくない。

    「殉教」
    死者との通信ができる機械の発明。
    そこでわかったことは、死の世界はとても素晴らしいということだった。

    今まで人間の根底にあった死の恐怖がなくなったことにより人々を制御するものがなくなったのだった。

    「処刑」のあとに「殉教」…これ、わざととしか思えません。
    私が「殉教」の世界の中にいたらどうするのか。
    もしかしたら私も死の世界を選んでしまうかもしれないと思うのです。
    死にたいということではなく、この大きな流れの中、仲間がいるかもわからないのに生き残ることが正直怖い。
    そんなことを考えてしまう自分に戦慄しました。

  • ショートショート。人間の性癖を皮肉っぽくとらえている。宇宙に関するものが多い。すべて昭和36年6月以前の初期作品とのこと。科学の進んだ現在読んでもそう古さを感じない。2019.10.30

  • 星新一のショートショート42編。人間のいいかげんな部分を面白がって突いてくる、容赦がなくて、でも愛がある、そんな作品集です。

  • この作品は「ボッコちゃん」と対になる、星新一の初期短編集であるらしい(あとがきより)
    確かに、「星新一らしさ」が少なめのショートショートがあったり、ショートショートでまとめるには少し長い短編作品があったりと、まるでおもちゃ箱のような1冊。→

    その中でも特に印象に残ったのは、「処刑」。
    地球で罪を犯したものは「赤い惑星」に「銀の玉」を持たされて流刑される話。水がない惑星なのだが、銀の玉に付いているボタンを押せば飲み水が手に入る。ただし、何回かに一度、激しい爆発が起こる確率があり、爆発が起これば確実に助からない……これはすごかった。星新一氏の本はわりと読んできたが、この読み心地は初体験だった。ラストも含めて素晴らしい。

    他に好きな話は「ずれ」「セキストラ」「空への門」「見失った表情」「開拓者たち」「復讐」「最後の事業」。
    昭和36年以前の話なのに、今読んでも楽しめるのはさすがとしかいいようがない。

  • 読書が苦手な自分でもショートショートは読みやすくて、シニカルな笑いがやみつきになる

  • NHKで星新一さん原作のドラマをやってたこともあり、影響を受けて『きまぐれロボット』以来読んでみた。
    私事だけど、通勤がバスに変わってバスの中読むには短編集が時間的にちょうど良くて気持ちの切り替えに向いている。
    星新一さんの本を読むたびに勤務地が変わったばかりのこの時を思い出すことになるだろう。

    宇宙や未来など夢のあることばかりではなく人間としての営みから生まれる歪みや感情のずれ、勘違いなどこの現代にも同じように通じることばかり。
    どこか皮肉めいていてフッと笑いたくもなり、ゾワッとする怖さだったり、それを短編で上手くまとめている天才だと思う。

    特に
    「霧の星で」
    「見失った表情」
    「処刑」は私のお気に入り。
    人間自体もその感情も複雑でまるで宇宙。
    それは地球にいてもどこにいても変わらないんだろうな。

    他も読んでみたいし、またこれも忘れた頃に読み返そう。

  • 記録をつけ始めてから初めての星新一作品。

    昔は読書自体あまり得意じゃなくて、1話が短いという理由ですごくハマってた記憶。

    久しぶりに読んで感じたのは星新一と宇宙の親和性の高さ。とても短い文章の中でひとつの物語を完結させるために、いかに読者に現在の設定と突拍子もない背景を受け入れさせるかがカギな気がするが、そこに対する宇宙とか未来という世界観の親和性が高すぎる。

    基本的にどんでん返しというか、ちょっと無理矢理な起承転結が面白さの原動力だと思うが、「宇宙なら(未来なら)そんなこともあり得るか」というギリギリのラインを突いていてどれも面白かった。

  • どんでん返しが待ち受ける42篇。『不満』語り手が人間ではなく猿で、最後に人間を滅ぼす物語。『待機』着陸した惑星を侵略するつもりが、その惑星の住民たちによって地球が逆に侵略される。
    短いからと侮るなかれ。読書が捗るショートショート集。

  • 初めて星新一のショートショートを読んだ。もともと長編が好きであって、短編だと物語の厚みがどうしても劣ってしまうから好みではないけど、さらに短いショートショートというジャンルはすきま時間に一話を読めるのでとても気軽に感じる。もちろん短いだけあって物足りなく感じる作品もあったが、短いにも関わらずよくこんなネタを思いつくなと思わせるものもあり、こんなにもたくさんのアイデアを出す筆者に感心した。

  • うっひゃー!おもしろーい!
     
     小学生の頃、図書室や図書館で本を借りるのが好きだった人ならわかっていただけるでしょう。ハードカバーの、何年も前からそこにある児童向けの本たちは私たちを冒険に連れていってくれ、さまざまなことを教えてくれました。あの時のページを捲る手が止まらない感じ。どうなるの?と授業の合間の5分休みも費やしたくなる好奇心。そういった感覚をもう一度体験できる魅惑のショートショート集です。

  • ショートショートの枠の中に、風刺の効いたブラックな世界が広がる。
    今読んでも、ぞっとするほど怖い。
    セキストラ、空への門、愛の鍵、処刑、殉教などが特に凄みを感じた。

  • これはちょっと

  • 発行が昭和47年であり、少し古いため、当時の未来やテクノロジーに対するイメージが色濃く反映されており、少しこそばゆい感じがした。しかし、根底にある「人間とは」「生きるとは」といったテーマは常に心にくるものがあった。中でも「処刑」は特にオススメ!!

  • 【あらすじ】
    文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録。現代メカニズムの清涼剤とも言うべき大人のための寓話集です。

    【感想】

  • 『星新一 1001話をつくった人』を読んだのがきっかけに、久しぶりに星新一のショートショートを読んだ。
    本書は同時に電子書籍でも読んだ。というより、寝る前に一話ずつ、いや一話を読みきらずに寝てしまったことが多かったが、電子書籍で読んだ方が多かった。そして、ショートショートは電子書籍との相性が良いことを発見した。SFの無機質な世界だからか、紙の残量を気にしなくて済むことが理由なのか分からないが、電子書籍の方が読みやすかった。
    これから寝る前に星新一のショートショートを読むことが習慣になるかもしれない。
    『ようこそ地球さん』に収められた話では、水が出る球の「処刑」と、死者と話せる「殉教」が良かった。

  • 星新一のショートショート、初めて読んでみた。手軽で気軽に読みやすい。物語も面白いのが多い。

  • 「処刑」人間はいつ死ぬか分からない。

  • 宇宙に関するショートショートを主とした全42編。
    名作と言われてる「処刑」「殉教」を読みたいと思って購入。[死]をテーマにしており、なかなか重く考えさせる内容で、やっぱりいい作品だな。
    新しい星に進出した地球人に対する対応を描いた「桃源郷」「すばらしい天体」「待機」も好き。
    視点を変えている「不満」「探検隊」も。
    ブラックで終わる作品が多いので、思わず感動した「小さな十字架」は、この中では異色な作品だけど良かったな。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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